【障がい者の1,000人雇用を】~そこに立ちはだかる壁が・・・~岡山県総社市
2011年05月20日
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5年間で1,000人の障がい者に仕事を・・・しかし現実は?
岡山県総社市(以下同市)では12日、「総社市障がい者千人雇用委員会」を立ち上げた。この委員会では、障がい者約1,000人の雇用を実現する目標時期を2015年度末と定めて検討に入っており、企業への助成制度などの具体策をまとめて、今年度中に同市へ提言を行うことを予定している。
委員会は市内外の福祉関係や地元企業、また経済分野などの専門家16人で組織。12日の初会合では障がい者を雇用する企業側の意識を高めることの必要性や、住居や食事など生活面の支援検討、また実際に障がい者が勤務する際、その移動手段における課題点などの意見が出された。
しかし、なぜ障がい者の雇用だけ重視するのかとの企業側の不満に答えられる同市のビジョンがまず最初に必要ではないかという重要な課題に直面している。
事業主は「実現は厳しい」と考える
同市内で就労可能とされる18歳~64歳の障がい者は約1,200人。そのうち約180人は企業や市役所、障害者自立支援法に基づく就労支援事業所などで職に就いている。残る約1,000人について、同市では2015年度末までに、希望者全員を地元企業や事業所に就職してもらう計画だ。
しかし、地元の反応は厳しい。ある大手企業では人手は足りているので現時点で新規採用する予定はないとしている。また東日本大震災で生産が落ち込み、新規雇用どころではない企業も多く、1,000人雇用の実現は難しいではないかと多くの事業主は考える。
障がい者向け事業所の職員によると、障がい者の仕事を探して必死に企業を回っているが、170人の希望者に対し、年間10人分の仕事を探すのがやっと。理念としては評価したいが、就職にどれだけ結びつくのか。現実的に非常に厳しいのではと悲観的である。
市長は「多方面の知恵や力を貸してほしい」と考える
事業主からは「厳しい」との声があがっているが、同市の片岡市長は失敗したら責任を取ると意気込む。専門家の知恵や力を貸してほしいとも話しており、決してパフォーマンスではなく、障がい者の雇用確保に向けて懸命に頑張るという姿勢を見せている。今後の動向に注目したい。
▼外部リンク
総社市ホームページ
記事提供:障害者雇用インフォメーション|