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「自衛隊明記」で何が変わる? 有権者の『軍拡への恐怖』と、高市首相が掲げる「隊員の誇り」の着地点

2026年02月10日

自民党の提案内容を冷静に精査すると、そこに見え...

 今回の改憲論議において、最も世論が割れ、かつ有権者の不安が集中しているのが「憲法9条への自衛隊明記」だ。高市首相が掲げる「自分の国は自分で守る体制」という言葉に対し、SNSでは「ついに戦争ができる国になるのか」「徴兵制への一歩ではないか」という不安も散見される。

 しかし、自民党の提案内容を冷静に精査すると、そこに見えるのは軍事大国化への野望ではなく、極めて実務的、かつ「民主的な統制」をより強固にするための法整備の姿である。

 ■有権者のハテナ(?) なぜ「今」書き込む必要があるのか

 自民党の改憲案は、9条1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持)を維持したまま、新たに「9条の2」を設け、自衛隊の保持を明記するというものだ。これに対し、多くの有権者は「今でも自衛隊はあるのに、なぜわざわざ憲法に書き込む必要があるのか?」という素朴な疑問を抱いている。 この問いに対し、高市首相は一貫して「法的地位の確立」を訴えてきた。命を懸けて任務に就く隊員たちが、憲法上の位置づけが曖昧なまま「解釈」の範囲で活動し続ける矛盾を解消し、国家としてその存在を正式に認める。これは組織の士気に関わるだけでなく、公的な安定性を確保する狙いがある。

 ■民主主義の要 憲法レベルでの「シビリアン・コントロール」強化

 さらに重要なのが、憲法に自衛隊を位置づけることは、同時に「自衛隊をコントロールする仕組み」をも憲法レベルで格上げすることを意味する点だ。 現在の自衛隊は、憲法上に記述がないため、文民統制(シビリアン・コントロール)の根拠の多くを「法律」に頼っている。これを憲法に明記するということは、すなわち「政治(文民)が軍事組織をいかに統制するか」という民主主義のルールを、最高法規である憲法の中に、より厳格かつ明確に定義し直すことに繋がる。

 「存在を認めること」と「暴走させない仕組みを書き込むこと」は表裏一体であり、この憲法上の歯止めが強固になることで、一部で懸念されるような「なし崩し的な軍拡」を防ぐ法的障壁がより確かなものとなる。

 ■徴兵制の否定 合理的理由と首相の断言

 この「憲法による厳格な統制」が前提となるからこそ、高市首相が明言する「徴兵制の否定」もより強い説得力を持つ。 現代の安全保障において、装備の高度化やサイバー・宇宙といった専門領域への対応は、専門性の高い「プロフェッショナルな自衛官」を育成・維持することこそが国防の要であり、現代戦において徴兵制は軍事的な合理性を完全に欠いている。 首相が掲げる「隊員の誇り」を尊重する姿勢と、憲法への明記によるシビリアン・コントロールの強化。この二つが合わさることで、強制的な動員といった旧来の懸念を論理的に排除しつつ、現代に即した新しい安全保障の形を模索していると言える。

 ■安全保障の「実務」と「民主主義」の調和

 自衛隊を憲法に正しく位置づけることは、平和を守る隊員たちの法的安定性を確保するだけでなく、同時に文民統制のルールを、最高法規である憲法の中に、より厳格に定義し直すことに他ならない。

 だからこそ、その「統制」の主役である有権者は、自らの投じる一票の重みをこれまで以上に深く受け止めなければならない。また政治の側も、憲法という強大な権限を扱う以上、これまで以上に国民に顔が見える、誠実な対話を積み重ねる政治を心掛ける必要がある。

「暴走」か「熟議」か。その答えは、これから始まる国会での議論の質、そして私たち有権者一人ひとりが、自衛隊という存在とどう向き合い、どのような「民主的な縛り」を憲法に刻むべきかを正しく理解しようとする姿勢にかかっている。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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