企業の「見えない信頼」を可視化する診断ツールを公開
InShift合同会社

「見えない信頼を経営資産に変える」マーケティング・広報コンサルティングを提供するInShift合同会社(東京都中央区、代表:黒木勝巳)は、企業が保有する「信頼」という無形資産の構造を可視化する「広報診断ツール」を無料公開しました。本ツールは、172社のデータと学術理論に基づき、広報・営業・採用・Web発信に散在する情報のズレや、自社の広報活動が経営成果につながる構造になっているかを、14問で診断します。
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【開発の背景】
近年、GoogleのAI OverviewsやChatGPTがユーザーの質問に直接回答する「ゼロクリック検索」の増加が指摘されています。海外調査※1では検索の約6割がサイト訪問なしで完結するというデータもあり、日本でも同様の傾向が進みつつあると考えられます。こうした変化を受け、「検索結果画面上でAIに引用される技術的な最適化」や「指名検索の強化」「自社独自の一次情報の発信」といった対策が各社から提唱されています。いずれも有効なアプローチと考えられますが、これらはいずれも「すでに整理された情報を、いかに届けるか」という発信側の技術論です。
しかし、AIが参照するのは個々のページではなく、ウェブ全体に散らばる企業情報の「整合性」です。広報では理念を語り、営業では価格を訴求し、採用では働きやすさを強調する。部門ごとに異なる文脈で発信された情報が矛盾していれば、AIは専門性の判定を保留し、推薦対象から外す可能性があります。つまり、技術的な最適化が機能するためには、その手前に「自社の何を・誰に向けて・どう伝えるか」が部門を横断して一貫している必要があります。
※1 詳細は当社コラム参照(
https://inshift.jp/news/zero-click-search-countermeasures/)
【診断ツール概要】
本ツールは、企業内における「発信の前提となる信頼の構造」がどの程度整っているかを可視化するセルフ診断プログラムです。
当社代表の著書『生成AI時代の新PR論〜水平統合型広報という企業の生存戦略』※2で提唱した考え方と、日本広報学会(学会誌『広報研究』第30号)に寄稿した「信頼資本化の4段階プロセスモデル」※3をもとに、以下の4指標から自社のボトルネックを特定します。
1.形式化:自社の経験や強みが、「顧客にとっての価値」として言語化できているか
2.明文化:その価値が、部門をまたいで一貫した情報としてWeb上に蓄積されているか
3.正統化:口コミや第三者評価が生まれやすい状態になっているか
4.定着:その結果として、指名されるブランドとして市場に根づいているか
表1:
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※2 著書「生成AI時代の新PR論〜水平統合型広報という企業の生存戦略」
https://inshift.jp/bookproposal-lp/
※3 地域企業ネットワークにおける社会関係資本の経済的機能と持続可能性
〜信頼資本化の4段階プロセスと広報の媒介機能〜
日本広報学会(学会誌「広報研究」第30号)
https://www.jsccs.jp/publishing/research/.assets/CCS30_kuroki_kitami.pdf
【診断レポート内容】
診断完了後、登録メールアドレスに診断結果レポートが即時送付されます。レポートは以下の3つの要素で構成されています。
1. タイプ判定
回答データに基づき、貴社の広報構造を類型化したタイプ名(例:「【隠れた実力者(明文化不足)】型」「【プロモーション先行】型」など)と総合スコアを提示します。自社が現在どのような構造的課題を抱えているかを、直感的に把握できます。
2. 分野別スコア(100点満点換算)
信頼資本化の4段階プロセスに社会関係資本と経営成果を加えた6分野について、それぞれ100点満点でスコアを算出します。どの分野が強みで、どこにボトルネックがあるかを一目で把握できます。
表2:
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3. 診断フィードバック(3段階構成)
タイプ判定とスコアに基づいて生成される個別フィードバックを、以下の3段階で構成します。レポート末尾には「今月取り組むべき一手(ACTION POINT)」として、診断結果に基づく具体的な改善アクションを1つ提示します。
表3:
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【理論背景】
本ツールの理論的な起点は、「自社は誰の、どんな課題を、どのように解決する会社か」を明確にすることです。
この考え方の背景には、ハーバード・ビジネス・スクールのDerek F. Abellが1980年に提示した事業定義論があります。Abellは、事業を「どの顧客の、どのニーズを、どの技術・能力で満たすか」という3つの次元で捉えました。当社ではこの考え方を、より実務で使いやすい形として「誰の・何を・どう解決するか(WWH)」と整理しています。つまりWWHは、単なる訴求整理ではなく、事業そのものを顧客価値から再定義するための視点です。企業の強みを顧客主語で言語化し(形式化)、部門横断で一貫した情報として蓄積・発信すること(明文化)が、信頼形成の出発点になります。
一方で、企業が市場や社会から「信頼できる存在」として認識されるには、発信内容そのものだけでなく、それが社会的に妥当で、一貫したものとして受け止められる必要があります。この点で本ツールは、制度論の観点から、企業がどのように正当性を獲得していくかという構造も踏まえています。
さらに、明文化された情報が既存顧客や地域社会、人とのつながりの中で共有され、口コミや紹介、共感として広がっていく過程は、社会関係資本の形成・活用として捉えられます。
本ツールは、こうした「価値の定義 → 一貫した発信 → 社会的正当性の獲得 → 信頼の波及と定着」という流れを、企業広報における信頼形成の構造として可視化するよう設計されています。
画像2:
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【実証データ】(検証中)
全国172社の中小・中堅企業を対象とした多変量解析(パス解析)により、広報活動が経営成果(指名買い・採用力・業績)へと結びつく因果構造において、以下の知見が得られました。なお、モデルは現在検証中となります。
1. 信頼資本化の「4段階プロセス」の連動
自社の強みの言語化(形式化)から始まり、継続的な情報発信(明文化)、そして第三者評価の獲得(正統化)という段階的なプロセスが、社会関係資本の核である「互酬性の規範(助け合いの精神)」の醸成に有意に寄与していることが確認できています。
2. 互酬性を起点としたネットワークの拡張
醸成された互酬性の規範は、既存取引先との関係深化(ボンディング)および外部との新連携(ブリッジング)という二方向のネットワーク拡張を促進する主要因として機能していることを確認しました。
3. 成果の源泉となる「定着(制度化)」の重要性
外部ネットワークを通じた信頼が、社内の理念理解や現場活動へと「定着(制度化)」している企業において、指名買いや採用力、業績が有意に向上する構造が示されました。
4. 「口コミ」の発生メカニズム
従来、広報の直接的な成果と見なされてきた「良い口コミ」は、単なる情報発信の結果ではなく、一連のプロセスが組織に「定着」した結果として生じる二次的な事象であることが示されています。
【InShift(インシフト)合同会社について】
InShift合同会社は、「見えない信頼を経営資産に変える」を掲げ、学術的知見と実務経験をもとに、マーケティング・広報支援を提供しています。生成AI時代の広報戦略として「水平統合型広報」を提唱し、企業の持続的な成長を支援しています。
URL:
https://www.inshift.jp/
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記事提供:@Press