LDの有権者は置いてけぼりで批判の声 英
2010年02月05日

学習障害(LD)の現状
学習障害(LD:Learning Disability)の人々が政治から取り残されている現状に対し、各政党は簡潔な投票方法を検討すべきだとの声が上がっているとイギリスのBBCが報じている。
学習障害とは、「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すものである。」(文部科学省HPより)
慈善団体ユナイテッド・レスポンスによると、LDの人々のうち80%が2005年に行われた選挙の選挙権があったが、実際に投票したのは16%にすぎないという。
ユナイテッドレスポンスは、LDに加え精神面および身体面での障害がある人々を支援する慈善団体。活動拠点はウェールズからイングランドにまたがる地域。
同団体は、LDの投票率の低さは専門用語がぎっしり詰まったマニフェストや投票方法の複雑さのせいであると批判している。候補者の詳細情報も政治のポリシーも、とっつきやすいものであるべきだ、というのだ。
わかりにくい政治のしくみ
6月までに行われると見られる総選挙に対し、同団体は投票率40%という目標を設定した。「国家の動きや地元の動きに影響されやすいのは、LDもそれ以外の人も同じです。ですが、民主主義の名の下で、政治のしくみはとても入り組んだ形で国民に提示される。投票の意思があっても、自分達国民の代表としてそこにいるはずの候補者は遠い存在に感じられ、結局は取り残された感が残るんです」とユナイテッド・レスポンスのスー・セイヤー理事長は語る。
この問題は選挙管理委員会の支援のもとで改めて調査が行われ、イングランドとウェールズだけで100万人はいると言われるLDの有権者たちは、事実上選挙権を剥奪されたも同然だと結論付けられた。これにより、投票の権利というものに対する意識の低さが、選挙への積極的な参加を妨げる壁となっている実態が浮き彫りとなった。
どのような対策が効果的か?
前述の調査では、疎外感を感じている人々に配慮したやり方ができるように全ての政党が協力すること、および立候補者には自らの政治理念をより明確に表明することが要請されている。
また政党がとれる具体的な対策例として、マニフェストをもっと読みやすい形式にし、選挙公報やウェブサイトの情報を読む側の視点から作成することが挙げられている。
さらに、投票率の向上のためにも検討に値すると思われる対策例として、投票用紙を簡素化し、ネット選挙のように候補者の写真を入れる、という方法も挙げられている。
民主主義の言葉どおり国民がきちんと政治に関われるような政策が、選挙で選ばれた国民の代表―その面々はもちろん、LDの人々のニーズにもきちんと耳を傾けられる代表者だ―によって立てられていく必要があることが、同団体の調査報告では主張されている。
(編集部 小川優子)
▼外部リンク
Voters with Learning Disabilities 'disenfranchised'About United Response主な発達障害の定義について
記事提供:障害者雇用インフォメーション|