需要予測・自動発注を活用した青果DX
株式会社シノプス

食品ロス25%、発注作業50%、配送トラック最大47%削減を達成
株式会社シノプス(本社:大阪府豊中市、代表取締役社長:岡本 数彦、以下「シノプス」)は、西日本でドラッグストアを展開する企業が立ち上げた四国青果物流通合理化協議会へ参画しました。同協議会が農林水産省の補助事業(令和5年度 物流生産性向上推進事業)に採択され、需要予測型自動発注の導入による青果物の発注業務効率化、食品ロスの削減、および需要予測データを活用した物流負荷の軽減を目指す実証実験を2024年10月から2025年1月まで実施いたしました。その結果、食品ロスの改善、発注時間の削減、配送トラックの削減などの効果を確認できました。
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実証実験を行った店舗の青果売り場
■ 背景
鮮度劣化が早く品質保持期間の短い青果物は、スーパーマーケットやドラッグストアでは熟練者による日々のきめ細やかな発注と迅速な納品が不可欠です。しかし、小売業では慢性的な人手不足からベテランの発注担当者が減少しており、さらに青果の発注から納品までのリードタイム(以下、「LT」)が短いことから、配送効率よりも納期が優先されることも多く、結果、積載効率の低いトラック手配が常態化しています。この非効率な物流は「物流の2024年問題」(注1)によるドライバー不足が懸念される物流業界の、一層の負担増につながる要因となっています。
また、青果物はその特性上、食品ロスが発生しやすく、仲卸(注2)や小売の過剰な発注は食品ロスにつながります。多くの小売業では、過去の販売実績に基づいた自動発注システムを導入しているものの、青果物は季節や気候により品質・価格が変動しやすく、明確な賞味期限が存在せず、見た目の変化や熟度といった個体差によって売れ行きが変わるため、過去の実績データだけでは正確な需要予測が極めて困難です。このような背景から、青果物の需要予測・自動発注化の実現が難しいとされてきました。
(注1)物流の2024年問題: 働き方改革法案によりドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題の総称のこと。
(注2)仲卸: 卸売市場において、卸売業者から仕入れた商品を小売業者や飲食店向けに小分けして販売する業者のこと。
■ 実証実験について
西日本に60店舗超、ドラッグストアを展開する企業、および、そのドラッグストアへ青果物を卸す仲卸と協同で、青果の食品ロス削減、業務効率化、物流負荷軽減を目的とした2つの実証実験を行いました。本実証実験では、日配品(注3)や惣菜など賞味期限の短いカテゴリで実績のある需要予測型自動発注システム「sinops-R」(シノプス アール)に、青果用の需要予測ロジックを追加。従来困難とされてきた青果の需要予測・自動発注を実現し、食品ロス削減と業務効率化を図ります。また、自動発注の過程で生成された需要予測データを活用することで、川上である仲卸を含めた業務効率化と物流負荷軽減を目指します。
(注3)日配品: 毎日店舗に配達される賞味期限の短い食品の総称。デイリーとも呼ばれる。牛乳、乳製品、豆腐、生麺や生菓子など。
実証概要
「sinops-R」に、青果特有の相場変動や在庫計算などを考慮した青果用の需要予測ロジックを追加開発。ドラッグストアが青果仲卸から仕入れる玉ねぎやジャガイモなどをはじめとした青果15商品を対象に需要予測・自動発注の実証実験を実施した。
実施店舗 2店舗
実施期間 2024年11月21日(木)~2025年2月2日(木)
対象商品 15商品
主な成果 販売実績(個数・金額)は現状を維持したまま、発注作業50%削減、食品ロス25%削減。
実証概要
青果物流では、納品LTの短さなどの要因から物流・業務負荷が課題とされる。
今回実証実験を行う店舗でも、青果の発注を行った2日後に納品される(納品LT2)ため、青果仲卸は納品に間に合わせるため、店舗発注が確定する前に、見込みで作業計画や配車手配などを行っており、この商慣習が青果物流を圧迫する一因となっている。そこで、実証1において、青果への需要予測・自動発注システム「sinops-R」を導入した上で、さらに以下の3つのシナリオを実施した場合の、物流、作業効率、食品ロスに与える効果を検証する。
検証概要
従来2日だった納品LTを4日に延長することで、青果の物流・業務負荷の軽減を目指す。
納品LTを延長した場合、競合他社より早く売価を決定する必要があり、相場変動の大きい青果では競合店との価格乖離によって、売れ残りや食品ロス増加の懸念がある。そこで、近隣競合店の価格乖離による影響度を考慮しながら、「sinops-R」による需要予測データを活用することで、欠品や過剰在庫につながる発注を最小限に抑えつつ、納品LTを延長する効果を検証した。
主な成果
食品ロスや配送トラックの増便を増やさず、仲卸で発生する作業計画作成、ピッキングや荷積みなどの作業を46%削減可能と試算。
検証概要
「sinops-R」が需要予測で算出した1週間分の発注総数を事前に仲卸に共有することで、仲卸の物流負荷軽減、作業の効率化を目指す。仲卸は一週間分の予測数を参考値とし、作業計画や配車手配を実施することで、効率も考慮した計画をたて店舗からの発注に備えることができる。実店舗の発注・納品は通常通り納品LT2で実施する。
主な成果
食品ロスや配送トラックの増便を増やさず、仲卸で発生する作業計画作成、ピッキングや荷積みなどの作業を40%削減可能と試算。
検証概要
「sinops-R」による需要予測データを活用することで、開店前(9時~10時)に行っていた青果の配送時間を正午までに延長。これにより、従来は開店前の納品を重視するあまり、多数手配されていた積載率の低いトラックや非効率な配送を削減し、物流負荷軽減を目指す。一方、納品時間を変更した場合、開店後に納品・陳列作業が発生するため、店内に消費者がいる状態で陳列等の作業を行うことで作業効率が下がる懸念もある。そのため作業効率への影響も併せて試算した。
主な成果
トラックの積載率が35pt上昇したことでトラック台数を47%削減、仲卸で発生する作業計画作成、ピッキングや荷積みなどの作業を4%削減可能と試算。一方で、ドラッグストア店舗側では納品・陳列作業に伴う業務負荷が43%増加するという課題も見られた。
■ 今後の展開
これらの取組みの成果を踏まえ、今後3年間で臨時配送トラックを30%削減、流通過程(発注・仕入れ・加工)における所要時間を30%超削減、さらに仲卸・小売段階での食品ロスの30%削減を目標とし、取り組みを継続してまいります。
■株式会社シノプスについて
株式会社シノプスは、「世界中の無駄を10%削減する」をビジョンに掲げ、需要予測型自動発注サービス「sinops」(シノプス)を開発・販売しているソフトウェアメーカーです。日配食品や惣菜といった賞味期限が短く需要予測がむずかしいとされるカテゴリーのシステム化に成功。多くの食品小売企業に採用いただいております。在庫に関わる人、もの、金、時間、情報を最適化するITソリューションを提供し、限りある資源を有効活用することで、広く社会に貢献していきます。東証グロース上場(証券コード:4428)。
■自動発注サービス「sinops」について
日配品・パン・惣菜にも対応した需要予測型自動発注サービスです。幅広いカテゴリの発注を自動化することで小売業の生産性を向上させながら、値引・廃棄ロスの削減、利益率の改善などに貢献します。自動発注のほか、棚割修正をタブレット端末で行える「sinops-Pad」や売り場やバックヤードの在庫の賞味期限チェックが簡単に行える「sinops-Dcont」など幅広いサービスをラインナップしています。
「sinops-CLOUD」製品サイト
プレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes