カフェ・ベスト ついに閉鎖へ 豪
2010年02月27日
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苦しい経済的状況
政府の支援も受けられず、運営コストに押しつぶされる形で、コーヒーショップ「カフェ・ベスト」が閉鎖することになった。
同店はオーストラリアのビクトリア州にあるバララット市で三年間にわたり、障害のある人々に働きながら仕事を覚える機会を提供してきた。店が3月31日に閉鎖すれば、5人の障害者を含む合計15人が仕事を失うことになる。
カフェ・ベストを運営するベスト地域開発社のロン・ストーン社長によると、高額の運営コスト、特に従業員の支援にかかる費用と、政府の支援不足という金銭的に苦しい状況のもと、役員会で閉鎖という苦渋の決断が下された。「我々の活動は地元では盛大に支援を受けていたが、それでも長期的な政府による支援が必要だった」のだという。
ベスト地域開発社は約三年にわたり、50万豪ドル(約4,000万円)の自己資金を投入してきた。ストーン社長によると、金銭的な問題をクリアするために体勢を立て直すのに、翌年度分としてさらに10万豪ドルの助成金が必要になるのだという。
「皮肉なものだ。うちで働く障害のある従業員が職を失えば、国は障害者支援金を100%支払わなければならないのだから」とストーン氏。
障害者雇用に対する功績
バララット市会議員、キャサリン・キング氏は「カフェ・ベストは障害のある人々に働く機会を与えてきたのだから、その功績はたたえるべきです。ベスト社を金銭的に支える道が見つからなかったことはとても残念です」と語っている。
同店は地元から、州から、そして、国から賞を勝ち取ったとして全国的に注目を集めたこともある。
「社会的課題という側面で、我々は大きな成功を収めてきたのだと考えている。賞を取ったことで我々の考えは正しかったと証明されたのではないだろうか」とストーン社長は振り返る。
ストーン社長の言う社会的課題として、障害のある人々が仕事を得て、雇用へとつながる職業訓練を受けられることが検討されてきた。訓練で習得されたスキル自体に加え、スタッフの献身的な努力とプロとしてのやり方、それに仕事の実績と真面目に取り組む姿勢に対する評価が、障害者達をどこの職場でも通用する立派な従業員に育て上げたのだ、とストーン社長は語っている。
(編集部 小川優子)
▼外部リンク
It's over for Cafe BEST
記事提供:障害者雇用インフォメーション|