2025年度グッドデザイン賞 受賞結果を発表
公益財団法人日本デザイン振興会

最高賞であるグッドデザイン大賞は仮設住宅「DLT木造仮設住宅」に決定
〜能登半島地震において、解体せずに恒久的に使い続けられる新たな仮設住宅のモデルを実現〜
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公益財団法人日本デザイン振興会(所在地:東京都港区、会⻑:内藤廣)は、「2025年度グッドデザイン賞」の受賞結果を発表しました。国内外のデザイン関連分野の第一人者で編成する審査委員会が厳正な審査を実施し、5,225件の審査対象の中から、1,619件の受賞を決定しました。
特に優れたデザインとして評価された「グッドデザイン・ベスト100」から、金賞(各カテゴリーから最も優れた1件を選出/全20カテゴリー)を含む特別賞33件を選出しました。さらに金賞から、最高賞である「グッドデザイン大賞」は、能登半島地震における仮設住宅の建設で、解体せずに恒久的に使い続けられる新たな仮設住宅のモデルを実現した「DLT木造仮設住宅」に決定しました。
また、「2025年日本国際博覧会」に関連した当該年度のグッドデザイン賞受賞対象の中で、未来社会の共創を促し、人類共通の課題解決に向け新たなアイデアを発信するデザインとして特に認める「未来社会デザイン特別賞」に「大屋根リング」が選ばれました。
本年度は「はじめの一歩から ひろがるデザイン」をテーマに掲げ、今の社会におけるデザインを象徴するとともに、これからの社会にデザインができることを⽰すシンボルとして選出しました。
その他、長年にわたって人々から支持され続けている商品などに贈られる「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」には、11件が選ばれました。
◆ 2025年度グッドデザイン賞受賞結果
受賞件数:1,619件 受賞企業数:1,142社 審査対象数:5,225件
◆ 2025年度ロングライフデザイン賞受賞結果
受賞件数: 11件 受賞企業数: 11社 審査対象数: 118件
2025年度グッドデザイン大賞(内閣総理大臣賞)
仮設住宅「DLT木造仮設住宅」
受賞者:坂茂建築設計+株式会社家元+株式会社長谷川萬治商店
受賞番号: 25G120922
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◆デザインの概要
2024年の能登半島地震の際に建設された応急仮設住宅である。木材に穴をあけて並べたものに木ダボを
差し込み、接着剤を使わずにパネル化したDLT(Dowel Laminated Timber)を、箱型のユニットにして
積み上げることで工期を短縮。これまでに珠洲市と輪島市において計12棟・166世帯分の2階建て仮設住宅を建設した。
【グッドデザイン大賞のデザイン評価ポイント】
日本列島は地震災害から切っては切れない関係にある。しかし、災害への対応は常に後手となり、これまでの被災経験を生かし切れているとは言い難い。この建築家は東北大震災での支援経験を含め、多くの災害への建築的対応を実践してきており、この能登の復興住宅でも事前に蓄積されてきた知見が生かされている。具体的には、すぐに数量の確保できる一般流通木材をダボによって一体化して木板面を形成し、これを箱型に組み市松状に積み上げることで、効率的に安定した空間を実現している。その空間的質は入居者が出たがらないほどに高く、その他の災害時仮設住宅が現場小屋の流用であることとは対照的である。災害支援の経験からの物理的ノウハウに加え、被災者を中心に据えて思考するヒューマニズムはまさに建築家ならではの社会貢献である。「能登を忘れるな」のメッセージと共に、この高い評価を社会に発信したい。
【グッドデザイン⼤賞受賞者のコメント】
坂茂建築設計 坂茂様
災害後に建設される従来のプレファブ仮設住宅は、高額な建設費用にもかかわらず、住み心地が悪いうえ数年で廃棄されます。我々は東日本大震災や熊本地震後に、プレファブ仮設住宅と同じ広さ・同じ建設費で、住み心地の良い仮設住宅を作ってきました。その後、恒久的に使える木造住宅を開発してきました。それが今回の能登地震の被災地で実現したDLT木造仮設住宅です。仮設住宅でも、被災者の精神的・肉体的負担をなくすため、住み心地が良く、その後解体して廃材を出さない、環境への負荷を最小限にする取り組みが重要であると考えます。
<プロフィール>
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坂 茂
1957 年東京都生まれ。
1978 ~1980年南カリフォルニア建築大学(SCI-Arc)。1980~1982年、1984年クーパー・ユニオン建築学部(NY)卒業。1982~1983年磯崎新アトリエ。1985年坂茂建築設計設立。1995~1999年国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)コンサルタント。1995年NPO法人ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)設立。2001~2008年、2015~2023年慶應義塾大学環境情報学部教授。2023年~芝浦工業大学特別招聘教授。
【審査委員長コメント】
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齋藤 精一 審査委員長
デザインの力がさまざまな分野に浸透しつつある今日、従来の「モノのデザイン」「コトのデザイン」だけでは語りきれない姿が、今年度は特に顕著に見受けられました。完成に満足することなく、思考と実装を繰り返し、多くの「はじめの一歩」を重ねてきた成果です。デザインが社会に実装されるとき、プロダクトやサービス、仕組み、取り組み、建築など多様な形式をとるために、その背後にある着眼点、課題意識、熱意などは見えにくくなりがちです。だからこそ、グッドデザイン賞は単に成果物を評価するアワードにとどまらず、プロセスや活動を共有し、手法を分かち合い、勇気を得る場となり、さらに多くの人々に知っていただくきっかけとなる。そのようなデザインを起点とした強いコミュニティとして、継続的に存在すべきだと改めて感じました。デザインの力をさらに多くの人々に活用していただくために、グッドデザイン賞も時代とともに進化し続けます。
2025年度グッドデザイン賞金賞(全19件)
本年度は各カテゴリーで最も優れた1件を選出。経済産業大臣賞は金賞から我が国の経済の発展に寄与すると特に認める対象に贈られる賞として3件を選出。
応募カテゴリー:
https://www.g-mark.org/apply/gda/guide/categories
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2025年度グッドフォーカス賞(全12件)
【新ビジネスデザイン】(経済産業省 商務・サービス審議官賞/3件)
新たなビジネスモデルや新産業の創出、イノベーションの促進に寄与する優れたデザイン
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【技術・伝承デザイン】(中小企業庁長官賞/3件)
国内中小企業の高度な技術や技能によって実現された、特に優れたデザインの製品
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【地域社会デザイン】(日本商工会議所会頭賞/3件)
地域社会の持続的発展や経済の活性化に特に寄与するデザイン
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【防災・復興デザイン】(日本デザイン振興会会長賞/3件)
自然災害への防備または自然災害による被害からの復興に寄与するデザイン
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未来社会デザイン特別賞(全1件)
「2025年日本国際博覧会」に関連した当該年度のグッドデザイン賞受賞対象の中で、未来社会の共創を促し、人類共通の課題解決に向け新たなアイディアを発信するデザイン
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【ロングライフデザイン賞】(12件)
長年にわたり機能や価値が広く認められ、将来においてもそれらを発揮し続けることが望まれるデザイン
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グッドデザイン賞とは
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1957年に創設された「グッドデザイン商品選定制度」を継承する、総合的なデザインアワードです。複雑化する社会において、課題の解決や新たなテーマの発見にデザインが必要とされ、デザインへの期待が高まっています。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごと(製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど)をデザインと捉え、その質を評価・顕彰しています。デザインの優劣を競う制度ではなく、審査を通じて新たな「発見」をし、Gマークとともに社会と「共有」することで、次なる「創造」へ繋げていく仕組みです。
◀︎一次審査
エントリーシートの情報を全て読み込み、ユニットに分かれてディスカッションします。
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◀︎二次審査
会場の幕張メッセには全ての作品やパネルを展示。
審査委員(総勢約100名)が、ひとつずつ手に取り、丸3日間かけて厳正な審査を行います。
会場が広いため、ときには自転車を使って移動します。
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本件に関するお問合わせ先
・報道関係者のお問い合わせ
公益財団法人日本デザイン振興会 広報窓口 E-mail:press@jidp.or.jp
関連リンク
グッドデザイン賞サイト
https://www.g-mark.org/
2025年度グッドデザイン賞二次審査ダイジェスト動画
https://youtu.be/2d75-4aSjO4?si=ClUspUnG_Fr-MdW4

























記事提供:Digital PR Platform