2024年08月22日
立憲民主党の代表選挙に21日出馬表明した枝野幸男衆院議員(元党代表)は出馬表明と同時に「人間中心の経済」ヒューマンエコノミクス実現への8本柱の政策を発表した。「徹底的に『人』に着目して『人』を支え、すべての『人』の能力を最大限に引き出す経済をつくる」としている。
枝野氏は「知識集約型産業が基軸となる経済システムが前提となったいま、人間の多様で多面的な能力の開発・育成が持続可能な成長のための必須条件。あわせて、社会保障・生活保障や社会制度、コミュニティのつながりを丹念に強化する『安心の立て直し』が力強い経済の基盤である」と総括。
そのうえで「すべての国民が個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができる社会”をつくる」と新時代の「青写真」を示した。
8つの柱は(1)教育投資・研究開発=社会人の学び直しに対する支援を抜本的に拡充する。イノベーションのための基礎研究へ大胆に投資する。大学や研究機関における研究者個々の取り組みを手厚く支える。AIなどの先端技術開発や、芸術文化、世界で競争力を持つコンテンツ産業などで、人材育成に予算を重点配分する。
(2)地域経済を活かす投資=知識集約型産業の拠点となるパイロット事業を各地域で展開する。輸入額が年間30兆円規模にも及ぶエネルギーと食料の国内自給を飛躍的に高める。原子力エネルギーに依存しない社会を目指すとともに、気候危機対策の観点を含めGXを強力に推進して、省エネ・再エネへの大規模投資を進める。観光環境を変革して、観光立国の基盤を確かなものとする。
(3)国民所得の底上げ=賃上げ税政を含め既存政策をフル活用した上で、さらに、最低賃金や介護・保育・医療の現場の賃金など、政府が決定権を持つ分野を突破口として、幅広く持続的な賃上げを政府がけん引する。非正規雇用の処遇を引き上げるとともに、人手不足社会への対応という観点からも、雇用全体の正規化に道筋をつける。
(4)支えあう社会制度の拡充=いざというときを支えるベーシックサービスを拡充する。財源として税の累進性を強化する。消費税の逆進性対策として、無収入層から中間層まで幅広く負担を軽減する還付制度(給付付き税額控除)を導入する。
(5)個人の選択肢の拡大=誰もが生きやすい社会をつくる。一人ひとりの可能性や、人生の選択を、可能な限り支える。同姓パートナーが望めば結婚できるようにする。ジェンダー平等実現のために、あらゆる政策分野での改革を進める。性と生殖の健康・権利(SRHR)を実現する。障がいや国籍などで差別されない社会をつくる。
(6)現実的な外交・安全保障=一人ひとりの国民の命とくらしを守り抜くため、外交と安全保障は車の両輪。外交政策を通じて戦争を未然に防ぐという政治の最大の役割を果たすとともに、グローバル化の進む国際社会で経済的・社会的パートナー関係を地球の隅々まで張り巡らせる。
日米同盟を基軸に置きながら、日本を取り巻く国々との対話外交を試みる。特に関係が悪化している場合にこそ外交チャンネルを粘り強く模索し、国益の最大化を図る。日米安全保障体制を基盤としつつ、「自分の国は自分で守る」という専守防衛の基本に立ち返り日米で連携しつつ、島国である我が国の特性と周辺地域の国際環境を踏まえ、地に足を着けて防衛力の実効性を高める。
自衛官は定員割れが常態化し志願者も急減している。その処遇・待遇を底上げし現実的な防衛力の強化を目指す。
(7)災害対応・危機管理=「災害に強い国づくり」を国政の最重要課題に位置付け、被害を最小化するため、発災時に直ちに対応できる常設の即応体制の整備、専門人材の育成など、政府自身による恒常的な備えを抜本的に強化する。官房長官直轄の「危機管理・防災局」を設置し、恒常的な防災・災害対応の点検強化を進める。
(8)民主主義のアップデート=選挙制度や政治資金の取扱いという政治分野から、行政分野にいたるまで、閉ざされた「永田町の論理」や「霞ヶ関の論理」を超えて、国民・納税者の視点に立った改革を進める。「情報公開」という哲学を柱にすえて政治と行政の透明化を徹底し、国民が「知って評価できる」仕組みを確立する。
政治資金に関する透明性を徹底し国民による監視機能を強化するため、まずは少なくとも、国会議員関係政治団体における企業・団体献金と政治資金パーティーに関して、1円単位での公開を実現するなど、詳しく挙げた。(編集担当:森高龍二)
記事提供:EconomicNews
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