米Bazelon Center、精神障がい者の雇用促進に関するガイドブックを公開
2014年09月14日
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重度精神障がい者の一般就労について解説
米国の精神障がい者を代表する権利擁護団体であるBazelon Center for Mental Health Law(以下、Bazelon Center)は10日、精神障がい者の雇用促進に関するガイドブックである「Getting to Work:Promoting Employment of People with Mental Illness」を最新のレポートとして公開した。全文をBazelon Centerのホームページからダウンロードして入手することができる。
このガイドブックは、重篤な精神疾患をもつ人々の一般就労に関して解説したもので、米国における法律下でのサポート雇用サービスの必要性と、法的義務を果たしながらのコスト削減、雇用を促進することによって生じるメリットなどを説いているが、その知見は日本国内においても参考となるものであり、示唆に富む内容となっている。
現状を訴えるとともに、成功例を紹介
Bazelon Centerは発表に際し、雇用の現状として、重度の精神障がい者の大半、およそ3分の2の人々が就労を希望しているが、フルタイムでの仕事に従事し、それを継続できている人はわずか10人に1人程度と、一般集団よりもはるかに低い割合となっていることを伝えた。
そして、こうした低い雇用率は、安定的な就労を実現するための支援サービスの活用が不十分であることを反映するものだとし、従来のシステムには重い精神疾患をもつほとんどの人は働くことができないという誤った認識があると指摘した。
ガイドブックでは、こうした現状を変えるために有効な成功事例を紹介し、「Individual Placement and Support(IPS)」と呼ばれる支援付きの雇用が非常に有効であると説明している。ほかにサポートサービスの可用性を拡大する推奨事項についても解説し、安定した雇用が幅広く実現されるよう促している。
Bazelon Centerは1972年に、法律家と精神衛生・精神障がいに関する専門家の有志で組織されたグループによって、全国的な公益団体として設立された団体。議会や行政機関とも協力し、精神障がい者らの権利拡大に努め、さまざまな活動を先導してきている。
▼外部リンク
Bazelon Center for Mental Health Law ガイドブック提供ページ
http://www.bazelon.org/Where-We-Stand/Employment.aspx
記事提供:障害者雇用インフォメーション|