「AIのいいなり投資」で失敗しないために。専門家が明かすAI時代の投資リテラシーと後悔しない資産運用術
2026年10月09日

NISAやiDeCoの普及に伴い、将来への備えとして資産形成を始める人が増えています。
こうした中、疑問や不安を手軽に解消できる手段として、ChatGPTやGeminiといった「生成AI」を投資の相談相手に選ぶ人も急増中です。
しかしその一方で、AIが提示した回答を確かめずにそのまま信用して投資判断を下してしまう、いわゆる「AIのいいなり投資」による失敗や後悔が新たなリスクとして懸念されています。
こうした背景を受け、不動産投資などを手掛けるプロパティエージェント株式会社は、独自調査を実施。
その調査結果で読み解ける、投資経験者が陥りやすい「AIのいいなり投資」の実態と深刻なリスクを取材しました。
データで見る「AIのいいなり投資」の実態とAIの限界
10月4日の「投資の日」を前にした10月2日、「AI時代の投資リテラシー」セミナーが開催。
セミナーの冒頭、モデレーターを務めるミガロホールディングス株式会社 CMO/CCSOの山本 悟史氏は、NISAやiDeCoの普及で投資を始める人が増える一方、明確な目的や判断軸を持たないまま始めてしまう人が少なくないと指摘しました。
プロパティエージェントの調査データによると、20代の46.8%が投資判断の参考として生成AIを活用し、専門家を上回る第1位となっています。
AIを参考にする理由としては、「手軽ですぐ答えが出る」(64.2%)が最多である一方、「回答の内容が正確だと思う」は10.6%にとどまります。
ところが、自分の考えとAIの回答が食い違った際に「AIを優先する」と答えた生成AI利用者は43.1%にのぼりました。
山本氏は、正確だと信じているわけではないのに、手軽さからAIに判断を委ねてしまうこの状態を「AIのいいなり投資」と位置付けました。
また、dentsu Japanチーフ・AI・オフィサーの並河 進氏は、AIには「学習データが古い可能性」「参照元のウェブ情報自体が誤っている可能性」「リスクや前提条件が示されない説明不足」という3つの限界があると解説。
専門知識がない分野ほど利用者が説明不足に気づけず、判断を委ねてしまう危険性に注意を呼びかけました。
AIで失敗しない!賢く情報を「確かめる」プロンプトとは
続くトークセッションでは、FOX UNION代表で元TBSアナウンサーの国山 ハセン氏が自身の体験談を披露。
かつてAIに「次に来る個別銘柄」を尋ね、米国の中小型電力関連株を購入したものの、株価の乱高下に直面し、売り時や買い時をAIの回答だけでは判断できず塩漬け状態になった失敗を明かしました。
国山氏は「AIに判断を丸投げせず、対象銘柄や成長の根拠は自分で深く調べる必要がある」と振り返り、AIをポートフォリオのリバランス検討や思考整理の“壁打ち相手”として使う自身のルールを共有しました。
これを受けて並河氏は、AIの回答を効果的に検証するプロンプト(質問)術として、
「根拠や参照URLをAIに提示させて確認すること」
「単一案ではなく3〜5案を出させ、それぞれのメリット・デメリットを比較させること」
「『自分に必要な質問を10個出してほしい』とAIに依頼し、自身の年収や目的、リスク許容度を反映させること」
を提案しました。
ChatGPTを実践操作!ワークショップで学ぶ「最終判断」の重要性
セミナーの終盤では、参加者が自身のスマートフォンでChatGPTを操作し、資産配分案を自分の状況に合わせて再構築する体験型ワークショップが実施されました。
参加者は、毎月の支出内訳をAIに入力して見直し、投資に回せる資金(入金力)を算出したり、複数案を出させてリスクを比較し、自分に最適な配分を選び直したりするプロセスを体験しました。
ワークショップを経て、国山氏は「生活費やサブスクを見直して入金力を高めるなど、自分自身で考えてポートフォリオを見直した行為自体に価値がある」とコメント。
並河氏も「AIは依存する対象ではなく、自分で考え続けるためのパートナーとして扱うべきだ」と総括しました。
また、不動産の個別事情や人生設計など現場の一次情報はAIだけでは把握しきれません。そのため、専門家への相談に加えてAIをセカンドオピニオンとして併用し、最終判断は人が担うことの重要性が示されました。
投資において最も大切なのは、「何のために投資をし、どのような人生を送りたいか」という自分自身の価値観やライフプラン。
AIを過度に恐れたり頼り切ったりするのではなく、自分の思考を整理・補強してくれるパートナーとして賢く付き合うことが重要だと言えそうです。
最新テクノロジーを味方に付けながら、自分らしく、納得のいく資産形成を進めてみてはいかがでしょうか。
記事提供:WomanApps|