障害者支援金 予算カットを免れる 米ジョージア州
2010年04月10日
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ジョージア州議会 障害者支援金をカットせず
州予算案のやりくりに四苦八苦していたアメリカのジョージア州議会。だがなんとか「頑張って」くれたらしい。教育問題から行政サービスまで、ほとんど全ての制度が窮地に立たされる中、障害者支援に対する助成金は予算の削減を免れたようだ。
ジョージア州で50年にわたって障害者支援活動を続ける非営利法人「発達障害のすべて」(以下、AADD)の社会政策部長を務めるリタ・ヤングさん。障害のある人々がきちんと州政府による支援を受けられるよう手助けするのが役目であるヤングさんは、AADDとともに州議会にさまざまな支援対策を求めている。
(イメージ図)
ヤングさんによると、ほとんどの家庭では遅かれ早かれ経済的な支援を政府に求めるのだという。金銭的にも精神的にも、障害者の療育にかかる負担は半端なものではないからだ(※)。そのことは、すでに10代の2人の息子がともに自閉症の診断を受けている経験上、ヤングさんはよく知っている。
「うちでは、息子達を週に5日療育に通わせる生活を何年も送っていました。家族にとってその代償は本当に大きいんです」
と、ヤングさんは語る。
「家族が時々息抜きをするためにも、行政による支援は必要です。療育にかかる費用の多少の援助があるだけで、精神的にも家族はぐっと楽になるんですから」
と、ヤングさん。
(※)
日本では、「国民皆保険」として医療費の一部がほぼ確実に保障され、また多くの市町村で子供の医療費が無料化されてることから、発達障害の療育に対する経済的負担は比較的小さい(状況にもよるが、ほとんどかからないこともある)。一方アメリカでは、民間の保険会社を利用するため、発達障害の療育に保険がおりないことさえ珍しくないため、各家庭の負担は比較的大きくなる。
障害者支援活動における今後の課題
州の予算審議会でも、課題はあった。従来どおり行われる障害者支援活動に助成金を出すということは、予算の大半は従来どおり病院などの機関に助成されることを意味する。いわゆる待機リストにまで、手が回らないのだ。待機リストには、療育費用にあてようと支援金を求めるジョージア州民たちの名前が、少なく見積もっても5,000人分は載っているのである。
また公立の学校では、障害のある生徒・児童に対するケアや指導などの支援計画はしっかりしている。だが在学中はこれらの支援を受けられても、卒業と共にその資格は消滅し、全ては保護者―おそらくその大半は、医療費の支払いのために共働きであろう―の手にゆだねられる。
州政府が行う介護者の派遣や雇用訓練活動への参加がなければ、本人は好きなことを一日中やってだらだらと過ごす生活を余儀なくされてしまう。今、この状態に陥っている若者が州内に1,000人はいるという。
(編集部 小川優子)
▼外部リンク
Disability services escape Georgia budget cuts
http://www.northfulton.com/Articles-c-2010-04-05-182737.114126-sub_Disability_services_escape_Georgia_budget_cuts.htmlALL ABOUT DEVELOPMENTAL DISABILITIES(AADD)
http://www.aadd.org/index.html
記事提供:障害者雇用インフォメーション|