[コラム:研究員のココロ]「“絵に描いた餅”の中期経営計画からの脱却」のすすめ<第3回>〜経営者(トップマネジメント)の資質と資格〜
2008年09月04日
出典:日本総合研究所ホームページ(http://www.jri.co.jp/)「研究員のココロ (株)日本総合研究所 主任研究員 経営革新クラスター 食・農・基本戦略クラスター 三浦 利幸 2008年9月1日付」より
1.はじめに
“絵に描いた餅”の中期経営計画からの脱却に関するリレー連載の第3回である。今回は経営者(トップマネジメント)の役割のうち、「経営理念・経営ビジョンの明示」について考えてみたい。
2.実行しなくても許される中計
コンサルタントとして伺ったクライアントにおいて、中期経営計画(以下、中計という)など経営者(トップマネジメント)の方針が実行されていなくても、うやむやになってなぜか許されてしまう、というシーンを目にすることが少なからずあった。まさに“絵に描いた餅”の中計である。
しかし中計のような企業の最重要ともいえるはずの方針が、なぜこのように軽んじられてしまうのだろうか。そして経営者(トップマネジメント)は、なぜこのような状況を放置しているのだろうか。
このような疑問を持ってクライアントを観察していると、共通するパターンがだんだんと見えてきた。このような状況になる企業の経営者(トップマネジメント)は、売上や利益などの短期的な財務指標の達成にはこだわるものの、中長期的な経営理念やビジョンについて具体的なイメージがない、こだわりがない、という傾向が強いのである。
3.こだわりの経営理念やビジョンがあるか
売上や利益などの短期的な財務指標の達成にこだわることは悪いことではない。しかし経営者(トップマネジメント)が強烈にこだわるべきは、「将来こういう企業になりたい」という具体的な経営理念やビジョンであり、売上や利益の達成はそれを実現するための手段として位置づけるべきである。売上や利益の達成が優先されるのは本末転倒である。
もし経営者(トップマネジメント)が熱望する経営理念やビジョンを持っているならば、行動指針のような内容に関して、日々実践することの重要性を理解しているとともに、具体的な到達目標を示したビジョンに関しては、中長期的に対応しなければその実現に至らないということを十分に認識している。したがって理想と現実のギャップを埋めるためにどのような道筋を通って行くべきか、そして今はその道筋のどこにいるのか、道筋を前に進むにはどうしたらよいかということを常に考えることになる。この「どのように進むか」を示すものが中計となり、経営者(トップマネジメント)はその実行状況に大きな関心を寄せることになる。うやむやにはけっしてできなくなるのである。
もちろん、経営理念やビジョン達成のためには売上や利益の達成は手段として不可欠なものであり、毎年の数値目標も設定される。しかし、それはあくまで道筋のなかの1つの要素、中間目標であり、経営理念やビジョンがそれより高い次元の目標として、明確に位置づけられることになる。
※コラムは執筆者の個人的見解であり、日本総研の公式見解を示すものではありません。
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