NISAやiDeCoなど資産運用で楽天証券を利用していると、楽天証券が潰れる可能性はないのか気になることもあるのではないでしょうか。
楽天証券の経営状態は良好ですぐに潰れる可能性は低いですが、属する楽天グループが赤字であるため、楽天証券の倒産を心配する方がいます。
本記事では楽天証券が潰れる可能性が低いことと、なぜ潰れると考える方がいるのかを解説します。
また、仮に楽天証券が潰れたら預けている資産がどうなるのか、あるいは楽天証券が不安な場合の対処法についても説明しましょう。
楽天証券を利用している方や、これから利用しようとしている方は、参考にしてください。
【結論】楽天証券が潰れる可能性は低い!
結論から言えば、楽天証券が潰れる可能性は低いです。
なぜなら、楽天証券の経営状態は良好で、売上高は過去最高を更新しているからです。
楽天証券が潰れるといわれるのは、属する楽天グループの経営が赤字であることが大きな要因でしょう。
しかし、楽天グループの赤字も縮小傾向にあり、インターネット事業や金融事業の成長は継続しています。
まずは、楽天証券と楽天グループの経営状態について確認しましょう。
楽天証券の売上高は過去最高を更新している
楽天証券単体の売上高は過去最高を更新しています。
2023年12月期の決算では、売上高にあたる営業収益は前年同期比16%増の1108億円、当期純利益が87%増の173億円と、ともに過去最高を更新しました。
証券会社経営の重要指標となる数値を見ても、総合口座数が1,020万口座で前年同期末比18%増、預り資産が25兆円で前年同期末比37%増、投資信託残高は7兆円で前年同期末比66%増と非常に好調な内容でした。
2023年10月より楽天証券では、国内株式取引の手数料を無料化したため、収益への影響が心配されました。
しかし、現時点では株式収入の減少を補い、成長継続が示された決算内容だったといえます。
2024年からは新NISA制度もはじまり、株式市場の参加者も増加が予想されるため、楽天証券の経営状態は悪くなるよりも、好調を継続する可能性の方が高いと考えられます。
楽天証券が潰れるといわれるのは楽天グループが赤字だから
楽天証券が潰れるといわれるのは、楽天グループが赤字だからです。
楽天証券単体の経営状態は良好ですが、属する楽天グループの経営状態は確かに赤字が続いており、不安を感じる方もいるでしょう。
楽天グループが赤字である原因は明確で、2020年に本格参入した携帯電話事業によるものです。
携帯電話事業は多大な設備投資が必要なビジネスで、さらに楽天グループはすでにNTTドコモとau、そしてSoftBankの3社が、国内の携帯利用者のシェアを固めているなかでの後発であるため、苦戦が続いている状況です。
楽天グループの2024年の1~3月期の決算は、最終的な損益が約420億円で、5期連続の赤字となりました。
さらに携帯電話事業の参入から社債による大型資金調達を継続しており、グループの抱える負債が大きい点も、楽天グループの懸念材料といえます。
楽天グループの赤字は縮小傾向にある
しかしながら、楽天グループの赤字は縮小傾向にあります。
2024年1~3月期の決算では、営業利益が332億円の赤字でしたが、前年の同期である2023年1~3月期の営業利益は761億円であり、大幅な改善を見せています。
グループ全体では、金融事業や旅行関連事業が好調で、売上も拡大しました。
また、楽天モバイルにおいては契約者の増加による増収と、コスト削減策の効果により収益性が改善しています。
引き続き、携帯電話事業の動向に注意が必要ですが、楽天モバイルの契約者数の増加が継続すれば、グループ全体の赤字も減少し、ゆくゆくは黒字化の目処も付いてくると予想されます。
インターネット事業・金融事業は成長している
楽天グループでは携帯電話事業の収支がグループ全体の収支をマイナスにしていますが、もともとのビジネスであるインターネット事業と金融事業は成長しています。
インターネット事業では、ビジネスの起点となったECサイトである楽天市場の運営に加えて、宿泊先予約のような旅行関連ビジネスや広告関連事業も手がけており、業績は好調です。
また、金融事業として楽天証券のほかにも、クレジットカードの発行や銀行の運営を手がけています。
クレジットカードの楽天カードは、利用により楽天ポイントが貯められるカードとして人気が高く、楽天グループの収益にも大きな貢献をしています。
また、ネット銀行としては後発組であった楽天銀行も単体での預金残高が10兆円を超え、ビジネスとしての成長が継続中です。
楽天証券が潰れたら資産はどうなる?
楽天証券が潰れる可能性は低いですが、ここからは仮に潰れた場合に、預けている資産がどうなるかを説明しましょう。
楽天証券に限らず、証券会社には法令で顧客の資産を会社の資産とは分けて管理する義務(分別管理)があり、証券会社が潰れたとしても預けている資産は、原則として返還されます。
また、証券会社が義務を怠り、顧客資産を分けて管理していなかった場合、投資者保護基金により1,000万円まで補償されます。
ただし、分別管理と投資者保護基金では、補償されない資産もあるため注意が必要です。
それぞれ詳しく見てみましょう。
有価証券・お金は戻ってくる
仮に証券会社が潰れたとしても、預けている有価証券やお金は原則として返還されます。
証券会社は、法令により顧客の資産と会社の資産を分けて管理する分別管理が義務づけられています。
証券会社が倒産しても、分別管理が適切におこなわれている限り、会社の負債返済に顧客の資産が利用されることなく、顧客に返還されるでしょう。
分別管理が適切に実施されているかを確認するため、証券会社は毎年監査法人によるチェックを受けることが必要です。
また、金融庁や日本証券業協会が証券会社の分別管理体制をチェックする場合もあり、この仕組みは厳格に運用されています。
分別管理ができていなかったとしても1,000万円までは補償される
仮に証券会社が分別管理をおこなわずに倒産した場合は、投資者保護基金により顧客資産は1,000万円まで補償されます。
投資者保護基金とは、証券会社が倒産した際に分別管理をしていない場合や、何らかの事故が発生した場合など、財産を円滑に返還できないときのために備えられた補償制度です。
本来、分別管理義務があるため、証券会社が潰れても資産の返還は可能ですが、投資者保護基金は万が一のときに利用する二次的な補償制度といえます。
すべての証券会社は投資者保護基金に加入する義務があり、楽天証券も加入していることを公式サイトで公表しています。
ただし、最大1,000万円までの補償であり、補償金額を増やすことはできないため、1,000万円を超える資産を預ける場合には、注意が必要です。
戻ってこない資産もある
証券会社が潰れたときに、分別管理と投資者保護基金では、戻らない資産があることには注意が必要です。
分別管理の対象とならない資産は次の資産になります。
- 信用取引の「本担保(本担保株式・本担保現金)」および未決済建玉の「評価益」
- 「貸株」として証券会社に貸し出している株式
- 外国為替証拠金取引(FX取引)の「委託保証金」および未決済建玉の「評価益」
信用取引の本担保とは、信用取引により購入した株式や空売りした株式の売却代金のことです。
信用取引は証券会社からお金や株式を借りて取引しているため、完全な顧客資産とはいえず、分別管理の対象とはなりません。
ほかにも貸株として提供した株式やFXに関する保証金も対象とならないため注意しましょう。
また、有価証券店頭デリバティブ取引やFX取引は、投資者保護基金の対象となりません。
同様に外国の取引所で取引する先物やオプション、CFD取引も対象とならないため注意が必要です。
なお、FX取引については、業者が顧客の資産を信託銀行で管理する「信託保全」がおこなわれるため、原則として業者が倒産しても顧客の資産は返還されます。
楽天証券が潰れたらNISA・iDeCoはどうなる?
続いて楽天証券が潰れたらNISAやiDeCoはどうなるのか、説明します。
NISAやiDeCoについても、前述の分別管理が適用されるため、楽天証券が潰れても資産は投資者に返還されます。
また、楽天証券が潰れても他社が楽天証券を買収や救済して、事業が継承されることも考えられるでしょう。
それぞれ具体的に確認しましょう。
資産は戻ってくる
仮に楽天証券が潰れたとしても、NISAの資産もiDeCoの資産も原則として投資者に戻ります。
まずNISA口座で管理されている資産は、先述の分別管理の対象となり、かつ投資者保護基金の対象です。
仮に楽天証券が倒産しても、分別管理されている資産は、楽天証券の負債返済に利用されることはなく、投資者の元に返還されます。
同様にiDeCoの資産も分別管理されており、楽天証券が潰れたとしても投資者の資産がなくなることはありません。
iDeCoの資産は、制度により信託銀行で保管されることが定められています。
分別管理の方法として、証券会社とは別の主体である信託銀行に保管する方法は、資産が混在する可能性がなく、より確かな管理方法といえます。
事業が他社に継承される場合はそのまま移管される可能性がある
万が一、楽天証券が潰れるときには、事業が他社に継承されて、資産もそのまま移管される可能性があります。
先述の通り、現時点で楽天証券が潰れる可能性は低いですが、仮に潰れる場合には別の会社が楽天証券を買収あるいは救済されて事業が継承されるケースが考えられます。
たとえば2023年にLINE証券は採算性の改善が困難であることを主な理由に、証券事業からの撤退を発表しました。
LINE証券の事業は野村證券に受け継がれ、預けられていた資産はNISA口座の資産も含めて野村證券に移管されることとなりましたが、預けていた投資家の資産が減ることはありませんでした。
なお、事業を継承する場合、サービスの内容は資産が移管される先の会社にあわせられることが多く、もとの会社で受けていたサービスや特典が受けられなくなる可能性がある点には注意が必要です。
楽天証券が不安なら別の証券会社を検討しよう!おすすめの証券会社を紹介!
説明してきたとおり、楽天証券が潰れても預けている資産は返還されますが、それでも別の証券会社を検討したい方はいるでしょう。
ここからは、楽天証券が不安な方に、別の証券会社を紹介します。
- SBI証券
- マネックス証券
- auカブコム証券
- 松井証券
- GMOクリック証券
1:SBI証券
口座開設数 | 1,300万口座※1 |
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投資信託銘柄数 | 2,569銘柄※1 |
IPO実績 | 91社※2 |
取引手数料 | 0円〜 |
外国株 | 米国・中国など9か国 |
NISA/iDeCo | ○ |
クレカ積立 | ○(三井住友カードなど) |
ポイント投資 | ○ |
ポイントサービス | Vポイントなど5種類 |
- NISAを始めてみたい
- クレカ積立でお得に投資したい
- 取扱銘柄が多い証券を選びたい
SBI証券は、SBIホールディングスグループの中核を構成するネット証券会社です。
証券口座数1,200万口座超、預かり資産40兆円超と国内のネット証券では最大規模の証券会社で、国内外の株式や投資信託のほか、FXやiDeCoなど取扱商品も多岐にわたります。(2024年3月末現在)
2023年9月より国内株式取引の手数料の無料化を実施しており、現在国内のネット証券で日本株の取引手数料が原則無料の会社は、SBI証券と楽天証券の2社です。
なおSBI証券は、新規株式効果(IPO)銘柄の価格操作をしたとして、金融庁より行政処分を受けましたが、決算での説明を見る限り経営状態が大幅に悪化するほどの影響は受けていないと見受けられます。
2:マネックス証券
口座開設数 | 260万口座※1 |
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投資信託銘柄数 | 1,700銘柄以上※2 |
IPO実績 | 53社※3 |
取引手数料 | 55円〜 |
外国株 | 米国・中国 |
NISA/iDeCo | ○ |
クレカ積立 | ○(dカードなど) |
ポイント投資 | ○ |
ポイントサービス | マネックスポイント |
- 米国株・中国株に投資したい方
- クレカ積立でポイント貯めたい方
- 1株単位で取引したい方
マネックス証券は、1999年に設立されたネット証券で、競争の激しい業界を生き抜いてきた歴史のある会社です。
マネックス証券の口座数は222万口座、預かり資産は7兆円で、株式や投資信託のほか暗号資産関連取引も充実しています。(2023年7月末現在)
また、マネックスカードというクレジットカードで投信積立の決済をおこなうと還元率が高い点や、IPOの取り扱い銘柄が多く抽選も平等である点などもマネックス証券の特徴です。
2023年10月にNTTドコモとの資本業務提携を公表しており、経営における安定性が増したことに加えて、今後は携帯電話と資産運用のサービス連携が期待されます。
3:auカブコム証券
口座開設数 | 175万口座※1 |
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投資信託銘柄数 | 1,800銘柄※2 |
IPO実績 | 24社※3 |
取引手数料 | 0円〜 |
外国株 | 米国 |
NISA/iDeCo | ○ |
クレカ積立 | ○(au PAY カード) |
ポイント投資 | ○ |
ポイントサービス | Pontaポイント |
- Pontaポイントを貯めたい方
- au PAY カードを利用している方
- スマホから手軽に資産形成したい方
auカブコム証券は、KDDIグループの子会社であるauフィナンシャルホールディングスと国内大手メガバンクである三菱UFJフィナンシャルグループが出資するネット証券です。
大手携帯電話キャリアとメガバンクにより運営される会社であり、ネット証券としては後発ですが、経営の安定度が非常に高い会社といえます。
またグループ内の携帯電話や銀行との連携に特色のあるサービスが充実しており、au携帯ユーザーの方には、非常にメリットの多いネット証券です。
国内外の株式や投資信託の取り扱いのほか、FXや債券など商品も充実しており、Pontaポイントで投資できるポイント投資サービスが可能な点も特徴です。
4:松井証券
口座開設数 | 約150万口座※1 |
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投資信託銘柄数 | 1,800銘柄以上※1 |
IPO実績 | 70社※2 |
取引手数料 | 0円〜 |
外国株 | 米国 |
NISA/iDeCo | ○ |
クレカ積立 | – |
ポイント投資 | ○ |
ポイントサービス | 松井証券ポイント |
- 取引手数料を抑えたい方
- 25歳以下の方
- 少額から投資を始めたい方
松井証券は、もともと店舗で顧客との対面取引をおこなう証券会社でしたが、インターネットの普及にあわせてネット証券に業態を転換し、現在では大手ネット証券の一角とされる老舗証券会社です。
かつては株式取引に注力した商品体系でしたが、最近では投資信託の品揃えも充実が進み、NISAやiDeCoも利用しやすいでしょう。
約定代金が1日50万円以下の取引の場合は、取引手数料が無料となるコースがあり、投資初心者にも優しい手数料体系です。
現在、投資信託の残高に対して、最大年間1%のポイントが貯まる投信残高ポイントサービスを実施しており、長期保有で投資をする方には嬉しい特典です。
5:GMOクリック証券
口座開設数 | 100万口座以上※1 |
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投資信託銘柄数 | 約130銘柄※2 |
IPO実績 | – |
取引手数料 | 0円〜 |
外国株 | – |
NISA/iDeCo | △(NISAのみ) |
クレカ積立 | – |
ポイント投資 | – |
ポイントサービス | – |
- 取引手数料を抑えたい方
- 株主優待を探している方
- 投資に関する知識を高めたい方
GMOクリック証券は、インターネット関連事業をおこなうGMOインターネットグループに属するネット証券です。
株式や投資信託のほかに、株価指数や商品の証拠金取引であるCFDや、特定の条件に該当するかどうかを二者択一で投資するバイナリーオプションなど、多岐にわたる商品を取り扱います。
とくにCFDのサービスとコンテンツが豊富で、国内店頭CFDの取引高は9年連続でNo.1です。
インターネットグループの特色を活かして、取引ツールが充実しておりPCでの分析ツールのみでなく、スマートフォンのアプリも利用しやすいツールが取りそろえられています。
まとめ
楽天証券の経営状態は良好ですぐに潰れる可能性は低いですが、属する楽天グループが赤字であるため、楽天証券の倒産を心配する方がいます。
証券会社に預けている現金や株式などの資産は、法令により証券会社の資産と分別管理されています。
仮に楽天証券が潰れたとしても、会社の負債返済に利用されることはなく投資者に返還されるでしょう。
本記事では楽天証券が潰れる可能性が低いことや、仮に楽天証券が潰れたら預けている資産がどうなるのかを説明しました。
楽天証券を利用している方や、これから利用しようとしている方は、参考にしてください。
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