2015年09月21日
ロンドン
(ビジネスワイヤ) -- 定評あるIBCアワードが9月13日日曜日に華やかな授賞式で授与されました。今回は、デジタルアクセス、接続性、メディアの未来というテーマが大きく脚光を浴びました。
IBCが授与する最高の賞であるIBC2015国際栄誉賞は、マイクロプロセッサー企業ARMの技術に授与されました。ARMの技術は、事実上すべてのスマートフォンとタブレットに組み込まれており、同社の処理技術は、カメラや無線ベースステーションといったメディアチェーンの他の多くの領域でも活用されています。
ARMのサイモン・シガース最高経営責任者(CEO)は、授賞式には列席できませんでしたが、ビデオメッセージを寄せました。「輝かしい未来、つまりコンテンツが自宅でも、携帯端末でも、映画館でも、多様な形で作成され消費される未来の到来を心待ちにしています。当社はそのような未来を現実にするための基本技術の開発に取り組んでおり、そうした未来の実現に大いに期待を寄せています。」
ARMが業界を未来にむけて前進させているのに対し、国際オリンピック委員会(IOC)に審査員賞をもたらしたのは、過去への眼差しでした。オリンピック憲章には、100年以上前からの記録資料を保全することが規定されています。ところが調査の結果、わずか数年以内に映像の50%が再生不能となり、色あせた写真の20%が使用不能となり、コレクションの多くに利用できる音声プレーヤーがなくなることが分かりました。
技術パートナーからのメンバーで結成した優秀なチームが、7年間にわたりプロジェクトに取り組み、資産の保全に成功しました。IOCのJean-Benoît Gauthier氏は、次のように述べました。「遺産は非常に重要なもので、オリンピック憲章にも含まれています。このプロジェクトを手始めに、次は未来のオリンピック活動の歴史的資料を管理していきたいと考えています。来年のリオ大会から、4000時間分の映像を追加する予定です。皆さんに楽しんでいただけることを願っています。」
各国の編集者やコメンテーターで構成される審査員団の第1の任務は、IBCイノベーション・アワードの審査です。イノベーション・アワードは、新しい技術というだけでなく、その技術がどのようにして制作面、商用面、または技術面での現実の課題の解決に活用されているかを評価する特色ある賞です。
コンテンツ制作カテゴリーでは、英国のチャンネル4が視聴者コンテスト番組「The Singer Takes it All」に関連付けたアプリで受賞しました。視聴者がリアルタイムで出場者に投票し、出場者が勝ち進むか敗退するかを見守ることができるという気の利いたアイデアで、テレビの生放送を時間に合わせて視聴する機会を作り、ユーザーを惹き付けています。
授賞式では、番組シリーズを制作したプロダクションであるエンデモル/シャインUKのカレン・トゥループ氏が賞を受け取りました。同氏は次のように述べました。「IBCでこの賞を受けることができ非常にうれしく思います。この画期的なインタラクティブな番組シリーズの制作を当社に委託したチャンネル4に感謝します。また、自宅で番組を見ている視聴者の皆さんが主体的に番組作りに参加できるようにするにあたり、チャンクとテクトニック・インタラクティブから得た助言にも大いに感謝しています。」
コンテンツ管理カテゴリーで最も革新的なプロジェクトに選ばれたのはESPNの全面IP化した新しい制作施設であるデジタル・センター2です。ファイルベースのインフラストラクチャーへの移行に関係するプロジェクトの応募は多数ありましたが、5つの制作スタジオ、16の編集室、6の調整室を擁するESPNが特に審査員団に強い印象を残しました。
ESPNのコンテンツ・制作システム担当バイスプレジデントであるJonathan Pannaman氏は、次のように述べました。「コンテンツの制作、加工、配信にテクノロジーを活用することが、当社の主な優位性の1つであり、スポーツファンがいつでもどこでも観戦を楽しめるようにする、という当社の使命を果たす取り組みに役立っています。デジタル・センター2は、そうした当社の決意表明を形にしたものです。」
コンテンツ配信カテゴリーで受賞したプロジェクトを支えたのは、ファイル配信とクラウドでした。サンダンス・チャンネル・グローバルは、ラテンアメリカ向けサービスにブラジル版を追加するにあたり、まったく別のサービスを用意して衛星で配信する費用をかけずに済む方法を求めていました。主要技術パートナーAmagiの協力を得て、スカイ・ブラジルのメインフィードに置き換えコンテンツをシームレスにつなげて配信するクラウドサービスを整備しました。
賞を受け取ったサンダンス・チャンネル・グローバルのデイブ・オルワース氏は、次のように述べました。「IBCイノベーション・アワードは、業界の栄誉ある賞です。技術パートナーAmagiと協力して当社がブラジルで実現したコンテンツ地域対応の成果が審査員の皆様に認められたことをありがたく思います。」
IBCのマイケル・クリンプ最高経営責任者(CEO)は、次のように述べました。「IBCイノベーション・アワードの意義は、現実の世界で最先端にあるものをとらえられることです。受賞したのはソリューションを利用している人々であり、ソリューションこそ、今日求められているものです。ですから、IP放送、クラウド、マルチプラットフォーム対応など、ここIBCで熱い議論の的となっているテーマが、今回受賞したプロジェクトの原動力となっているのを見るのはうれしいことです。」
新しい研究や画期的な開発を発表する場としては、やはりIBCカンファレンスに提出される技術論文が最も重要です。IBC最優秀会議論文賞はこの点を踏まえ、前途有望で独創性のある内容を、最も明晰かつ読ませる形で記述した論文に賞を与えています。IBC2015最優秀会議論文賞は、BBC R&Dのティム・ボーラー氏およびアンドリュー・コットン氏が論文「A display independent high dynamic range television system」(ディスプレーに依存しないハイダイナミックレンジ・テレビシステム)で受賞しました。
受賞式の最後に、観客のための特別プログラムが催されました。大手アニメーション会社ピクサーのシニアサイエンティストであるドミニク・グリン氏が登壇し、初めてハイダイナミックレンジ形式でリリースされた映画『インサイド・ヘッド』の製作過程について語りました。グリン氏は、司会のロブ・カーリング氏からの質問に答える形で、技術上の課題や制作上の課題について概説しました。さらに映画の予告編を上映し、IBC会場で行われる特別な広色域バージョンでの全編上映の案内をしました。
展示デザイン賞
出展企業が約1800社もある中、各スタンドはわずか数秒のうちに訪問者の注意を引かなければなりません。IBC展示賞は、審査員の一団が14のホールをすべて回って気に入ったスタンドを選んだ上で、特に優れているとされた展示デザインに授与されます。
シェル型スペース利用の最優秀賞はロスコが受賞しました。空間をうまく活用し明確なメッセージを掲げたスタンドが、訪問者の目を引き、行ってみたい気にさせると評されました。またFlowcineが高く評価されました。
スタンドが100平方メートル未満のフリーデザイン最優秀賞は、Es' HailSatが獲得しました。同社が拠点とする中東の文化イメージを伝えるとともに自社のサービスを効果的に展示した方法が、審査員団の目に留まりました。またDekTecが高く評価されました。
大型スタンドのフリーデザイン最優秀賞はVizrtが受賞し、「単なるスタンドというより芸術的な彫刻作品だ」と評されました。またDJIとリーデルが高く評価されました。
IBC2015イノベーション・アワード
ノミネート数が史上最多となった今回、候補リストからわずか10社の最終選考リストに絞り込むのは難しい仕事でした。候補企業全社が授賞式に招待され、各企業について短い紹介映像が用意され、最終候補企業全社が壇上に上がって賞状を(または見事上位3賞に輝いた場合はトロフィーを)受け取りました。
チャンネル4は2014年にも最終選考リストに入りましたが、今回はさらに一歩進んでコンテンツ制作の最優秀賞を授与されました。技術パートナーはチャンク・デジタル、選挙制度改革協会、エンデモル、テクトニック・インタラクティブです。
同じくコンテンツ制作カテゴリーで最終選考リストに残ったのは、BBCによるサービスとしての放送技術のプロジェクトで、40の系列地方ラジオ局で番組担当者が地域を離れずに一元化されたIP技術を利用できるようにするものです。プロジェクトの大部分が社内で開発され、エイトス、ブロードキャスト・バイオニクス、シスコ、コムレックス、EMコンピューターズ、EMC2、グレンサウンド・エレクトロニクス、HP、IMIモバイル、Mayah、マイクロソフト、オラクル、SCISYS、Technica del Arte、テロス・アクシア、ヴイエムウェア、ボーダフォン、Vortexといった多数のサプライヤーから調達したスキルや機器が使用されました。
最終選考リストに残った候補のうち次に高い評価を得たのも、一元化のプロジェクトでした。全米バスケットボール協会のための映像再生を行うもので、最大15のゲームを同時再生できる新しい再生センターを開設しました。技術提供はシスコ、Evertz、サムスン、システムズ・グループ、Zayoです。
コンテンツ管理カテゴリーで3社の強豪を退けて受賞したのはESPNです。技術パートナーはアリスタ・ネットワークス、Evertz、Vizrtなどです。
ディズニー/ABCも、IP接続とソフトウエア定義ビデオの分野で大きく前進しています。ニューヨークの配信施設にイーサネット・ネットワークを整備し、米国全土200以上の系列局向けに非圧縮HDの処理を行っています。技術提供はACビデオ・ソリューションズ、アリスタ、イマジン・コミュニケーションズ、システムズ・グループです。
アムステルダムのSBSブロードキャスティングは、ハイダイナミックレンジの映画サウンドトラックの迫力と、音量の最適な調整方法および自動化されたワークフローを両立させることを目指しました。結果的に、デルタ・シグマ・コンサルタンシー、ミネトンカ・オーディオ、Nugen Audioの技術を使用してアンカー・ベースで音量を正規化するワークフローを整備しました。
英国のDock10は、柔軟かつ強力な技術とネットワークを基盤として、効率の高い制作・ポストプロダクション集団としての地位を確立しています。同社のフィールド・ドック(Field Dock)サービスは、制作チームがロケ現場やその他どこからでもネットワークに接続して未編集コンテンツのアップロードやリモート編集ができるようにするもので、今回上記2社と並んでコンテンツ管理カテゴリーで高評価を受けました。Dock10の技術チームにアビッドおよびライムクラフトが協力しました。
コンテンツ配信カテゴリーのIBC2015イノベーション・アワードの最終選考リストに残ったのは、実に多彩な3者でした。最優秀賞は、クラウド配信ソリューションに取り組んだサンダンス・チャンネル・グローバルが獲得しました。Pac-12ネットワークスは、高度なIP配信ネットワークで応募しました。同連合を構成する西海岸12大学の競技場にカメラとマイクを設置し、制作管理はサンフランシスコ本部で一元化して行うというもので、わずか3つの中央制御室で850件のスポーツ・イベントの生中継を実現します。技術パートナーはInternet2、Nevion、T-Vipsなどです。
最後に紹介するのはノルウェーの放送伝送大手Norkringです。同社は広大で山がちな国土の全域でDAB+デジタルラジオの展開を進め、現在全人口の99.5%をカバーしつつあります。これでノルウェーのラジオ放送事業者各社は2017年のFM放送終了に向けた準備を開始できることになります。この大規模なプロジェクトには2WCom、Aldena、シスコ、GatesAir、Kathrein-Werke、NEC、ネットコム、ネット・インサイト、Relacom、サイト・サービス、スマートグリッド、スピナー、テレノール・サテライト・ブロードキャスティング、テルメック・ブロードキャスティングが協力しています。
原文はbusinesswire.comでご覧ください:http://www.businesswire.com/news/home/20150916005119/en/
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