A型事業所パイオニア、バニーフーズの挑戦続く
2014年06月02日
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障害者就労の場を広げたい!弁当店からの挑戦
障害者雇用に積極的に取り組み、小さな一歩から全国的な取り組みへと拡大させるべく、挑戦を続ける企業がある。神奈川県の株式会社バニーフーズだ。独創的なオリジナル弁当をつくる手づくり弁当店を展開し、地域の発展にも貢献している。
バニーフーズが事業を開始したのは1986年。2003年に埼玉中小企業家同友会での出会いや依頼をきっかけに、障害者の雇用を始めた。その後、就労を希望する障害者の働く場を広げることを目的とし、2006年にスタートした「就労継続支援A型事業所」の制度を知り、導入。2010年に、神奈川県では一般企業として初となる就労継続支援A型事業所の「ラビ-」を設置、続けて「ラパン」も開設した。
就労継続支援A型事業所では、国から訓練費など給付金を受け取る代わりに、利用者である障害者と事業所が直接雇用関係を結ぶ。バニーフーズは、このA型事業所運営の取り組みを開始することで、雇用する障害者の給料の一部には訓練費を充てることができ、その分人件費を浮かせることが可能となって、新たな人材を確保することができるようになったという。
結果として、バニーフーズ本体の経営安定につながったほか、さまざまな人が共に働く環境が生まれたことで、社内の雰囲気も改善、社会貢献としてのその取り組みが評価されイメージアップにもつながるなど、大きなプラスの波及効果が生まれた。
成功例を広め、雇用機会の拡大を
現在、同社のグループ全体で、知的・精神・発達障害のスタッフ56人が働いているという。それぞれ障害特性による向き・不向きや、本人の興味関心にあわせ、弁当やパンの製造に携わったり、回収した弁当箱の洗浄作業を行ったりしているほか、訪問販売などの仕事にも従事している。
バニーフーズの代表である高橋良治社長は、はじめは経営面などに不安があったものの、取り組んでいくうちに障害者の居場所づくりができていることに気づき、ライフワークになっていったと語る。仕事を通じて人の役に立っているということを感じ、いきいきとしてくる彼らの姿を見て、励まされることも多いそうだ。
就労継続支援A型事業所の制度は、開始されて一定の期間が経過しているが、いまだ企業や地域での理解・認知度は高くない。高橋社長は、さらに成功例をつくり広めていくことで、制度を導入する企業と利用者を増やし、障害者就労の場を広げていきたいとする。そのためにも、まず就労継続支援A型事業所の全国的な交流組織を設立することを目指しているそうだ。地元に密着した弁当店からの、新たな挑戦が続く。
▼外部リンク
手づくり弁当バニー ホームページ
http://www.1188-bunny.com/index.html
記事提供:障害者雇用インフォメーション|