25年に大麻合法化した国と地域-日本は大麻取締法から大麻草栽培法へ
一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
日本臨床カンナビノイド学会(事務局:神奈川県川崎市)は、2025 年に大麻に規制緩和をした国と地域の調査結果を2025年12月25日の本プレスリースにて発表しました。2025年は、産業用9地域、医療用13地域、嗜好用1地域の各分野で規制緩和が進みました。
我が国においても、23年12月13日に官報にて大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律が公布されました。その後、改正大麻法/麻向法は、複数のパブリック・コメントを経て、第一段施行(医薬品の解禁、施用罪の適用)を24年12月12日、第二段施行(第一種/第二種栽培制度)を25年3月1日により、運用がスタートしました。
2025年
3月1日 日本:改正大麻法/麻向法の第二段階(第一種/第二種栽培制度)が施行
3月12日 カナダ:大麻規制の緩和(小規模栽培の要件緩和、研究所持30gまで免許不要、
種子由来製品の要件削除(検査、10ppm以下等)など)
3月16日 モルドバ共和国 産業用大麻の初栽培許可
4月4日 パナマ 医療用大麻のアクセス規制枠組みを発効(2021年に医療用大麻は合法化済み)
5月13日 デンマーク 医療用大麻の合法化(26年1月1日施行)
6月16日 米国薬局方(USP)ハーブ医薬品基準書(HMC)に大麻花モノグラフの最終承認Ver.1.0を発行
6月26日 タイ 実質的に解禁状態となっていた医療用途以外の「嗜好用」の利用や販売を禁止
大麻の購入には医師の処方箋を義務付ける
7月1日 米国ネブラスカ州 医療用大麻の合法化施行(39州目)
7月4日 チェコ共和国 嗜好用大麻の合法化(施行は26年1月1日)
21歳以上、自家栽培3株まで、個人所持(自宅100g、公共25g以下)
7月25日 トルコ 医療用大麻製品を薬局で販売することを合法化
8月20日 スロベニア 医療用大麻を合法化 医師判断であらゆる疾患に処方可 栽培と流通は許可制
8月26日 植物の新品種の保護に関する国際条約.(UPOV条約1991年法)に基づく、
大麻草の新品種試験ガイドライン発効(種子用/繊維用/園芸用に分類した5タイプを設定)
9月10日 欧州医薬品庁(EMA)はハーブ由来の適正農業および採取規範 (GACP)改訂ガイドラインを採択
9月12日 EU(欧州議会)産業用大麻の「全植物部位」を合法的な産業用途に解放する方向を明確化。
各加盟国で法制度が進むとヘンプ花・葉の利用が可能となる
10月7日 スペイン 標準化された医療用大麻製剤(THC/CBD抽出物)の病院のみの販売を合法化
10月8日 ドイツ 医療用大麻のオンライン販売を禁止し、医師の対面診療と薬局での対面交付を義務化
10月28日 コロンビア 医療用大麻の国内販売を合法化(2021年に輸出は既に合法化済み)
11月12日 米国 農業歳出法でヘンプの定義と許容THC量(総THC0.3%)を再定義、
ヘンプ製品の容器あたり総THC 0.4 mgを超えることを禁止(2026年11月12日施行)
11月26日 ポルトガル タバコ税の対象製品(タバコや電子液体を含む)に類似した大麻製品は、
CBD、THC、その他の大麻由来の物質の販売を禁止。但し、医療用大麻制度上の製品は除く。
12月1日 ボツワナ 産業用大麻及び医療用大麻の試験栽培が合法化
12月11日 ニュージーランド 産業用大麻(THC0.35%→1.0%未満、麻薬作物から削除、免許制廃止)、
医療用大麻の栽培免許者の花・葉バイオマスの供給可能
12月12日 南アフリカ 産業用大麻(THC0.2%→2.0%に引上げ、1%超えは世界初)
12月18日 米国 大統領令「医療用大麻とカンナビジオールの研究の拡大」発効により、スケジュールI
(医療価値なし、最も危険な乱用リスク)からスケジュールIII(医療価値有り、
中程度~低程度の乱用リスク)に変更へ
12月18日 アラブ首長国連邦(UAE)産業用大麻を合法化(THC0.3%、許可制)
厚生労働省.令和7年3月1日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の大麻草の栽培規制が施行されました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_43079.html図 日本の大麻栽培者免許制度
2024年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000311835/2023年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000292470/2022年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000273183/2021年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000251130/2020年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000228936/2019年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000207964/2018年の規制緩和した国と地域
https://www.dreamnews.jp/press/0000187079/<用語集>
Δ9-THC:
デルタ9-テトラヒドロカンナビノール。THCとも表記される。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、最も向精神作用のある成分。いわゆるマリファナの主成分として知られている。痛みの緩和、吐き気の抑制、けいれん抑制、食欲増進、アルツハイマー病への薬効があることが知られている。
CBD:
カンナビジオール。144種類ある大麻草の独自成分カンナビノイドのうち、向精神作用のない成分で、てんかんの他に、アルツハイマー病、パーキンソン病、多発性硬化症、神経性疼痛、統合失調症、社会不安、抑うつ、抗がん、吐き気抑制、炎症性疾患、関節リウマチ、感染症、クローン病、心血管疾患、糖尿病合併症などの治療効果を有する可能性があると報告されている。2018年6月に行われたWHO/ECDD(依存性薬物専門家委員会)の批判的審査では、純粋なCBDは国際薬物規制の対象外であると勧告された。
内因性カンナビノイド系:
内因性カンナビノイド系(ECS)は、内因性リガンド(アナンダミド、2-AG等)、それらのカンナビノイド受容体(CB1,CB2等)、および内因性カンナビノイドの形成と分解を触媒する酵素(FAAH、MAGL等)を含む脂質の複雑なネットワークである。内因性カンナビノイド系は、学習と記憶、感情処理、睡眠、体温制御、痛みの制御、炎症と免疫応答、食欲など、私たちの最も重要な身体機能の調節および制御を担っている。
2018年米国農業法による「ヘンプ」の定義:
「ヘンプ」という用語は、「大麻(学名Cannabis sativa L.)」の植物および、その植物のいずれかの部位(種子と全ての派生物、抽出物、カンナビノイド、異性体、酸、塩、異性体の塩を含む)であり、成長しているか否かにかかわらず、デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(delta-9 tetrahydrocannabinol)の濃度が乾燥重量ベースで0.3%以下であるもの」を指す。
日本臨床カンナビノイド学会
2015年9月に設立し、学会編著「カンナビノドの科学」(築地書館)を同時に刊行した。同年12月末には、一般社団法人化し、それ以降、毎年、春の学術セミナーと秋の学術集会の年2回の学会を開催している。2016年からは、国際カンナビノイド医療学会; International Association for Cannabinoid Medicines (IACM)の正式な日本支部となっている。
http://cannabis.kenkyuukai.jp/日本の大麻取締法
我が国における大麻は、昭和5年(1930年)に施行された旧麻薬取締規則において、印度大麻草が≪麻薬≫として規制されてきた。第二次世界大戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)により印度大麻草と国内の大麻草は同一だと指摘を受け、一旦は、大麻草の栽培等の全面禁止が命じられた。ところが、当時の漁網や縄などの生活資材に必要不可欠であり、国内の農家を保護するために大麻取締法(1948年7月10日制定、法律第124号)を制定した。医師の取り扱う麻薬は、麻薬取締法(1948年7月10日制定、法律第123号)となり、農家が扱う大麻は、大麻取締法の管轄となった。その後、化学繊維の普及と生活様式の変化により、大麻繊維の需要が激減し、1950年代に3万人いた栽培者が1970年代に1000人まで激減した。欧米のヒッピー文化が流入し、マリファナ事犯が1970年代に1000人を超えると、それらを取り締まるための法律へと性格が変わった。つまり、戦後、70年間で農家保護のための法律から、マリファナ規制のための法律へと変貌した。2018年の時点で、全国作付面積11.2ha、大麻栽培者35名、大麻研究者401名。この法律では、大麻植物の花と葉が規制対象であり、茎(繊維)と種子は、取締の対象外である。栽培には、都道府県知事の免許が必要となるが、マリファナ事犯の増加傾向の中、新規の栽培免許はほとんど交付されていない。また、医療用大麻については、法律制定当初から医師が施用することも、患者が交付を受けることも両方で禁止されたままであった。
現在は、厚生労働省による21年大麻等の薬物対策のあり方検討会(全8回)、22年大麻規制検討小委員会(全4回)を経て、23年1月12日の厚生科学審議会 (医薬品医療機器制度部会)にて法改正の方向性が示された後、第212回臨時国会にて大麻取締法(大麻草の栽培の規制に関する法律案)、麻薬及び向精神薬取締法を一部改正する法律案が成立して公布された。24年12月及び25年3月に施行された。
配信元企業:一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会
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記事提供:DreamNews