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言語処理に関わる脳内ネットワークがアニメーション化で一目瞭然に

横浜市立大学

言語処理に関わる脳内ネットワークがアニメーシutf-8

 横浜市立大学医学部医学科脳神経外科学教室 園田真樹客員研究員(米国ウェイン州立大学 ミシガン小児病院 小児科・神経内科研究員兼任)、米国ウェイン州立大学 ミシガン小児病院 小児科・神経内科 浅野英司終身教授、同Brian H. Silverstein 研究員らの研究チームは、5歳以降の言語ネットワークにおける時空間ダイナミクスとその発達に関する新しい神経生物学的モデルを報告しました。このモデルは、言語処理を担う脳表領域の神経活動の強さ、その領域間の結びつきの強さ、そして、どの深部経路を介して神経情報を伝播するのかを6次元ダイナミックトラクトグラフィー*1解析技術を用いて、アニメーションとして可視化しました。(図1)
 本研究成果は、英国の学術誌「BRAIN」に掲載されました。(日本時間2021年11月29日)

研究成果のポイント

離れて存在する脳皮質領域間が、100分の5秒以下の速度で、どの解剖学的経路(脳白質線維)で、どちらの方向に、神経情報を伝達するのかを一目瞭然にした
質問に答える際に、言葉の想起に関わる脳皮質同士は、たとえ離れていても、より多くの情報を伝達できるよう、強く連結されていることを明らかにした
言葉の想起に関わる皮質脳領域間の結びつきは、5歳以降も年齢に応じて強化されていることを明らかにした



[画像1]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/53762/350_289_2021113009331061a57146f0df7.jpg

(図1)6次元でアニメ化された言語処理に関わる脳神経活動のダイナミクス

研究背景
 会話中に言いたいことが口から素早くでるのは、我々の脳が各領域で複雑な言語情報を処理してくれているからです。言語処理を司る脳領域は離れて存在していることは古くから知られていますが、どれくらいの速度で、どの深部経路を伝って、脳領域間が情報を受け渡しているのかという脳内ネットワークについては依然として不明な点が多くありました。
 そこで、37名の薬剤抵抗性てんかん患者から記録された3,401箇所の頭蓋内脳波を用いて、記録部位における機能的役割、記録脳表間の機能連結をそれぞれ解析しました。

研究内容
 本研究では、脳表皮質の機能的役割は、音声で提示される質問文とその回答の間に記録される脳表脳波記録を解析することで評価しました。また、記録脳表間の機能的連結と神経伝播速度は、微弱な単発皮質電気刺激によって引き起こされる離れた部位での脳波反応を解析することで定量化しました。これらの解析情報をMRI白質トラクトグラフィーと組み合わせ、言語処理に関わる脳皮質領域間の神経活動ネットワークの時空間ダイナミクスを、6次元ダイナミックトラクトグラフィーとして新たに提示しました。
 従来の研究では、言語処理に関わる脳内ネットワークは、概念の模式図をもって説明されることが多く、その解釈も難しいことが多かったといえます。本研究では「6次元ダイナミックトラクトグラフィー」を提供する新しい解析技術を用いて、言語処理段階ごとに脳内ネットワークとその神経活動伝播の様子を分かりやすいアニメーションという形で提供したことも着目すべき特徴の1つです。(図2)
 また、本研究の解析結果から、5歳以降も年齢が高ければ高いほど、言葉の想起に関わる皮質脳領域間の結びつきがより強くなっていくことが明らかになりました。



[画像2]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/53762/700_325_2021113009333661a5716010bb8.jpg

(図2)言語課題中の脳表脳波、皮質-皮質間誘発電位(スペクトラル変調)を集団解析し、言語処理に関わる神経活動の時空間ダイナミクスを可視化した図。
左図では、聴覚性言語課題中のタイミング(左上段)から、脳皮質領域の機能的役割を以下の3群に分けて定量化した(左下段):聞いた質問文の音を処理する段階(第2主成分:ピンク)、聞いた質問文への回答を想起する段階(第3主成分:緑)、発声を行う段階(第1主成分:黄色)。
中央図は、回答を想起する段階に活動している側頭葉から側頭葉外に向かう皮質領域からの神経活動伝播を示し、右図は、回答を想起する段階に活動している側頭葉外から側頭葉に向かう皮質領域からの神経活動伝播を示している。赤い白質線維は、回答を想起する段階に神経活動している領域同士をつなぐ投射経路を示し、青い白質線維は同段階に神経活動する領域から神経減衰している領域への投射経路を示す。同じ言語処理の段階に活動している皮質領域間でより強い結合性(結合性の強さ=白い球の大きさ)を認めた。側頭葉から側頭葉外に向かう神経活動の伝播経路は、弓状束(矢印)が担っていた。一方、側頭葉外から側頭葉に向かう神経活動の伝播経路も、主に弓状束が担っていたが、一部、鉤状束(矢頭)を介した神経活動の伝播も認めた。

今後の展開
 本研究は、言語処理に携わっている離れた脳皮質領域同士が、どの深部経路で、どれほどの速度で、どの方向に向かって、神経情報を伝達できるのかを一目瞭然にした点で神経科学分野において非常に意義は大きいと考えます。研究グループでは、本研究で用いた解析技術を応用し、より安全で有効な脳神経外科診断・治療方法の研究も進めていく予定で、医療分野への技術応用が期待されます。

論文情報
タイトル: Six-dimensional dynamic tractography atlas of language connectivity in the developing brain
著者: Masaki Sonoda, Brian H. Silverstein, Jeong-won Jeong, Ayaka Sugiura,
Yasuo Nakai, Takumi Mitsuhashi, Robert Rothermel, Aimee F.
Luat, Sandeep Sood and Eishi Asano
掲載雑誌: BRAIN
DOI: 10.1093/brain/awab225

用語説明
*1  6次元ダイナミックトラクトグラフィー:3次元的に脳内の神経線維走行を可視化する従来のトラクトグラフィーに、「記録皮質領域間の機能的関係性」、「走行線維の向きを持った機能的連結の強さ」と「神経伝播の速度」を加え、脳内ネットワークをアニメーションとして可視化したもの。



[画像3]https://user.pr-automation.jp/simg/1706/53762/350_78_2021113009363061a5720e2a3e3.jpg








本件に関するお問合わせ先
横浜私立大学 広報課
E-mail:koho@yokohama-cu.ac.jp

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