【矢野経済研究所プレスリリース】POSターミナル市場に関する調査を実施(2024年)~国内POSターミナル市場は約10万台での横ばい推移が続く、流通小売業の人手不足によるセルフタイプレジの進化に期待~
株式会社矢野経済研究所
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のPOSターミナル市場の調査を実施し、リテールソリューション動向やPOSシステム関連事業者の戦略、市場の将来展望を明らかにした。
1. 市場概況
国内のPOSターミナル市場は、コロナ禍において投資を控えていた流通小売業各社がシステムへの投資を再開したことが影響し回復をみせた結果、2022年度のPOSターミナル市場は、メーカー出荷台数は前年度比106.4%となる96,773台となった。但し、メーカー出荷金額では前年度を下回る376億3,900万円(同94.0%)となっている。
2023年度はさらに回復傾向が顕著となり、出荷台数は107,837台(同111.4%)となった。また昨今のインフレ傾向およびPOS端末のセルフ化による製品単価の上昇が影響し、出荷金額でも452億2,100万円(同120.1%)となった。
2.注目トピック~深刻化する人手不足を背景にセルフレジが台頭
流通小売業における人手不足は深刻なものになっており、特に「レジ係」と「品出し係」に関しては深刻な状況になっている。そうした中、これまで急速に普及してきたセミセルフレジであったが、今後はチェックアウト業務が不要となるフルセルフレジに需要がシフトすることが考えられる。
その最大の理由は人手不足の深刻度が増しているためである。セミセルフレジはチェックアウト業務の人員を必要とするため、今後はPOSシステムにおけるニーズはフルセルフレジが中心に展開されていくものと考える。また、特許問題等の理由からセミセルフレジを供給するベンダが限定されることも背景にあり、ユーザー企業は開発競争に拍車がかかるフルセルフレジを有力な選択肢とするだろう。
今後のPOSレジの形態としては、従来からある設置型のフルセルフタイプのレジに加えて、カートタイプのレジとスマホを活用したスマホレジの二つが台頭してくるとみる。カートタイプのレジは主にタブレットをカートに搭載したセルフレジと言え、スマホレジは顧客もしくは店舗保有のスマートフォンで利用客自身がスキャニングするセルフレジである。今後は、チェッカーの人員を究極まで削減できるこのタイプのチェックアウトシステムが大きく需要を伸ばすものと予測する。
3.将来展望
国内のPOSターミナル市場は大手の流通小売チェーンのシステム更新時に大きく需要を伸ばすが、それを除けば大きな成長は見込まれず、横ばいもしくはなだらかに縮小していく見通しである。
2024年度のPOSターミナル市場は出荷台数は107,410台(前年度比99.6%)だが、セルフタイプレジへの置き換えから出荷金額は473億9,500万円(同104.8%)になると予測する。2025年度は112,781台(同105.0%)に対し、競争激化からセルフタイプレジの製品単価低下を見込み、同90.4%となる428億5,700万円と予測する。
2026年度と2027年度には大手コンビニエンスストアチェーンのシステム更新による、POSターミナル入れ替え需要が生じる見込みで大幅増を予測する。コンビニのPOSシステムは前回も3大チェーンがほぼ同じ時期に一気に入れ替えたため、次回もほぼ同じような時期に一度に需要が集中する見通しである。
そのため、出荷台数は2026年度が135,337台(前年度比120.0%)、2027年度は175,938台(同130.0%)に拡大を予測する。出荷金額では2026年度が514億2,800万(同120.0%)、2027年度は703億7,500万(同136.8%)になると予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3641調査要綱
1.調査期間:2024年6月~9月
2.調査対象:POSシステム関連事業者(POSターミナルメーカー、POSソフトウェアベン ダ、タブレットPOSベンダ)、本部基幹システムベンダ、需要予測・自動発注システムベンダ、ネットスーパー構築システムベンダ等、ユーザ企業(大手量販店システム担当者等)
3.調査方法:当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日: 2024年9月26日
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記事提供:DreamNews