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奨学金の利用状況 四年制大卒利用者の62.3%が「返済負担に感じる」

2017年11月14日

大学生の『2.6人に1人』が奨学金を利用しており、...

 近年、高等教育費に関する負担のあり方を始めとした教育費の議論が注目を集めている。その中でも、大学生を中心に奨学金を利用する学生が増え、返済遅延による訴訟の増加などが問題となっている。日本の『奨学金』はいわば利子付きの借金、ローンである。親の年収の伸びが限られる中、アルバイトと利子つきの奨学金で教育を受け、大きな負担を背負いながら社会人生活のスタートをきる新入社員が少なくない。大卒という肩書があっても、安定した就労が保証されているわけではなく、様々な事情により短期間で退職せざるを得ない若者が多額の奨学金の負担に潰されてしまっている現状がある。

 高等教育への進学率上昇、景気低迷などの社会情勢を反映し、奨学金の貸与規模は年々拡大傾向にあるなか、奨学金利用率は高く推移しており、学生の『2.6人に1人』が奨学金を利用しているという。公益財団法人日本生産性本部/一般社団法人日本経済青年協議会が行った、2017年度新入社員「働くことの意識」調査結果によると、「奨学金の返済を負担に感じるか」について、全体では31.3%、短大卒29.4%、四年制大卒35.8%、大学院卒35.8%が「利子つきで返済する奨学金」を利用しており、返済する奨学金利用者全体(665人)の62.0%、四年制大卒の62.3%、大学院卒の73.1%が「負担に感じる」と回答した。

 このような背景を受けて、政府は学ぶ意欲と能力がありながら経済的理由により学業を断念せざるをえない生徒に対する進学の後押しする施策を打ち出している。その一つが『所得連動型奨学金制度』の開始だ。この制度は、奨学生本人の卒業後の所得が低いと返済額が低くなるため、返済の負担が少ないというのが最大のメリットだが、反面、貸し倒れリスクの高さや、返済額が少額になった場合に完済できないなどの問題が指摘されている。
 
 さらに、低所得世帯の大学生などを対象に月2万から4万円の学費を給付する制度『給付型奨学金』を2018度から本格実施する予定で、進学や生活が困難化させる高い学費と生活費、特に貧困が深刻な生活保護やひとり親家庭、児童養護施設出身者あるいは家計急変者(親や保護者の死亡、リストラなど)などのセーフティネットとして『所得連動型奨学金制度』でカバーしきれない点の補足的役割などが期待されている。

 教育費を誰が負担するのか?という問題は根が深く結論を出すのは容易ではない。北欧諸国のような福祉国家主義、アメリカ、イギリスなどの個人主義の狭間で、日本は国益を最大化するための独自の道を開拓していかなくてはならないといえる。さらに、負担軽減について高等教育機関の自己収入の拡大や私学助成の拡充等の推進なども行っていく必要がある。

 貧困の連鎖を断ち切る事を提言している安倍内閣は『給付型奨学金』の予算220億円を確保したとし、さらなる負担軽減策を実現する為のより安定的で大きな規模の財源の確保に向け、今年2月、総裁直結機関である教育再生実行本部の下に「恒久的な教育財源確保に関する特命チーム」を設置、「誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」という理念の実現に向け、今後の施策が注目される。(編集担当:久保田雄城)

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