駐車場の満空状況をリアルタイムで“見える化”! ~LiDARを使った駐車状況検知システムを社会実装~
名古屋大学

【本研究のポイント】
・春日井市の公共駐車場において、駐車場に定点設置されているセンサ「LiDAR(ライダー)」を活用した駐車状況検知システムを社会実装した。
・各駐車スペースの利用状況をリアルタイムに把握し、その情報を利用者向けにホームページで公開。駐車場への入場前に空きスペースの位置を把握できる。
・今後は、本システムで蓄積される駐車状況データや空き区画情報を活用し、自動運転車による「自動バレーパーキング」の実現に向けた検証を行う予定である。
URL:
https://www.nces.i.nagoya-u.ac.jp/admobi-dm2/parking.html
【研究概要】
名古屋大学大学院情報学研究科附属組込みシステム研究センターは、春日井市の公共施設「グルッポふじとう」の駐車場において、LiDAR(Light Detection And Ranging)を活用したリアルタイム駐車状況検知システムを社会実装しました。
本システムでは、駐車場内に定点設置したLiDARにより駐車スペースの利用状況をリアルタイムに検知し、その情報をホームページで公開しました。利用者は来訪前に空き状況を確認でき、満車時には別の駐車場を選択するなど、円滑な施設利用が可能となります。
LiDARは、レーザー光を用いて対象物までの距離を高精度に計測するセンサです。広い視野角を有するため、1台で広範囲の駐車スペースをカバーできるほか、昼夜を問わず安定した検知が可能です。近年では、自動運転車における周辺物体の検知や三次元地図の生成、障害物回避などに広く活用されており、自動車メーカーやモビリティ関連企業を中心に普及が進んでいます。今回の取組では、このLiDARを駐車場に定点設置することで、各駐車スペースの利用状況をリアルタイムに把握する駐車状況検知システムを実現しました。本システムではLiDARの点群データのみを利用しているため、個人を特定しにくく、プライバシーに配慮した運用を実現しています。さらに、空間を三次元的に把握できる特長を生かし、駐車スペースの占有状況を高精度に判別しています。
「グルッポふじとう」には複数の駐車場がありますが、本システムは施設に近接した駐車場に導入されています。この駐車場は開館日に混雑しやすく、駐車場に入らないと満車かどうか分からないため、満車時には利用者が進入後に引き返さざるを得ないという課題がありました。
本システムの導入により、駐車場探索時間の短縮や周辺交通の円滑化が期待されており、施設利用者のみならず地域全体の利便性向上への貢献が期待されます。
【研究背景と内容】
近年、都市部や公共施設では、駐車場の混雑状況や空き状況を事前に把握できないことが、駐車場探索に伴う時間的ロスや周辺交通の渋滞を引き起こす要因となっています。特に大規模施設では、複数の駐車場が分散配置されている場合が多く、利用者が適切な駐車場を選択しにくいという課題があります。また、施設に近接した駐車場には利用が集中しやすく、満車時には入庫待ちや他の駐車場への移動が発生するため、利用者の利便性低下や周辺交通への影響が懸念されています。さらに、利用者は入庫後も空きスペースを探しながら周囲を確認して走行する必要があり、接触事故などのリスク増加につながる可能性も指摘されています。
こうした課題を解決する方法の一つとして、駐車スペースの利用状況をセンサにより把握し、その情報を利用者へ提供する仕組みが考えられます。本研究では、その実現手段として、レーザー光により対象物までの距離を高精度に計測できるLiDARに着目しました。LiDARは広い視野角を有しており、少ない設置台数で広範囲の駐車スペースをカバーできます。また、昼夜を問わず安定した検知が可能であり、三次元的に空間を把握できることから、駐車スペース内の車両や落下物の有無を高精度に判別し、利用可否を適切に判断できます。さらに、本システムではLiDARの点群データのみを利用するため、個人の特定が困難であり、プライバシーに配慮した運用が可能です。
図1は、「グルッポふじとう」駐車場の全体図および駐車場内に設置したLiDARの配置です。3台のLiDARを電灯柱に設置しており、広い視野角により合計55台の駐車スペースを同時に観測しています。駐車スペースの状態判定には、点群データから生成した領域情報を用いて行います。
図1 「グルッポふじとう」駐車場に構築した設備
図2に処理のイメージを示します。LiDARから照射されたレーザー光が物体や路面に到達すると、その位置に観測点が得られます。路面に到達した場合には観測点の高さは地図上の路面高さと一致し、物体に到達した場合には路面高さよりも高い位置に観測点が得られます。本システムでは、この特性を利用し、観測点の高さと地面高さとの差分に基づいて領域を分類します。具体的には、レーザー光の経路に沿って観測点までの高さが1m以下の領域を非占有領域、物体に対応する観測点が存在する周辺を占有領域と判定します。そして、非占有領域の割合が大きい駐車スペースを「利用可能」、占有領域の割合が大きい駐車スペースを「利用中」と判定します。周囲の車両に囲まれるなどして十分な観測が得られない駐車スペースには、誤った案内を防ぐために安全側の判断として「利用中」と判定します。
図2 駐車スペースの状態判定
取得した駐車スペースの情報はホームページ上で公開しています。図3は表示例です。本表示では、各駐車スペースの空き状況を一目で確認でき、施設利用者は来訪前に空き状況を把握可能です。これにより、駐車場探索時間の短縮や周辺交通の円滑化が期待され、施設利用者のみならず地域全体の利便性向上に寄与します。
今後は、本システムで蓄積される駐車状況データや空き区画情報を活用し、自動運転車による「自動バレーパーキング」の実現に向けた検証を行う予定です。
図3 ホームページで公開している駐車スペースの状態
【成果の意義】
本研究の意義は、LiDARを用いた駐車状況検知システムを、実運用可能な形で社会実装した点にあります。従来、駐車場の空き状況は現地に行かなければ把握できない場合が多く、利用者の利便性低下や周辺交通の混雑を引き起こす要因となっていました。
本システムでは、駐車スペースごとの利用状況を高精度に把握し、その情報を事前に提供することで、駐車場利用の効率化を実現しています。これにより、駐車場探索時間の短縮、周辺交通の円滑化、さらには安全性向上への効果が期待されます。また、LiDARを活用することで、カメラを用いた手法と比較してプライバシーに配慮した運用が可能であり、公共空間におけるLiDARの新たな活用事例を示した点にも意義があります。さらに、広い視野角を生かして少ないセンサ数で広範囲をカバーできるため、導入コストの観点からも有効な手法であると考えられます。
▼本件に関する問い合わせ先
名古屋大学総務部広報課
TEL:052-558-9735
FAX:052-788-6272
メール:nu_research@t.mail.nagoya-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/


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