日本事務器 × 東京大学 × 斜里第一漁協 水産業DXの科学的実証に向けた共同研究を開始
日本事務器株式会社
日本事務器株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:田中 啓一、以下「NJC」)は、この度、国立大学法人東京大学大学院 農学生命科学研究科 農学国際専攻 国際水産開発学研究室(東京都文京区、准教授:阪井 裕太郎、以下「東京大学 国際水産開発学研究室」)および、斜里第一漁業協同組合(北海道斜里郡斜里町、代表理事組合長:馬場 浩一、以下「斜里第一漁協」)と、漁業における意思決定支援および費用削減効果に関する共同研究を開始しました。本研究は2027年3月31日まで実施予定です。
近年、漁業現場では気候変動や人手不足への対応が急務となる一方、操業判断は依然として「勘と経験」に依拠することが多く、属人的な経営判断が課題とされています。持続可能な水産業の構築に向けては、デジタル技術を活用した操業記録と意思決定支援の仕組みが重要な鍵となります。
東京大学 国際水産開発学研究室は、資源経済学・行動科学・環境評価などを統合し、水産業の持続可能性と経済合理性の両立を目指す実証研究を行っており、全国各地の漁業地域で調査実績を重ねています。
一方、NJCは、漁業者の操業データを蓄積・活用できる記録アプリ「MarineManager +reC.(マリンマネージャープラスレック)」を通じ、漁業のデジタル化とデータに基づく意思決定支援を推進しています。これまで北海道や西日本を中心に、複数の漁業協同組合と協働し、漁業記録の習慣化と利活用の仕組みを構築してきました。
今回の共同研究では、斜里第一漁協を協力フィールドとし、MarineManager +reC.を活用した操業データ等の分析を通じて、同ツールが漁業経営にもたらす定量的な効果を明らかにします。加えて、将来的なバイモーダルIT・生成AIなどの先端技術の活用可能性についても調査を行います。
NJCは本研究を通じて、漁業における意思決定支援のあり方を科学的に検証し、水産業の持続可能性とデジタル化推進に貢献することを目指します。今後は、地域間連携や行政支援との接続も視野に、より広域的な水産業DXの展開に寄与してまいります。
【共同研究の概要】
■期間 :2025年4月1日~2027年3月31日(予定)
■共同研究名:「漁業意思決定支援および費用削減効果に関する科学的検証」
■研究統括 :東京大学大学院 農学生命科学研究科 農学国際専攻
国際水産開発学研究室・准教授 阪井 裕太郎
■実施場所 :斜里第一漁業協同組合および同研究室
【研究内容(予定)】
1. 漁業記録と費用データ等の比較分析による導入効果の定量評価
2. 漁業者の操業判断への影響分析(質的・行動経済的手法)
3. 導入有無や導入前後比較を通じた客観的効果測定
4. バイモーダルIT・生成AIの応用可能性の検討
【役割分担】
■日本事務器株式会社:
システム提供・データ収集・分析支援・成果の社会実装展開
■東京大学 国際水産開発学研究室:
調査設計・分析・学術成果取りまとめ
■斜里第一漁業協同組合:
現場協力・漁業記録・費用データ提供
【サービス・団体の紹介】
■MarineManager +reC.について(
https://marinemanager.njc.co.jp/ )
MarineManager +reC.(マリンマネージャープラスレック)は、漁業者が日々の操業記録をスマートフォン等で手軽に記録し、振り返りやグラフ表示などを通じて行動改善・意思決定支援を行うデジタルツールです。記録データは個人活用にとどまらず、グループ内共有や協同組合単位でのデータ集約にも対応。水産業の変化に対応する“持続可能な漁業”を支える仕組みとして注目されています。
■東京大学 国際水産開発学研究室について
大学院農学生命科学研究科 農学国際専攻に属する研究室で、漁業・水産業における経済・政策・資源管理を統合的に扱っています。国内外のフィールドで実践的研究を展開し、持続可能な資源利用と地域社会のあり方を探る理論と実証の橋渡しを目指しています。
■斜里第一漁業協同組合について
北海道オホーツク海沿岸の斜里町にある沿岸漁業を基盤とした漁業協同組合で、サケ定置網漁などを行っています。地域資源を活かした持続可能な漁業経営に取り組み、近年はデジタルツールを活用した情報共有や若手漁業者の支援にも注力しています。
【本共同研究に対するコメント】
■東京大学 国際水産開発学研究室
本研究は、デジタル技術の導入によって漁業現場の意思決定をどのように支援できるのかを、実際の漁業者とともに学術的に検証する貴重な機会です。気候変動や人手不足といった課題に直面するいま、水産業の持続可能性を確保するには、経験に加えて客観的なデータに基づいた経営判断が求められています。
私たち東京大学 国際水産開発学研究室では、漁業者の視点に立ちつつ、日本各地でスマート水産業の取り組みの効果検証を重ねてきました。今回、先進的なデジタルツールを提供する日本事務器様、地域の漁業を支える斜里第一漁協様と協働できることは大変意義深く、現場に役立つ科学を届けるという私たちの理念とも合致しています。
今後は、得られた研究成果を広く共有し、他地域や他産業とも連携を深めながら、水産業の未来をともに考えるきっかけとしたいと考えています。
■斜里第一漁業協同組合
当組合は、現在、日本事務器様の「MarineManager +reC.」を活用し、定置網操業状況情報の共有が漁業者、組合、市場、買受人、流通業者にもたらす効果を検証しています。これは、より求められる漁業へと変革し、買受人の皆様や消費者の皆様に選ばれる産地となるためです。漁業者の技術、勘、経験をデジタル化し、将来にわたって漁業を守り育てることを目指し、海洋環境のモニタリングや海洋環境予測に関する研究者の知見も取り入れながら、これまで斜里町の漁業の持続可能性のために取り組んでまいりました。
今回、日本事務器様と東京大学様の共同研究に当組合も関わらせていただいたことが、我々の漁業にとって新たな発見や、既存の取り組みの効果検証などにつながると確信しており、今後の共同研究を楽しみにしております。
■日本事務器株式会社
斜里第一漁協様は、オホーツク海という豊かな海域を舞台に、若手漁業者の育成やデジタル化の積極的な導入など、地域の未来を見据えた持続可能な漁業経営に挑戦されています。同組合の実践的な取り組み姿勢は、まさに水産業DXのロールモデルと言える存在で、近年の当社取り組みに対しても多大なご協力をいただいてまいりました。
今回ご一緒する東京大学・阪井様は、行動科学や資源経済学の視点から水産業の持続可能性と合理性の両立を追求されており、現場と学術の橋渡し役として、全国各地で実証研究を重ねてこられました。先生の知見と分析力は、私たちの取り組みに新たな視座をもたらしてくれるものと確信しています。この共同研究を通じて得られる知見をもとに、水産業の持続可能性とデジタル化推進に貢献してまいります。
[日本事務器株式会社について]
NJCは、2024年に創業100周年を迎えました。1924年に日本事務器商会として創業し、キャビネット、タイプライタ、タイムレコーダ、貨幣計数器などの企業向け輸入事務機器の取り扱いから事業をスタートしています。現在はヘルスケア(医療・健診・介護)、民間企業、文教・公共など、全国各地域の様々な業種・業態のお客様に向け、業務システムや情報系ソリューションなどの多彩なICTソリューションを提供し、お客様の事業推進をサポートしています。
・会社名 : 日本事務器株式会社
・代表者 : 代表取締役社長 田中 啓一
・創業 : 1924年2月
・従業員数 : 844名(NJCグループ 1,185名)[2025年3月期]
・事業内容 : トータルソリューションサービスの提供
(コンサルティング、情報システム開発、情報システムの運用と保守)
・本社所在地: 東京都渋谷区本町三丁目12番1号 住友不動産西新宿ビル6号館
・URL :
https://www.njc.co.jp/
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