2025年10月14日
石破茂総理は10日、戦後80年の節目にあたり「総理所感」を発表した。石破総理は「戦後50年、60年、70年の節目に総理談話が発出されており、歴史認識に関する歴代内閣の立場についてはこれを引き継いでいる」としたうえで、軍部の独走を許した歴史を文民統制の観点から検証し、陸軍省が設置した「秋丸機関」等の予測によれば敗戦は必然という調査研究があったにも関わらず、なぜ戦争に突き進んだのかについて、石破総理は「国民の皆様とともに考えたい」と提起した。
そのうえで、石破総理は「帝国憲法において軍隊を指揮する権限である『統帥権』は独立したものとされ、政治と軍事の関係において、常に文民が優位でなくてはならないという『文民統制』の原則が制度上存在しなかった」と帝国憲法の欠陥を指摘した。
石破総理はその統帥権が「拡大解釈され、統帥権の独立が軍の政策全般や予算に対する 政府及び議会の関与・統制を排除するための手段として、軍部によって利用されるようになっていった」と文民統制のない制度的欠陥が軍部を暴走させるに至ったとした。
また「軍に対する統制を果たすべき議会も、その機能を失っていった」と述べ「最たる例が斎藤隆夫衆議院議員除名問題」とした。1940年2月2日の衆院本会議で斎藤氏は「反軍演説」をし、陸軍は演説が陸軍を侮辱するものと斎藤議員の辞職を要求、賛成296票、反対7票で除名された。
石破総理はメディアについても問題を取り上げた。「満州事変が起こった頃からメディアの論調は積極的な戦争支持に変わった。戦争報道が『売れた』からであり、新聞各紙は大きく発行部数を伸ばした」と商業ジャーナリズムの弊害を指摘。映像であれ、新聞であれ「公器」であることを念頭に報ずる姿勢が必須との旨を語った。
そのうえで、現行憲法下においては「文民統制」が確保された。しかし「あくまで制度であり、適切に運用することがなければ意味を成さない。政治の側は自衛隊を使いこなす能力と見識を十分に有する必要がある。現在の文民統制の制度を正しく理解し、適切に運用していく不断の努力が必要で、無責任なポピュリズムに屈しない、大勢に流されない政治家としての矜持と責任感を持たなければなりません」と強く政治の側に自覚を促した。
また「政府が誤った判断をせぬよう、歯止めの役割を果たすのが議会とメディア」とその役割の重さを強調した。石破総理は所感の最後を「国民の皆様とともに、先の大戦の様々な教訓を踏まえ、二度とあのような惨禍を繰り返すことのないよう、能う限りの努力をしてまいります」と結んだ。(編集担当:森高龍二)
記事提供:EconomicNews
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