DeepSeekが生成AI市場に与えるインパクト べイン・アンド・カンパニーが今後の市場シナリオを予測
ベイン・アンド・カンパニー
ベイン・アンド・カンパニーは、中国のAIスタートアップ「DeepSeek」のオープンソースモデル「DeepSeek R1」公開を受け、今後の市場の動きに関するシナリオを予測、レポートを公開しました。
200人以下の社員で組織されている中国のAIスタートアップ、DeepSeekは、OpenAIの5,000億ドル規模のプロジェクト「Stargate」の発表の前日に、オープンソースモデル「DeepSeek R1」を公開しました。DeepSeekは、NvidiaのH800 GPUを2,000台使用し、わずか600万ドルのコストでモデルをトレーニングしたと公表しています。これは、OpenAIのGPT-4の訓練にかかった8,000万~1億ドルや、MetaのLLaMA 3に必要な16,000台のH100 GPUといった従来の大規模AIモデルのトレーニングに比べて大幅なコスト削減を意味しており、AI業界の競争環境に大きな影響を与えています。
DeepSeekのような企業が低コストで高性能なモデルを開発できることを示したことで、今後、市場の競争ダイナミクスが大きく変化していき、投資家や企業はAI戦略の見直しを迫られています。
DeepSeekの技術は、オープンソースの形で提供されているため、他の企業や研究機関が自由に活用し、独自のAIモデルを開発することができます。これにより、イノベーションのスピードが加速し、AI技術の進化がより広範な分野に波及することが期待されます。
但し、いくつかの懸念点も挙げられています。例えば、DeepSeekモデルのトレーニングにかかる実際のコストの検証はまだ行われていないことや、ハイエンドとローエンドのGPUを組み合わせて使用したのではないかという憶測などがあります。
AI技術の進化自体にも課題があります。例えば、データの倫理的な利用やプライバシーの保護、AIのバイアス問題などが依然として重要な課題として残っています。
いずれにせよDeepSeekの発表は、AI業界にとって大きな転機となる可能性があり、AI市場の成長が加速し、業界の競争環境を大きく変えていくことが予測されます。ベインでは、今後の市場の動きについて以下の3つのシナリオを想定しています。
● 急成長シナリオ
AIの継続的な効率向上が推論コストの削減につながり、AIの普及が一気に加速する。コスト削減が需要の増加を促すパターン。
● 安定成長シナリオ
AIの学習コストは現状維持のまま、推論インフラへの投資が30~50%削減される。
● 停滞成長シナリオ
AIのトレーニングに対する予算が縮小し、推論インフラへの支出も大幅に減少する可能性。クラウド事業者の設備投資は400億~600億ドルの範囲に落ち込む可能性があるが、それでも2023年の1.5~2倍の水準となる。
詳細は英文のレポート(
https://www.bain.com/insights/deepseek-a-game-changer-in-ai-efficiency/ )を参照ください。
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記事提供:@Press