文部科学省「AI for Science(SPReAD)」第2回公募に、大庭三枝教授の研究が採択。生成AIで国際政治学の研究分析手法を拡張 ―神奈川大学は、分野を超えた研究者の挑戦を支援します―
神奈川大学
2028年に創立100周年を迎える神奈川大学(本部:横浜市、学長:戸田 龍介)では、文部科学省「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」第2回公募において、法学部・大庭三枝教授の研究課題が採択されました。
第2回公募には全国から17,914件の応募があり、採択されたのは656件、採択率は3.7%でした。本学からは、第1回公募で自然科学系の研究3件、今回の第2回公募で社会科学系の研究1件が採択されました。2回を通じた採択件数は計4件となり、文理双方の研究で採択成果が生まれています。
今回採択された研究課題は、「生成AIによるインド太平洋の制度化分析手法開発――自律性希求とヘッジングが秩序を動かす論理の可視化」です。生成AIを活用し、複雑なインド太平洋の国際関係を分析する新たな手法の開発に取り組みます。
【研究概要】
●今、インド太平洋ではどのような制度的ネットワークが形成されつつあるのか、なぜそのような制度化が進むのか、制度化が進む中でどのような地域秩序が立ち現れているのか
インド太平洋地域には、安全保障・政治分野においてはQuad(日米豪印の協力枠組み)や三国間協力などのミニラテラリズム、二国間での防衛協力の制度化が進んでいます。また経済分野でも、メガFTAであるCPTPPやRCEPなどの複数の枠組みがあります。
各国は、自国の安全や経済的利益、外交上の立場を考えながら、参加する枠組みを選んでいます。本研究では、地域組織やミニラテラルの枠組み、二国間協定などに関する一次資料を横断的に分析し、インド太平洋地域で多層的な制度化がどのように進んでいるのか、その全体像を明らかにします。
さらに、そうした制度化がなぜ進んでいるのかについても、各国のこれらの制度に参加する際の目的、脅威認識などに関する言説を分析して検証することにも挑戦します。その際、各国の自律性確保のための戦略追求がドライバーではないかという仮説を立てています。
●生成AIと専門知を組み合わせた分析手法
本研究では、各国の政府文書、共同声明、戦略文書、記者会見録、報道発表など数百件の一次資料を対象に、制度名、参加国、法的性格、協力分野をまず生成AIで抽出します。今、インド太平洋を舞台にどのように制度化が進んでいるのか、各国がどのようにこれらに関わっているのか、まず見るためです。その上で、各国の目的や脅威認識に関する言明も生成AIで抽出することに挑戦します。
これらの抽出した情報を構造化し、国や時期を越えて同じ基準で比較することで、これまで代表的な事例
の精読を中心に捉えてきた制度化の全体像を、より広い範囲から把握できるようにします。
そのうえで、各国と複数の国際的な枠組みとの関係を可視化し、その政治的な意味や地域秩序への影響を、国際政治学の知見に基づいて分析します。
また、あらかじめ研究者が分析したデータとAIによる抽出結果を比較し、情報の一致率、出力の安定性、ハルシネーションなども検証します。これにより、生成AIを活用して研究者が扱える情報の範囲を広げるとともに、国際政治学の文書分析におけるAIの可能性と限界を明らかにします。
最終的には、資料収集、AIによる分析、検証、可視化までの工程を整理し、AI活用型分析手法の有効性と限界を整理します。
【本学の取り組み】
●総合大学として文理双方でAI for Scienceを推進
今回の研究は、大庭教授による国際政治学上の新たな挑戦であると同時に、本学が分野を越えて推進するAI for Scienceへの新たな挑戦の一つです。本学では、自然科学から人文・社会科学まで、さまざまな研究分野において、それぞれの専門知とAIを組み合わせた研究が進められています。
SPReADでは、第1回公募で自然科学系の研究3件、今回の第2回公募で社会科学系の研究1件が採択されました。今回の採択結果は、総合大学として多様な分野でAI for Scienceに取り組む本学の研究力を示す一つの成果です。
神奈川大学は、研究者による新たな研究方法や研究領域への挑戦を、今後も分野を越えて支援してまいります。
【神奈川大学 佐藤裕美副学長のコメント】
第1回公募に続き、第2回公募でも本学の研究が採択されたことを、大変誇らしく思います。
今回の採択は、大庭教授が積み重ねてきた国際政治学の専門知を基盤に、生成AIを活用した新たな分析手法に挑戦する研究が評価されたものと受け止めています。
本採択を契機に研究が一層進展することを期待するとともに、引き続き、さまざまな分野で新たな研究に
挑む研究者を支援してまいります。
【採択課題概要】
研究代表者: 大庭三枝(神奈川大学法学部 教授)
研究課題名: 「生成AIによるインド太平洋の制度化分析手法開発――自律性希求とヘッジングが秩序を動かす論理の可視化」
採択事業: 文部科学省「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」第2回公募
関連リンク
神大の先生:大庭 三枝 教授
文部科学省「AI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD)」 公式Webサイト
令和8年度 AI for Scienceによる科学研究革新プログラムAI for Science 萌芽的挑戦研究創出事業(SPReAD) 第2回公募採択課題一覧.pdf | Powered by Box
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