2024年11月24日
パワハラ問題で議会から全会一致で「不信任」を受け、兵庫県知事を辞職した斎藤元彦氏が17日の知事選で111万票を得て、再び知事に選ばれた。
県民の判断はパワハラ問題を払拭するものではない。この問題はこの問題として真相解明と再発防止策が必要だ。
今回の選挙では知事就任時から取組んできた斉藤県政を踏まえ、政策推進の続投を県民が選択したと受け止めるのが自然だろう。100万票を超える支持の重みがある。再選した斎藤氏には謙虚さを忘れず、職員への指示出し時の配慮、議会の信頼回復へ、気配りしながら県民のための施策を進めていただきたいと願う。
今回のパワハラ問題では「公益通報者保護法」の実効性をどうあげるのか、通報者を守る手立てをきっちり担保する制度に見直しの契機としなければならない。また選挙で飛び交ったSNS上での偽情報・誤情報、例えば斎藤氏と戦った元尼崎市長の稲村和美氏に対し「外国人に参政権を与えようとしている」「稲村氏が当選すると外国人地方参政権が成立する」などの偽情報や「斎藤知事のパワハラは捏造」など根拠あいまいな情報が拡散され、投票行動に大きな影響を及ぼしたことは憂慮すべき事態だ。
稲村氏の後援会が運営するSNSは11月6日と12日の2回にわたり「虚偽通報により」凍結されたようだ。稲村氏の後援会は22日、公式Xアカウントが何者かによって選挙期間中に凍結されたと兵庫県警に偽計業務妨害で告訴状を提出。稲村氏が当選すると外国人地方参政権が成立するなど虚偽の内容を拡散された事案については公職選挙法違反(選挙活動の妨害など)で刑事告発した。司法の場での解明を期待したい。
加えて、本来、立候補者は自身当選のために選挙活動するものだが、他候補の当選を目指したかのような候補者活動の報道もあった。先の都知事選でも「想定外」の動きがあったが、こうした事態への対応も新たな課題として浮上した。
公職選挙法の見直し、SNSでの偽情報・誤情報、そうした情報の拡散を防ぐためにどう対処するのか、表現の自由を踏まえても、投票行動にあまりに大きく影響する問題だけに来年に都議選、参院選を控えているおりから、国の迅速な取組みが求められる。
さて斎藤氏は19日、2期目の任期をスタートした。9月27日以来の県庁入り。斎藤知事は職員1000人と県民約200人を前に「知事・県職員・議会が車の両輪となって、みんなで一緒に良い兵庫県をつくっていくことが本当に大事。みんなで一緒にもう一度頑張っていきましょう」と「良い兵庫県づくり」という共通目標に向かって再スタートしたいと思いを語った。
就任会見ではパワハラを巡る問題に陳謝し深く頭を垂れた。また約50日の知事不在の間、行政を進めてきた副知事や職員らに感謝の言葉を述べた。斎藤知事は「まわりの皆さんへの感謝の気持ち、仕事というのは一人でできるものではなく、まわりのみなさんのサポートがあってできるものであるということ。県職員の皆様、県議会、県民の皆様への感謝の思いをしっかり抱きながらやっていきます。謙虚な心を抱いて一からスタートし、仕事をさせていただきたいと心から思っています」と神妙な面持ちで語った。会見中「感謝・謙虚」を何度も述べた。この気持ちを持続し続けることを願っている。
斎藤知事は「若者含め多くの皆さんから期待をいただいた。県民の皆さんの暮らしや教育、福祉、医療、介護など、県民の皆さんが直面している様々な課題に対して県政が寄り添い、支援させていただく」と施策への期待も受け止めた。また「様々な形で対話を進める」と強調した。
「県職員の皆さん、県議会との対話を通じたコミュニケーションが何より大事」と施策推進の前提としての「立ち位置」を明確にした。そのうえで「県政をしっかり前に進めていきたい」とおよそ3分間にわたって、自身の姿勢を明示した。これまでの経緯を踏まえての気持ちと受け止めたい。
斎藤氏を巡って報道されるのはパワハラ問題や県議会との関係ばかりだが、政策にスポットを当てた報道もあってほしい。
斎藤氏1期目就任時(2021年8月)から今年9月までの公約達成度では斎藤氏のHPによる成果紹介では173項目のうち171項目で公約達成や取組み中と知事給料・期末手当3割、退職手当5割カット含め、公約の達成・着手率が98・8%にもなっている。
65歳以上の県職員OBの天下り廃止、外郭団体の抜本的改革、外部有識者の評価を加えて施策改善のための事業レビュー導入。財政では財政基金残高が21年度の32億8300万円から23年度には127億1300万円に積みあがった。今回の選挙公約では、この基金を200億円規模にしていくとしている。
若者・子育て世代への取組みでは大学教育無償化の先鞭としての県立大学の授業料等無償化完成へ、県立高校の環境整備(全教室へのクーラー整備、体育館の空調整備)、高校生・受験生の自習室プロジェクトで官民連携し1000席を目指す、毎年100人高校生のチャレンジ留学(官民連携・海外武者修行プロジェクトの進化)などをあげた。
子育て世帯向け県営住宅増(10年間で約1000戸増目指す)、不妊治療支援特化条例制定、大阪など近隣府県への通院費用の助成なども入れている。
兵庫を「社会課題解決型スタートアップ」の中心地にする。女性経営者等への子育てサポートの充実、次世代産業拠点としての尼崎フェニックス事業用地、播磨臨海地域の水素シティー構想、有機農業推進条例の制定による生産流通消費(学校給食)の拡大など、県外在住の筆者から見ても取組み成果を見てみたいと思う事業や構想があり「わくわく感」がある。
斎藤氏には是非、真摯・謙虚、周りへの感謝を忘れず、県政を進め、形にしていただきたい。今は期待し、エールを送りたい。(編集担当:森高龍二)
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記事提供:EconomicNews
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