男女で異なるモラハラ「被害」と「加害」の実態|夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査(第2報)
レゾンデートル株式会社
1.はじめに
既婚者マッチングアプリ「Healmate(ヒールメイト)」を運営するレゾンデートル株式会社(
https://raisondetre-inc.co.jp/)による夫婦間のモラハラに関する実態調査です。
怒鳴り声が響くわけでもないのに、心が少しずつ冷えていく。
無視、ため息、何気ない一言--。そうした些細な仕草が気づかないうちに相手の心を傷つけていることがあります。
「モラハラ(モラルハラスメント)」とは、そんな日常の中に潜む“見えない暴力”のことです。
前回(第1報)では、夫婦間における「どこからがモラハラなのか」という認識の違いを取り上げました。
今回はその続編として、実際にモラハラを「受けた」人、そして「してしまった」人--双方の視点から、夫婦関係のリアルを探ります。
恋愛の延長で始まったはずの関係が、なぜすれ違い、傷つけ合う関係になってしまうのか。
そこには、男女の立場や役割、そして“自分は悪くない”と信じたい防衛本能が潜んでいるのです。
<調査概要>
・調査タイトル:夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査(第2報)
・調査期間:2025年9月18日~25日
・調査対象者:20~59歳の男女9,378人(10歳刻みで男女各1,250人 ※ただし男性20代のみ628人)
・調査方法:インターネット(セルフ型アンケートツールFreeasyを利用)
・エリア:全国
・調査機関:レゾンデートル株式会社(
https://raisondetre-inc.co.jp/)
・調査報告の掲載:
https://healmate.jp/survey/・本報告の発表日:2025年10月21日
・注記:単一回答は各性別全体、複数回答は「ある」と回答した人が分母
<調査対象者について>
下表の通り、男性20代を除き、男女、各年代とも均等なサンプルになっています。
【男性(4,378人)】
20 代 628人(6.7%)
30 代 1,250人(13.3%)
40 代 1,250人(13.3%)
50 代 1,250人(13.3%)
【女性(5,000人)】
20 代 1,250人(13.3%)
30 代 1,250人(13.3%)
40 代 1,250人(13.3%)
50 代 1,250人(13.3%)
回答者は全都道府県におおむね人口と相関する形で分布しており地域的な偏りはありません。
2. モラハラを受けたことがある人は4人に1人
「配偶者からモラハラを受けたと感じたことがあるか」を尋ねたところ、全体の26%が「ある」と回答しました。
性別で見ると、男性25%、女性28%と、女性のほうがやや多い結果となりました。
図1:モラハラを受けたことがあるか(男女別)
※実際の質問:Q. あなたは配偶者からモラハラを受けたと感じたことはありますか(単一回答)
(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査 (C)レゾンデートル株式会社)
モラハラを受けた経験がある人は、全体の4人に1人。
この数字をあなたは多いと思いますか、それとも少ないと感じますか。
夫婦という閉じた関係の中で、言葉や態度の小さなすれ違いが、思いのほか多くの人に心の傷として残っていることが分かります。
3. 被害の内容―「怒鳴り声」だけではない、心に残る“言葉”と“沈黙”
モラハラを受けたことがあると答えた人(n=2,461)に、その内容を聞いたところ、
最も多かったのは「侮辱する・人格を否定する(45%)」、次いで「小さなミスを責める(42%)」、「大声で怒鳴る(41%)」、「無視・会話を拒否する(36%)」でした。
男女ともにこの上位4項目は共通しており、
多くの人が「怒鳴る」「責める」「無視する」「侮辱する」といった言葉や態度による心理的圧力をモラハラとして受け止めていることが分かります。
つまり、被害の中心は“日常の中にある小さな攻撃”にあります。
ただし、注目すべきはその感じ方の差です。
全体の傾向は似ていても、「どの行為をより強く“モラハラ”と感じるか」は男女で異なります。
図2:配偶者から受けたモラハラ内容(男女別)
※実際の質問:Q. あなたが配偶者から受けたモラハラに当てはまるものをすべて選んでください(複数回答)
(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査 (C)レゾンデートル株式会社)
グラフを見ると、女性のほうが全体的に割合が高く、特に「大声で怒鳴る(女性48%/男性32%)」「家事や育児を一方的に押し付ける(女性32%/男性17%)」では差が大きく開きました。
こうした威圧や責任の偏りに関する行為は、女性にとってより深刻に感じられやすいようです。
一方で男性は、女性よりも「小さなミスを責められる(男性45%/女性40%)」と答えた割合がやや高く、感情的な攻撃よりも“評価や指摘の繰り返し”にストレスを感じやすい傾向が見られます。
「無視する」「会話を拒否する」などの項目でも男女差は小さく、どちらも“関係の断絶”を痛みとして受け止めている点は共通しています。
つまり、男女の違いは「被害の種類」ではなく「どの行為をより強くモラハラだと感じるか」に表れています。
女性は感情的・威圧的な態度に敏感で、男性は小さな指摘や自由の制限といった“静かな圧力”を重く感じる。
ある女性はこう語ります。
育児がつらいと漏らしたとき、「同じくらい稼げるなら代わるが?」と返された。
その言葉が心に刺さり、「我慢しなきゃ」と飲み込んだ痛みが、後から静かに残ったと言います。
一方で男性からは、「スマホを確認された」「出かけるたびに行き先を聞かれる」など、
“自由を制限される”ことへの強い抵抗感が語られました。
同じ行為でも、男女で受け止め方が違う。
だからこそモラハラは、互いが「そんなつもりじゃなかった」とすれ違う中で、見えない形で広がっていくのかもしれません。
4. モラハラを「してしまったことがある」人も4人に1人
次に、自分が配偶者に対してモラハラを「してしまった」と感じた人の割合を見てみましょう。
結果は、「ある」と答えた人が全体の26%。
被害を受けた人の割合(26%)とまったく同じ数値となりました。
性別で見ると、男性27%、女性25%で、今度は男性の方がわずかに高い結果です。
図3:モラハラをしたことがあるか(男女別)
※実際の質問:Q. あなたが配偶者に対してモラハラをしたと感じたことはありますか(単一回答)
(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査 (C)レゾンデートル株式会社)
この結果は、「被害者」と「加害者」が明確に分かれていない現実を映し出しています。
誰か一方が悪いわけではなく、多くの夫婦が「加害と被害を行き来している」と言えそうです。
ある瞬間には傷つける側であり、別の瞬間には傷つけられる側になる。
モラハラとは、そうした感情のすれ違いの中で静かに形を変えていくものなのかもしれません。
たとえば「注意しただけ」「正論を言ったつもり」でも、相手にとっては「責められた」「支配された」と感じることがあります。お互いが「自分は悪くない」と信じているほど、摩擦は深くなる。それこそが、モラハラを難しくしている理由なのかもしれません。
5. 加害の内容 ― 浮かび上がるモラハラ加害の“自覚の浅さ”
モラハラを「してしまった」と答えた人(n=2,441)に、どんな行為をしたと感じるかを尋ねました。
上位に挙がったのは「無視する」「小さなミスを責める」「大声で怒鳴る」など、
被害側の結果とおおむね同じ顔ぶれでした。
しかし、どの行為を“モラハラだと自覚するか”という点では、男女で違いが見られます。
図4:配偶者に対して行ったモラハラ内容(男女別)

※実際の質問:Q. あなたが配偶者に対して行ったモラハラに当てはまるものをすべて選んでください(複数回答)
(夫婦間のモラハラ(モラルハラスメント)に関する実態調査 (C)レゾンデートル株式会社)
まず、感情や態度に関する行為では女性の自覚が強い傾向にあります。
「無視する・会話を拒否する」は女性45%に対し男性33%、「侮辱する・人格を否定する」も女性26%、男性23%と、いずれも女性が上回りました。
自分の感情的な反応を「きつかったかもしれない」と振り返る女性が多いようです。
一方で、「家事や育児を一方的に押し付ける」は男性18%、女性12%、「生活費を制限する」は男性12%、女性8%と、男性のほうが家庭の中での役割や行動に関するモラハラ行為を自覚している傾向が見られます。
さらに興味深いのは、加害として挙げられた数値が、被害として挙げられた数値よりも全体的に低い点です。
たとえば、家事や育児を”押し付けた”と認識している男性は18%ですが、”押し付けられた”と回答した女性は32%なので、-14ポイントもの差があることが分かります。
調査は夫婦ペアでの対応ではないため数値が完全に一致するわけではありませんが、
“やられたと感じる人”のほうが“やってしまったと認める人”より明らかに多いという傾向は、自覚の浅さを示唆しています。
モラハラの本質は、悪意ではなく「自分は正しい」「家庭のため」などという正義の意識にあるのかもしれません。
6. まとめ
本調査から、夫婦間モラハラの実態として以下の点が明らかになりました。
●4人に1人が「モラハラを受けたことがある」と回答
モラハラは一部の家庭だけの問題ではなく、多くの夫婦関係に潜む“身近なリスク”であることが分かりました。
●被害の感じ方は男女で異なる
女性は「怒鳴る」「押し付けられる」といった感情的・威圧的な行為を深刻に受け止め、男性は「責められる」「自由を制限される」といった“静かな圧力”にストレスを感じやすい傾向が見られました。
●加害の自覚は被害よりも低く、自分の中の“正義”が背景にある
加害の上位項目は「無視」「責める」「怒鳴る」など被害と共通していましたが、その割合は全体的に低めでした。「家庭を支えている」「生活を守っている」といった意識のもと、自分の行動を正当化しやすい構造が見えてきました。
今回の結果から見えてきたのは、モラハラの本質が「誰かの悪意」ではなく、互いの中にある“正しさ”と“我慢”のぶつかり合いであるということです。
女性は感情の起伏を反省し、男性は生活上の行為を正当化する。
どちらも、相手を傷つけるつもりはない。
それでも、伝わらなかった思いが積み重なると、やがて“見えないすれ違い”となって関係を冷やしていきます。
モラハラを「特別な問題」ではなく、夫婦関係を見つめ直すサインとして捉えること。
それが、次の一歩につながるのかもしれません。
次回の第3報では、「モラハラ被害者」に焦点を当て、いつ・どんな言葉や態度が、最も深く心が傷ついたのかを探ります。
◎調査の目的
私どもレゾンデートル株式会社(東京都渋谷区)は、「結婚後の新たな生き方」を提案する既婚者向けメディアやネットサービスの展開を行うシステム開発企業です。現代の夫婦関係のあり方や多様性を把握し、今後のサービス開発に向けた市場動向を探るため、今回の調査を企画しました。
◎調査内容・本リリースに関するお問い合わせ
今回の調査内容やデータの詳細に関するお問い合わせ、報道関係の皆様の取材依頼やお問い合わせは下記までお願い申し上げます。
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担当:浦野

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記事提供:DreamNews