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COVID-19パンデミックによる受診抑制が消化器がんに及ぼした影響 ~胃がん・大腸がん(特に早期)の診断数が減少し、診断時のStageが進行~

横浜市立大学

COVID-19パンデミックによる受診抑制が消化器がutf-8

 横浜市立大学医学部医学科肝胆膵消化器病学の日暮琢磨講師、中島淳教授、同大大学院医学研究科の葛生健人さん(現所属:横浜医療センター消化器内科 医師)らの研究グループは消化器がんの新規診断に関してCOVID-19が流行する前と流行期での変化を調べた結果、胃がん、大腸がん、特に早期胃がんと早期大腸がんの診断数が有意に減少し、大腸がんに関しては進行したStage*1で発見される例が増加したことを本邦で初めて報告しました。今後COVID-19の流行による受診抑制が続くと消化器がんの予後の悪化に繋がる可能性があり、適切なタイミングで医療機関を受診することが重要です。

 本研究成果は、米国医学会雑誌「JAMA Network Open」に掲載されました。(日本時間 2021年9月22日午前0時)

研究成果のポイント

COVID-19流行による受診抑制により新規の早期胃癌患者数・早期大腸癌患者数が減少した。
大腸癌に関しては進行癌で発見される例が増加した。
過度な受診抑制は行わずに適切なタイミングで検診・医療機関を受診することが重要である。



[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/50883/250_188_2021090914252661399ac69324e.jpg



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図1・2 胃がんと大腸がんのStage別の月平均の新規診断患者数の変化
(P値*2が黄色いStageが有意な減少もしくは増加を示しています)

研究背景
 COVID-19によるロックダウンや医療崩壊によりがんの新規診断数が著しく低下していることが海外で明らかになり、その影響で今後がんによって亡くなる人が増加するという予測が報告されました。そこで、本邦においてCOVID-19の流行が消化器がんに及ぼした影響を明らかにするために研究をおこないました。

研究概要と結果
 本研究グループは横浜市立大学附属病院と国立病院機構横浜医療センターの2病院において2017年から2020年までの4年間で新たに消化器がん(食道がん、胃がん、大腸がん、膵がん、肝臓がん、胆道がん)と診断された全患者5167人の診断時のStageを調べました。日本において本格的にCOVID-19の流行が始まった2020年3月以降を流行期として流行前の期間と比較したところ新規がんの診断数が胃がんでは26.9%、大腸がんでは13.5%と有意に減少していました(図3)。また、Stage別に比較すると胃がんのStageⅠは35.5%、大腸がんのStage0は32.9%、StageⅠは34.0%、StageⅡは35.3%と有意な減少が認められた一方、大腸がんのStageⅢは68.4%の有意な増加を認めました(図1、2)。その他の膵臓がん、食道がん、肝臓がん、胆道がんに関しては有意な変化は認めませんでした(図4-7)。


[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/50883/400_227_2021090914263461399b0a51554.jpg

図3 消化器がん別の新たにがんと診断された月平均の患者数の変化



[画像4]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/50883/258_191_2021090914263961399b0f38ace.jpg



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図4・5 膵臓がんと食道がんのStage別の月平均の患者数の変化



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図6・7 肝臓がんと胆道がんのStage別の月平均の患者数の変化

研究結果の意義と今後の展望
 日本においては諸外国とは異なり、ロックダウンは行われず、緊急事態宣言が発出され、自粛要請という形で感染対策が行われました。また医療体制は一部地域を除いてCOVID-19の流行下においても医療制限は行われませんでした。実際に本研究においても再診患者数は流行前後で有意な減少は認めませんでした。しかし、初診者数は有意に減少しており、受診制限は行われなかったものの、無症状・軽症状の患者が受診を控えた結果初診者数が減少したと考えられました。
 しかしながら胃がんや大腸がんは早期では症状が出ないことがほとんどであり、自粛による受診控えにより早期胃がん、早期大腸がんの診断数が減少した可能性があります。また近年増加傾向にあり、患者数の多い大腸がんに関しては大腸カメラの施行時期の遅れにより進行したstageで発見される例が増加した可能性もあります。がんの発生率はCOVID-19前後でも大きな変化はないと考えられますが、診断数が減少していることより、今後も進行がんで発見されるケースが増える可能性があるため、適切なタイミングでの病院受診、胃カメラ検査、大腸カメラ検査などの検診を延期しないで、がんの早期発見の重要性を呼びかけることも大切だと考えます。
 2021年もまだCOVID-19の流行が続いており、引き続きがんの診断数や診断時のstageを注視しながら、患者さんへの啓発も進めていきたいと考えています。

論文情報
Gastrointestinal Cancer Stage at Diagnosis Before and After the COVID-19 Pandemic in Japan
JAMA network open
DOI:https://doi.org/10.1001/jamanetworkopen.2021.26334

用語説明
*1 Stage:がんの進行度を示す病期のこと。数値が大きくなるほど進行していることを示す。
がんの種類によって多少異なるが多くの場合Stage0-1が早期がんである。

*2 P値:統計学的に有意な差があるかを解析する際に用いる指標(確率)。
P値が0.05以下の際に有意な差があるとしている。




[画像8]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/50883/350_72_2021090914313261399c3423660.jpg









本件に関するお問合わせ先
横浜市立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp

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