Datachain、ブロックチェーン技術を活用した「トークン化預金」関連事業を開始
株式会社Speee

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株式会社Datachain(代表取締役:久田哲史、以下「Datachain」)は、ブロックチェーン技術を活用したトークン化預金関連事業を開始いたします。
近年、国際決済銀行(BIS)が提唱する「Finternet」構想に象徴されるように、米J.P.モルガン、米シティバンク、英HSBCなどの主要海外金融機関を中心に、分散型台帳技術(DLT)を活用した預金・決済サービスの提供が国際的に加速しています。こうした潮流の中で、DatachainはAIネイティブかつプログラマブルな決済・資金管理インフラの実現を目指し、同事業を開始します。
「トークン化預金」は、「ステーブルコイン」と並び、新たなデジタル通貨の中核として注目を集めています。当社では2022年よりステーブルコイン事業を展開しており、これまでに3メガバンク、Swift、Progmatとの連携などを通じて実用化を推進してきました。双方にはそれぞれ固有の利点があり、今後の金融インフラの構造的変化、オンチェーン金融の発展においては、両領域をカバーすることが重要と考えています。今回のトークン化預金関連事業参入により、Datachainは多様なユースケースと顧客ニーズに応える金融インフラを提供し、「オンチェーン金融時代のインフラを提供する企業」としてさらなる成長を目指します。
今後は、関係するステークホルダーの皆さまと連携しながら、制度・技術・運用の各側面から現実的かつ持続可能な社会実装モデルの検討と開発を進めてまいります。
1.事業開始の背景
当社は2018年の創業以来、ブロックチェーン技術の研究開発および事業化に取り組んでまいりました。近年では、大手金融機関と共同でProgmat, Inc.を設立し、Swiftや3メガバンクらと共にステーブルコインを活用した国際送金インフラの整備を進めるなど、伝統的な金融領域におけるブロックチェーン技術を活用を通じたユーザー体験の革新にも注力しています。
こうした国内での取り組みに加え、世界的にも金融分野における分散型台帳技術の導入は急速に進展しています。
その象徴的な動きとして、米シティバンクの「Citi Token Services for Cash (*1)」、英HSBCの「Tokenised Deposit Service (*2)」、米J.P.モルガンが推進する「Kinexys(キネクシス)」が挙げられます。特に、J.P.モルガンが展開する分散型台帳技術ベースの決済ソリューション「Kinexys Digital Payments」は、複数のグローバルな事業法人、金融機関に利用される、24時間365日決済を可能にする銀行預金活用の決済プロダクトです。2024年11月時点でKinexysプラットフォームの1日の平均取引金額は20億ドル(約3,000億円)にも達しているとのことです (*3)。
また、国際決済銀行(BIS)は、「Finternet(フィンターネット)」と呼ばれる新たな国際金融アーキテクチャの構想を提唱しています(*4)。これは、「インターネットのように、異なる金融機関や金融サービス同士がグローバルに接続され、相互に連携・運用可能となる金融インフラ」を目指すというものです。個人や企業といったエンドユーザーをネットワークの中心に据え、さまざまな金融サービスを安全・迅速・シームレスに利用できる環境を実現しようとするビジョンです。
その中核技術として分散型台帳技術が位置づけられております。分散型台帳技術の活用によって、金融機関や事業法人などの複数の主体が、同一の取引情報や資産データをリアルタイムかつ整合性を保った状態で共有できるようになり、これまでのような各主体における個別台帳による多重管理・照合コストを大幅に削減できると期待されています。
分散型台帳技術を基盤とした「統一台帳(Unified Ledger)」の仕組みにより、トークン化預金(Tokenized Deposit)や証券(株式、債券等)などのデジタル資産を、即時かつ安全に決済することができる仕組みが構築されつつあります。たとえば、スマートコントラクトの活用により、証券の売買において、証券の受け渡しと代金の支払いが同時に自動で完了する「Delivery versus Payment(DvP)」の仕組みを、より柔軟かつ低コストに実現できます。
分散型台帳技術ベースのインフラが広がることで、金融機関ごとに閉じた世界であった金融取引が、よりオープンで相互接続されたものに進化していきます。「Finternet」構想は、まさにそうした未来の金融インフラ像を提示しており、分散型台帳技術はその実現を支える技術的な土台として極めて重要な位置づけにあります。
このように、ブロックチェーン技術を含む分散型台帳技術はもはや実験段階ではなく、伝統的金融の中核を担う技術へと進化してきています。
2.トークン化預金関連事業について
なお、具体的な実証テーマや成果については、今後の実証・制度検討の進捗に応じて順次公表を予定しています。当社が新たに開始する事業では、ブロックチェーン技術を活用したトークン化預金の社会実装に向けた技術・制度・運用の検討と実証を進めてまいります。
中心となるテーマは、以下の4点です。
- ブロックチェーン技術を活用した資金・債権等の記録管理モデルの実証- スマートコントラクトを用いたプログラマブルな決済・会計連携の実証- 事業法人の業務構造やニーズに即したユースケースの設計- 事業法人や金融機関における関連業務プロセスの最大限の自動化に向けたAI活用の実証
これまで、各国で金融機能の一部に分散型台帳技術を導入する試みは進められてきましたが、トークン化預金を社会インフラとして制度・技術の両面から総合的に検討する取り組みは、国内では先駆的なケースとなります(*5)。
こうした取り組みを通じて、国際的に提唱される「Finternet」構想において中核を担うことが期待されるトークン化預金の社会実装を日本で推進し、産業界がより柔軟かつプログラマブルに金融を活用できる環境づくりに貢献してまいります。
3.トークン化預金とステーブルコインの両領域に取り組む意義
「トークン化預金」は「ステーブルコイン」と並び、次世代のデジタル通貨の中核を担う存在として注目を集めています。
当社は2022年の三菱UFJ信託銀行様との技術提携を皮切りに、現在注力するステーブルコインによる国際送金基盤構築プロジェクト「Project Pax」など、ステーブルコイン領域での実践的な取り組みを継続してまいりました。
両者にはそれぞれ異なる強みと課題があり、今後のオンチェーン金融の発展においては両領域をカバーすることが極めて重要だと考えています。
ステーブルコインは、既存の勘定系システムに変更を大きく加えることなく導入でき、システムおよびオペレーションの複線化を抑制できるため、金融機関にとって導入コストが低いという利点があります。一方で、国や地域ごとの規制対応を個別に検討する必要があること、また基本的に保有者への付利ができないことが課題として挙げられます。
一方、トークン化預金は、法的整理がグローバルにおいても比較的容易であり、米国やイギリスのように銀行預金としての位置づけを認める国が増えていることから、各国での展開が実現しやすいという強みがあります。また、銀行預金として付利が可能である点も大きな特徴です。
ただし、リアルタイムな銀行勘定系との連携が求められるため、導入時の技術的・運用的コストが大きく、さらに将来的にはホールセールCBDCなど中央銀行システムとの清算連携も想定され、追加の開発・運用リソースが必要となります。
「1.事業開始の背景」で触れたように、今後はあらゆる資産が分散台帳上で扱われるようになり、よりオープンで相互運用性の高い金融インフラが求められる「オンチェーン金融」の時代が到来すると考えられています。
こうした金融インフラの構造的変化は、次世代の金融エコシステムを形成する大きな転換点であり、当社にとっても極めて重要な事業機会です。Datachainは、オンチェーン金融時代のインフラを提供する企業として、ステーブルコインとトークン化預金の両領域を戦略的に展開し、中長期的かつ持続可能な価値創出を目指してまいります。
4.今後について
今後は、関係するステークホルダーの皆さまとの対話・協働を通じて、トークン化預金の社会実装に必要な制度・技術・運用の整理を段階的に進めてまいります。 併せて、複数の企業との実証プロジェクトを通じ、製造業・商社・物流など幅広い産業領域での実装可能性を探索してまいります。
当社は、これらの活動を通じて、企業が自らの業務やサプライチェーン構造に最適化された金融機能を柔軟に設計・統合できる社会の実現を目指します。実証や制度検討の成果については、適宜発表してまいります。
【事業立ち上げメンバー募集】
当社では現在、ブロックチェーン技術や分散システム設計に専門性を有するエンジニアに加え、国内外の銀行や当局出身者など金融制度設計・コンプライアンス・監督行政などの領域に知見を持つドメインエキスパートが集い、トークン化預金の社会実装に向けた実証・制度設計プロジェクトを推進しています。
今後のプロジェクト拡大に向け、特にエンジニアリングおよび制度設計の両面から社会実装を支えるメンバーを募集しています。
ご興味をお持ちの方は、以下の求人情報をご覧のうえ、ぜひお気軽にカジュアル面談フォームよりご連絡ください。
- 求人情報:
https://herp.careers/v1/datachain/requisition-groups/c3f50ac3-3d01-4a18-afd7-d4b645b19891 - カジュアル面談フォーム:
https://herp.careers/v1/datachain/yobfg8YOkk4g
*1) 出典: Citigroup Inc.「Citi Token Services for Cash」,
https://www.citigroup.com/global/insights/citi-token-services-for-cash
*2) 出典: The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited「HSBC launches Tokenised Deposit Service for corporate cash management in Hong Kong」,
https://www.about.hsbc.com.hk/news-and-media/hsbc-launches-tokenised-deposit-service-for-corporate-cash-management-in-hong-kong
*3) 出典: J.P. Morgan「Fuel programmable, near real-time, multicurrency payments 24/7」,
https://www.jpmorgan.com/kinexys/digital-payments
*4) 出典: BIS「Finternet: the financial system for the future」,
https://www.bis.org/publ/work1178.htm
*5) 2025年10月23日現在、当社調べ
* 株式会社Datachainは、株式会社Speee(本社:東京都港区、代表取締役:大塚 英樹、東証スタンダード市場:4499)の子会社です。
* 本資料に記載されている会社名、商品名、サービス名は、各社の商標又は登録商標です。
プレスリリース提供:PR TIMES
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