喘息や鼻炎等のアレルギー様症状を悪化させる一因
アルコール・加熱耐性のある毒素をナノイー(帯電微粒子水)技術で99%不活
エンドトキシンで実証
パナソニック株式会社 くらしアプライアンス社

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パナソニック株式会社(以下、パナソニック)は、大阪公立大学名誉教授、兵庫県立大学客員研究員 向本雅郁氏の監修の下、喘息や鼻炎等のアレルギー様症状を悪化させる一因であるエンドトキシンに対して、ナノイー(帯電微粒子水)技術の不活化効果を実証しました。
厚生労働省が発表した「令和5年患者調査」によると、喘息の総患者数は約185万人いると言われています(※1)。また、喘息悪化の要因は多岐にわたることが知られています。その中で、学術的な研究ではエンドトキシンは喘息や鼻炎等のアレルギー様症状を悪化させる一因であることが示唆されている(※2)(※3)ほか、ハウスダスト中に含まれている(※4)ことやPM2.5や黄砂などの大気汚染物質への付着が確認されています(※5)(※6)。また、大腸菌などのグラム陰性菌に由来する物質であり、アルコールや加熱に耐性があり一般的な消毒方法による不活化が難しいことが知られています。
当社は、これまでに、ナノイー(帯電微粒子水)技術を用いて、細菌20種に対して抑制効果を実証したほか、細菌の抑制メカニズムについても一部解明(※7)しています。今回は、新たに細菌の毒素に対する効果を検証するために、アルコールや加熱にも耐性のあるエンドトキシンに対する効果を確認しました。その結果、ナノイー(帯電微粒子水)の照射で、99%以上不活化することを実証しました。なお、本検証は試験条件での結果であり、実使用空間における効果を検証したものではありません。また、症状悪化の一因となる化学物質への効果を検証したものであり、症状悪化そのものに対する効果を検証したものではありません。
パナソニックは安全で安心な空間の提供を通じた社会への貢献を目指し、今後もナノイー(帯電微粒子水)技術を進化させるとともに、その可能性を追求し続けていきます。
■本検証のポイント
・学術的な研究では、大腸菌などに由来しアルコールや加熱に耐性を持つエンドトキシンは、黄砂・PM2.5やハウスダストにも含まれており、喘息や鼻炎などのアレルギー様症状を悪化させることが示唆されるため注意が必要な物質です。
・エンドトキシンにナノイー(帯電微粒子水)を照射し、アルコールおよび加熱処理と比較した結果、ナノイー(帯電微粒子水)技術でのみ99%以上の不活化効果を確認しました。(検証①)
・大腸菌においてナノイー(帯電微粒子水)を照射し、エンドトキシン活性を測定した結果、99%以上の不活化効果を確認しました。(検証②)
【検証①】試験概要図(図1)
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・検証機関:パナソニック株式会社(※8)
・検証サンプル:エンドトキシン標準品
・検証装置:ナノイー(帯電微粒子水)発生装置
・検証方法:45Lチャンバー内に溶媒に溶かしたエンドトキシン
標準品が入ったシャーレを置き、シャーレから5 cmの位置で、ナノイー(帯電微粒子水)を所定時間照射。
照射後の試料でエンドトキシン活性を測定(※9)。
ナノイー(帯電微粒子水)照射の有無で比較し、エンドトキシンの活性残存率を算出(※10)。
また、ナノイー(帯電微粒子水)照射と比較するために、細菌が滅菌される条件での処理(加熱90℃, 10分処理、エタノール80vol%, 5分処理)をそれぞれ行い、エンドトキシン活性の残存率を算出(※10)。
【 検証②】試験概要図(図2)
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・検証機関:パナソニック株式会社
・検証サンプル:大腸菌懸濁液
・検証装置:ナノイー(帯電微粒子水)発生装置
・検証方法:45Lチャンバー内に溶媒に溶かした大腸菌懸濁液が入ったシャーレを置き、シャーレから
5 cmの位置で、ナノイー(帯電微粒子水)を照射。
照射後の試料でエンドトキシン活性を測定(※9)。
ナノイー(帯電微粒子水)照射の有無で比較し、エンドトキシンの活性残存率を算出(※10)。
■検証結果
【結果①】
エンドトキシン標準品に対して、ナノイー(帯電微粒子水)を48時間照射した場合、アルコール処理を行った場合、加熱処理を行った場合の、エンドトキシンの活性残存率(※10)を確認した結果を以下に記載。ナノイー(帯電微粒子水)技術でのみ99%以上の不活化効果を実証。
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図3:ナノイー(帯電微粒子水)照射・アルコール処理・加熱処理によるエンドトキシン標準品の活性残存率(※10)
【検証結果②】
ナノイー(帯電微粒子水)を48時間照射した大腸菌懸濁液を用いて、エンドトキシンの活性残存率(※10)を確認した結果を以下に記載。ナノイー(帯電微粒子水)技術で99%以上の不活化効果を実証。
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図4:ナノイー(帯電微粒子水)照射による大腸菌を用いたエンドトキシンの活性残存率
■大阪公立大学 名誉教授、兵庫県立大学 客員研究員 向本雅郁氏のコメント*
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エンドトキシンは大腸菌などのグラム陰性菌の表面に存在する毒素です。様々な生物活性を持ち、喘息や鼻炎などのアレルギー様症状を悪化させることが示唆されています。エンドトキシンはPM2.5や黄砂などの大気汚染物質中やハウスダスト中にも含まれていることが報告されています。特に黄砂は春季に観測日数が増えるため注意が必要です。また、エンドトキシンはアルコールや加熱に耐性があることで知られているため、細菌を殺菌してもエンドトキシンまでは不活化できない可能性があります。そのため、今回ナノイー(帯電微粒子水)技術のエンドトキシンに対する不活化を実証したことの意義は大きいと思います。
*当社から依頼し、いただいたコメントを編集して掲載しています。
■ナノイー(帯電微粒子水)の発生原理
霧化電極をペルチェ素子で冷却し、空気中の水分を結露させて水をつくり、霧化電極と向き合う対向電極の間に高電圧を印加することで、OHラジカルを含んだ、約5~20nmの大きさのナノイー(帯電微粒子水)が発生。(図5)
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図5. ナノイー(帯電微粒子)発生装置
※1 参考:「令和5年患者調査」.厚生労働省.
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/index.html
※2 参考:M.Berger et al. “Lipopolysaccharide amplifies eosinophilic inflammation after segmental challenge with house dust mite in asthmatics”, Allergy, vol. 70, No. 3, pp. 257-264, 2014.
※3 参考:Braga CR et al. “Nasal provocation test (NPT) with isolated and associated dermatophagoides pteronyssinus (Dp) and endotoxin lipopolysaccharide (LPS) in children with allergic rhinitis (AR) and nonallergic controls”, J Investig Allergol Clin Immunol., vol. 14, No. 2, pp. 142-8, 2004.
※4 参考:Peter S. Thorne et al. “Endotoxin Exposure Is a Risk Factor for Asthma The National Survey of Endotoxin in United States Housing”, American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, vol. 172, No. 11, pp. 1371-1377, 2005.
※5 参考:市瀬孝道「大気汚染(PM2.5, 黄砂等)とアレルギーに関する研究の進展」、『アレルギー』、第63巻8号、pp.1085-1094、2014.
※6 参考:Yahao Ren et al. “Enhancement of OVA-induced murine lung eosinophilia by co-exposure to contamination levels of LPS in Asian sand dust and heated dust”, Allergy Asthma Clin Immunol., vol. 10, No. 1, pp. 30, 2014.
※7 【プレスリリース】 ハーバード大学と共同で帯電微粒子水による細菌抑制メカニズムの可視化を実現 (2012年3月29日)
※8 エンドトキシン試験・データ取得は富士フイルム和光バイオソリューションズ株式会社様にご協力いただいています
※9 エンドトキシン試験は「第18改正日本薬局方」の「通則」および「一般試験法」に従って実施
※10 当社算出 エンドトキシンの活性残存率= (処理後の活性/未処理の活性)×100
◆本プレスリリースのまとめはこちら:
https://www.panasonic.com/global/consumer/nanoe/ja/topics/250306.html
◆ナノイー(帯電微粒子水)技術のこれまでの研究成果はこちら:
https://www.panasonic.com/global/consumer/nanoe/ja.html






記事提供:Digital PR Platform