最先端半導体向けに回路線幅10nmのナノインプリント用テンプレートを開発
大日本印刷(DNP)

1.4nm世代相当の半導体に対応する回路線幅の微細化と製造コスト削減のニーズに対応
大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 以下:DNP)は、半導体の回路パターンの形成に使用するナノインプリントリソグラフィ(Nano-Imprint Lithography:NIL)*1向けに、1.4ナノメートル(1nm=10億分の1メートル)世代相当のロジック半導体にも対応可能な、回路線幅10nmのテンプレート(型)を開発しました。今回開発した線幅10nmのNIL用テンプレートは、NAND型フラッシュメモリーに加え、スマートフォンやデータセンターなどで使用される最先端ロジック半導体の微細化ニーズに応えます。
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NIL用テンプレート開発の狙いと経緯
近年、多様な機器の高性能化にともない、先端半導体では一層の微細化が求められており、EUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)リソグラフィによる生産が進んでいます。一方で、生産ラインの構築や露光工程に比較的多くのコストや電力が必要となるため、製造コスト削減と環境負荷低減の両立が急務となっていました。DNPは2003年から、回路パターンを刻んだテンプレートを基板に直接圧着して転写することで、露光工程の電力消費量を抑制できるNIL用テンプレートの開発し、独自のノウハウを蓄積してきました。
今回、EUVリソグラフィの一部工程の置き換えや、EUVリソグラフィの生産プロセスを持たない顧客のニーズに対応し、先端領域のロジック半導体の製造を可能にする回路線幅10nmのNIL用テンプレートを開発しました。DNPは、このテンプレートの供給を通じて、顧客の半導体製造プロセスの選択肢を拡大し、製造コスト削減と環境負荷低減の両立につなげていきます。
新たに開発した回路線幅10nmのNILテンプレートの特長
○描画装置によって形成したパターンに成膜・エッチングを施してパターンの密度を2倍にするダブルパターニング(Self-Aligned Double Patterning:SADP)を活用して、NILテンプレートの微細化を実現しました。
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○DNPが培ってきたフォトマスク製造の技術・ノウハウに加え、ウエハの製造プロセスの技術も応用し、回路線幅10nmのNILテンプレートを開発しました。
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ナノインプリントのフォトマスク上の線幅10nmのLine&Spaceパターン画像
○今後さらなる拡大が見込まれる先端ロジック半導体の回路線幅の微細化ニーズに対応します。
○先端半導体製造の露光工程での電力消費量を削減します。「NILによる超微細半導体の省エネルギー加工技術」により、従来のArF(フッ化アルゴン)液浸やEUVなどの露光工程と比較して、電力消費量を約10分の1に抑えることができます。*2
今後の展開
DNPは半導体メーカー等の顧客との対話を深め、半導体の微細化ニーズなどを先取りし、NIL用テンプレートの評価ワークを開始しており、2027年に量産開始を目指します。引き続き、半導体のさらなる微細化やコスト削減に向けて、NIL用テンプレートの一層の開発や需要拡大に対応した生産体制の強化を進め、2030年度にNILで40億円の売上増加を目指します。
なお、2025年12月17日~19日に東京ビッグサイト(国際展示場)で開催される「SEMICON Japan 2025」のDNPブース(東6ホール・小間番号:E5936)で本製品を展示します。
*1 ナノインプリントリソグラフィ:基材上の樹脂などに金型のテンプレートを圧着し、nm(ナノメートル:10-9メートル)~μm(マイクロメートル:10-6メートル)単位の線幅の回路パターンを安定的かつ安価に転写する微細加工技術。
*2 NILによる超微細半導体の省エネルギー加工技術 →
https://www.dnp.co.jp/news/detail/10162455_1587.html
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