一般社団法人東京都中小企業診断士協会「エリアマーケティング研究会」 競争が激化する整体業界と今後の市場予測
一般社団法人東京都中小企業診断士協会エリアマーケティング研究会
一般社団法人東京都中小企業診断士協会「エリアマーケティング研究会」（代表：齊藤睦美）は、「競争が激化する整体業界と今後の市場予測」について令和７年6月6日に発表しました。
１．競争が激化する整体業界の市場規模予測
整体業界と一口に言ってもそこには様々な業態が混在しており、整体業界を定義することは難しい。保険診療の領域もあれば、自由診療の領域もある。また、国家資格を要する診療もあれば、民間で開発された診療方法も数多く存在する。当研究会では、「広義の整体」と「狭義の整体」を下図のように整理した上で、それぞれの市場規模を分析し、今後の市場推移を独自に予測した。
整体業界についての公的機関による統計データの一つとして、総務省が数年おきに実施している「経済センサス」があり、その中で「835療術業」が広義の整体に近い対象と考えられる。その直近調査の2023年の総売上は7,177億円となっており、2016年の6,020億円と比較すると7年間で約30%増加していることになる。その要因としては、現代における様々なストレスの増大やコロナウィルス問題をきっかけとしたリモートワークの浸透がもたらした腰痛・眼精疲労・運動不足などが考えられ、特に民間療法による整体業（狭義の整体）の市場拡大につながっていると見られる。経済センサスでは詳しい内訳が公表されていないものの、当研究会では2023年時点で1,215億円程度の狭義の整体市場が存在していたと推定している。
今後、狭義の整体業は新サービスの出現も含めて、さらに事業の広がりがあると見込まれ、当研究会では、5年後の2030年には約1,500億円、10年後の2035年には約1,700億円の市場規模になると推測している。
２．最近の整体業界のトレンド
国家資格施術を提供する施術所数や市場規模がコロナ禍前後から停滞するなか、保険診療外の自由診療、あるいは民間の整体院の市場拡大が、整体業市場の現状の拡大を支え、また今後の拡大を占うと言えよう。医療類似行為が保険適用となる条件は限定されており、一方で、疲れやだるさといった部位を特定しづらい症状の緩和に加え、癒し、さらには体型補正や美しい見た目を目的とする市場は潜在している。カウンセリングでニーズを掘り起こし、国内外の施術アプローチを導入、融合するなど、民間整体院ならではの取り組みを掘り下げてみた。
整体院に求められるニーズは、腰痛・肩こりなどの痛みの緩和や根本改善、癒しやリラクゼーションなどがまず考えられるが、気の流れや心理的なアプローチを目的とした整体など、アプローチはさらに拡大、進化しており、例えばその一つに、体系の崩れや美しい見た目を意識した美容整体がある。年齢や性別問わず、その時のライフステージに合わせ様々なメニューを展開しているが、最近では美容整体の中にもメンズ美容整体、小顔矯正、ブライダル整体などが人気を博している。ブライダル整体の顧客は、ハレのときに最高のコンディションで臨めるように、というニッチなターゲット層だが、小顔矯正とアロママッサージと組み合わせる施術や、鍼灸とセットになったもの、美肌育成、肌質改善と抱き合わせで展開するなど様々なメニューが存在する。
このように、保険診療に縛られず、無資格でも開業できる整体院だからこそ、ニーズに合わせてターゲットを選定でき、自由にメニューを構成できるところに強みがありそうだ。
３．注目される新サービス「ペット整体」の出現
整体業界では、新たなトレンドとしてペット整体が注目されている。人間と異なる技術・知識が必要なことから参入障壁があるものの、予防医療の普及とともに今後も十分なニーズが見込まれるほか、ペット整体を端緒とした人間（飼い主）整体の新規顧集客方法への活用も期待される。
【背景：ペットのストレス環境と高齢化】
少子高齢化や単身世帯の増加は、ペットの飼育を「家族の一員」と考えるようになり、ケガや病気の治療のまえの「予防医療」という考え方の広がりや飼い主自身の健康意識も高まって、ペットの健康にも関心が向けられるようになった。また、ペット飼育が可能な住宅の増加で「室内飼い」が増えたこともあり、ペットにとってストレスと高齢化の問題が生じている。ペットはストレスを感じやすく、ストレスが原因で様々な不調が現れ、寿命が延びた高齢のペットは人間と同様に、関節の痛みや運動機能の低下などが起こりやすくなっている。
【現状と将来性】
犬・猫を中心とするペット整体は、触診や視診でペットの筋肉や骨格の歪みを検査し、本来の状態に戻すことを目的としている。少子化の影響でペットの数が子供の数を上回り、ペット関連市場も堅調に推移しており、ペットへの支出も増加傾向にある。実際に、ペット整体やマッサージによって犬の肩甲骨や股関節の可動域が広がり、体の歪みが軽減される事例も報告されている。
ペット整体は、人間とは異なる専門的な知識や技術が必要なため参入障壁はあるが、予防医療の進展とともにニーズが見込まれ、飼い主への新規集客にも繋がる可能性がある。整体業界において新しい分野であるが、ペットの健康に対する意識の高まりとともに、今後ますます発展していくことが予想される。
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一般社団法人東京都中小企業診断士協会
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TEL：03-5309-2797
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https://area-marketing.net/配信元企業：一般社団法人東京都中小企業診断士協会エリアマーケティング研究会
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記事提供：DreamNews
