探究学習の必修化から3年-それでも保護者の7割は「知らない」と回答。問われる“親の関わり方”とは【調査レポート】
株式会社DeltaX

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株式会社DeltaX(本社:東京都千代田区、代表:黒岩 剛史)が運営する塾選びサービス『塾選』は、「探求学習と保護者の関わり方」について調査しましたので概要をお知らせいたします。
探究学習とは、受け身の座学ではなく、自ら課題を設定し、情報を収集・分析し、解決策を探るという、これからの社会で不可欠な能力を育むことを目的とした学びです。2022年度の学習指導要領改訂により、高校では「総合的な探究の時間」が必修化されました。
しかし、保護者世代は自身が学生時代に経験していないため、具体的なイメージが湧きにくいという声も聞かれます。
そこで
塾選ジャーナルでは、高校生の子どもを持つ保護者100名を対象に、探究学習に関する実態調査を実施。調査の結果、「探究学習」という言葉を知っている保護者はわずか3割、残り7割は「知らない」と回答しました。子どもの教育にとって重要とされながらも、保護者にはまだ十分に認識されていないのが現状です。
本記事では、この調査データを軸に、探究学習の現状、高校生の具体的な取り組み事例、そして家庭でできる効果的なサポート方法を紹介します。
詳細は
こちらをご覧ください。
探究学習とは?意味やメリット、進め方を具体例付きでわかりやすく解説
【2025年最新】総合的な探究の時間とは?高校で始まった“未来の学び”をやさしく解説
保護者の7割が「探究学習」を知らない。家庭への浸透はまだこれから
保護者にとって「探究学習」は、まだ新しい言葉であり、認知度は低いことが分かりました。高校生の子どもを持つ保護者100名に「探究学習という言葉を知っているか」を尋ねたところ、「知っている」と答えたのはわずか30%にとどまりました。実に70%の保護者が「知らない」と回答しており、学校で導入が進む一方で、家庭への浸透には大きな隔たりがあることが見て取れます。
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目的や内容を理解している保護者は2割にも満たない
では、言葉を知っている保護者30%は、探究学習の内容まで正しく理解しているのでしょうか。続けて「探究学習の目的や内容を理解しているか」を尋ねた結果は、さらに厳しいものでした。
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「よく理解している」(3%)と「ある程度理解している」(16%)を合わせても19%となり、探究学習という言葉を「知っている」と答えた30%の中でも、約半数は内容まで深く理解していないことがわかります。
探究学習についてのイメージはまちまちで懸念を抱く保護者も
探究学習の目的や内容を「よく理解している」「ある程度理解している」と答えた19%の保護者でさえも、そのイメージは一様ではありません。子どもの主体性を育む学習方法として期待する声がある一方で、その効果や実施内容に疑問を抱く声も散見されました。
主体性や思考力の向上に期待する声
探究学習に対して前向きなイメージを持つ保護者は、知識の詰め込みではない、新しい学びの形として高く評価しています。特に、子ども自身が課題を見つけ、解決に向かうプロセスが、社会で必要とされる能力を育むと捉えられています。
- 「自分でテーマを決めて調べたり考えたりするので、主体的に学ぶ力が身につく学習だと感じています。」(はろんさん 兵庫県 高2男子 保護者)- 「思考力が鍛えられると思うし、課題の発見能力も上がると考えています。」(wmさん 東京都 高1男子 保護者)
これらのコメントから、探究学習が「自ら考え、行動する力」を養う機会として捉えられていることがわかります。受験勉強とは異なる、将来に役立つスキル獲得の場として期待が寄せられています。
実施内容や効果に懸念を抱く懐疑的な声
一方で、探究学習の具体的な進め方やその成果に対して、懐疑的な見方を示す保護者も存在します。
- 「自分で考えて進めていくものなのでテーマを見つけることが結構大変そうである。」(speedbirdさん 愛知県 高1女子 保護者)- 「結局の目的が良くわからない。ただ本人の知的好奇心を駆り立てるような学習というイメージがある。」(あまりぞんさん 長崎県 高1男子 保護者)
このように、「テーマ設定の難しさ」や「学習効果の不明確さ」、「授業の質のバラつき」など、具体的な実施体制に対する懸念が、探究学習への不安材料となっていることがわかりました。
高校生が取り組む探究学習の実態とは
保護者の認知度が低い中で、高校生はどのようなテーマで探究学習に取り組んでいるのでしょうか。
子どもが取り組んでいるテーマを知っている割合は13%
まず「子どもが取り組んでいる『探究学習』のテーマを知っているか」という質問に対し、「知っている」と回答した保護者はわずか13%にとどまりました。実に87%の保護者が「知らない」と答えており、大多数の保護者にとって、子どもの具体的な学びの内容が見えていない状況が浮き彫りになりました。
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この低い認知率は、「探究学習」という言葉の認知度(30%)よりもさらに低く、多くの保護者が「何をやっているのかよくわからない」という状態にあることを示しています。
実際のテーマは専門的!高校生が挑む社会の課題
では、高校生は探究学習において、どのようなテーマに取り組んでいるのでしょうか?実際に保護者から寄せられたコメントを見ると、高校生が地域課題、社会問題、環境、経済といった、非常に専門的で実社会に直結する内容に挑んでいることがわかります。
- 地域活性・防災:
・「商店街活性化プロジェクト。地元の商店街と農業分野の特産品をコラボさせるような取り組み」(あまりぞんさん 長崎県 高1男子 保護者)
- 学校・社会課題:
・「学校のエネルギー消費削減についてがテーマ。学校内での電気や水の使い方を調査し、省エネの方法を提案して実践しています。」(KK0424さん 東京都 高1男子 保護者)
- 金融・歴史:
・「テーマは最適な投資先の選択法です。数ある投資先からどの組み合わせが最も効率的かを判断することです。」(wmさん 東京都 高1男子 保護者)
このように、高校生が取り組む探究学習は、単なる調べ学習にとどまらず、現状の課題を発見し、調査・分析を行い、具体的な解決策の提案や実践までを視野に入れた活動であることがわかります。
高校生の探究テーマ100例|まだ決まってない人も必ずヒントが見つかる!
保護者は探究学習にどう関わっている?サポートの現状
探究学習に何らかの形で関わったことがある保護者は16%
まず、子どもの探究学習に「何らかの形で関わったことがある」と答えた保護者は16%でした。これは「子どもの探究テーマを知っている」と回答した13%よりもわずかに高い数字であり、テーマ自体は知らなくとも、資料探しや送迎などで部分的にサポートしているケースも含まれていると考えられます。
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大多数の保護者が「関わっていない」と回答していますが、関わった保護者16%の具体的なサポート内容からは、探究学習を成功させるための重要なヒントが見えてきます。
子どもの思考を深める「知的サポート」と「環境整備」
子どもの探究学習に関わった保護者は、単に手伝うだけでなく、「なぜ関わるのか」という明確な理由を持って行動していました。
(1)思考を深めるための「知的な伴走」
保護者のサポートで最も重視されていたのは、子どもがテーマを深く掘り下げ、多角的な視点を持てるように促すことです。これは、保護者自身の経験や知識を伝えることで、子どもの学習を豊かなものにする狙いがあります。
- 「テーマ選びの段階で一緒に話し合い、本人が興味を持てる内容を整理する手伝いをしました。本人がテーマに迷っていたため、少しでも前向きに取り組めるようにと思い、話を聞きながら整理する時間を作ったからです。」(みなとさん 福岡県 高2男子 保護者)- 「子どもが調べものをするときに、一緒に資料を探したり、疑問点について話し合いながらサポートしました。自分で考える力を伸ばしながらも、困った時には助けになることで安心して取り組んでほしかったからです。」(KK0424さん 東京都 高1男子 保護者)
これらの事例から、保護者は子どもの発想を否定せず、対話を通じて思考を広げる「伴走者」となっていることがわかります。
(2)活動を支える「環境と時間」の提供
知的なサポートと並行して、探究活動を円滑に進めるための実務的な支援も多く見られました。これは、探究の本質ではない部分で子どもが時間を浪費しないように、親が環境を整えるという意図があるようです。
- 「地域の避難経路を自分たちで考えるというようなテーマで、その地域に関する資料が揃っている図書館に行ったり、ネット上で収集した記事を手渡したことがある。探す手間は単純な作業だと思うので、そこにあまり時間をかけたくはなかった。ある程度工夫したり、思考する時間を長くして欲しかったからです。」(ぴーたろさん 東京都 高2男子 保護者)- 「車で送迎して子どもが観察したい現場を何度も訪れて共に意見を交わしました。探究学習をしていくのにあたり、近くでできること以外が見つかったのでついていく必要があったからです。」(speedbirdさん 愛知県 高1女子 保護者)
調査結果から、保護者のサポートは、「子どもの主体性を尊重しつつ、活動の質を高めるために、親が持つリソース(時間、車、知識、経験など)を提供する」という姿勢が見られました。
探究学習にどう向き合えばいい?先輩保護者からのアドバイス
保護者の関わり方には3つの行動方針がある
(1)まずは親も理解を深める「共同学習者」の姿勢を
探究学習の意義を正しく理解し、子どもと一緒に学ぶ姿勢を持つことは、効果的なサポートの第一歩です。認知度や理解度が低い現状だからこそ、保護者が積極的に情報を取りに行くことが、子どもとの対話の土台を築きます。
- 「これから探究学習というものは大切になってくるので、保護者としても子どもと一緒に学んでいくことが大事だと思います。」(サクラ色さん 東京都 高1男子 保護者)- 「探究学習があることを早く知り、子どもと共に探究学習のテーマを考えるほうが家族の絆が深まるし、両親が望む方向に子どもを誘導することができるから将来的に良い結果を残せるように思う」(喜納散さん 三重県 高1男子 保護者)
このアドバイスが示すのは、探究学習を子どもの課題として突き放すのではなく、家族共通のテーマとして捉え、保護者自身も探究学習の目的を叶えようとする姿勢です。
(2)子どもの「主体性」を最優先し、問いを深める質問をする
探究学習の最大の価値は、子どもが自ら問いを立て、解決する能力を養う点にあります。保護者は、答えを教える「教師」ではなく、問いを投げかける「コーチ」に徹することが求められます。
- 「親が先回りしてテーマを決めたり、調べ方を指示したりするのではなく、あくまでも子どもが主体的に学ぶプロセスを温かく見守る姿勢が重要」(つくねさん 東京都 高2男子 保護者)- 「絶対に自分の意見を出さない、あくまで黒子に徹し、必要とされる時だけその行動をとればいいと思います。自分の時代はこうだったとか、常識的にはこうだ、という言い方は絶対に避けなければならない。」(ぴーたろさん 東京都 高2男子 保護者)
過度な干渉は子どもの意欲を削ぎ、せっかくの学びの機会を奪ってしまいます。「どうしてそう思うの?」「他にもこんな視点があるかもしれないよ」といった問いかけを通じて、子どもの思考をさらに一段階深める手助けをすることが、保護者の重要な役割です。
(3)環境整備と技術的なフォローで活動の質を高める
子どもが探究活動に集中できるよう、効率を高める環境を整えることも大切という声もありました。
- 「探究学習を通して子どもの考える力は格段に成長するので、親がサポートするとしたら環境面をよりサポートするのがいいと思います。」(ハルさん 大阪府 高2女子 保護者)- 「必要最低限のパソコンの扱いを早い段階で家庭でフォローしておくとよい」(さもありなんさん 愛知県 高1男子 保護者)
まとめ:保護者の「理解」が子どもの「探究」を深くする
本記事では、高校生の保護者100名への調査結果に基づき、探究学習の現状と保護者の関わり方を紹介しました。
探究学習は、子どもが自律した大人になるために不可欠な能力を育む貴重な時間です。保護者は最初の一歩として「探究学習について理解を深めよう」と動き出すことが、子どもの学習を何よりも力強くサポートします。
子どもの興味や疑問に耳を傾け、適切な距離感でその学びを応援する「伴走者」として関わってみるとよいでしょう。
塾選ジャーナルでは、高校生向けの探究学習を扱う塾の現場もレポートしています。ぜひ併せてご覧ください。
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こちらをご覧ください。
アンケート調査概要
調査対象:高校生の子どもを持つ保護者(有効回答数100名)
調査時期:2025年10月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「高校生の探究学習」についての調査
※掲載しているグラフや内容を引用する場合は、出典「塾選ジャーナル調べ:『高校生の探究学習についての調査」と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(
https://bestjuku.com/shingaku/s-article/34744/)へのリンク設置をお願いします。
プレスリリース提供:PR TIMES




記事提供:PRTimes