日本の二酸化炭素回収装置市場の規模、シェア分析、成長要因および予測(2026年~2036年)
KDマーケットインサイツ株式会社
KDマーケットインサイトは、『日本の二酸化炭素回収装置市場の将来動向および機会分析 - 2025年から2035年』と題した市場調査レポートの発表を喜んでお知らせします。本レポートの市場範囲は、現在の市場動向および将来の成長機会に関する情報を網羅しており、読者が十分な情報に基づいたビジネス判断を行えるよう支援します。本調査レポートでは、KDマーケットインサイトの研究者が一次および二次調査の分析手法を活用し、市場競争の評価、競合他社のベンチマーク、ならびにそれらのGo-to-Market(GTM)戦略の理解を行っています。
日本の二酸化炭素回収装置市場:ネットゼロ社会に向けた拡大
日本の二酸化炭素(CO?)回収装置市場は、2050年までのカーボンニュートラル達成という国家的目標に向けて、重要な技術分野として台頭しています。世界第5位のCO?排出国である日本は、産業の脱炭素化とエネルギー安全保障という二重の課題に直面しており、排ガスや産業プロセス、さらには大気中から直接CO?を回収する専用装置への需要が急速に高まっています。政府の積極的な目標設定、企業のネットゼロ宣言、そして技術的優位性に支えられ、この市場は今後10年間で飛躍的な成長が見込まれています。
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日本の二酸化炭素回収装置市場に関する調査レポートによると、同市場は2026年から2036年の間に年平均成長率(CAGR)22.7%で成長し、2036年末までに市場規模は1億2,160万米ドルに達すると予測されています。なお、2025年の市場規模は1,890万米ドルでした。
市場セグメンテーション
CO?回収装置市場は、いくつかの重要な観点で分類することができます。
技術別:本市場は、用途やCO?発生源の特性に応じた3つの主要な回収技術で構成されています。
化学吸収:CO?が化学溶媒(主にアミン)と反応して一時的な化合物を形成するプロセスです。その後、加熱や圧力変化によりCO?を放出し、高純度のガスを得ます。この方法はCO?濃度の高いガス流に特に有効で、精密なプロセス制御が可能です。産業規模の回収において最も広く採用されている技術です。
物理吸着:特定の圧力および温度条件下で、固体吸着材の表面にCO?分子を吸着させる方法です。捕捉されたCO?は、圧力を下げる(PSA:圧力スイング吸着)または温度を上げることで放出されます。中~低濃度のCO?ガスに対してエネルギー効率が高く、連続的な産業運用にも対応可能です。
膜分離:CO?が他のガスよりも透過しやすい選択的膜を用いる新興技術で、溶解度や拡散速度の差に基づいて分離を行います。モジュール化、小型化、低エネルギー消費といった利点がありますが、大規模用途では化学吸収に比べてまだ発展途上です。
用途別:
CO?の発生源に基づいて市場は分類されます。
排ガスCO?回収(SGR):主に火力発電所、産業用ボイラー、廃棄物焼却施設などの燃焼排ガスからCO?を回収します。日本がベースロード電源として依然として化石燃料に依存しているため、最大の用途セグメントとなっています。
プロセス/副生ガスCO?回収(BPR):水素製造、アンモニア合成、バイオエタノール発酵、セメント製造などの化学反応の副産物として発生するCO?を回収します。
その他:直接空気回収(DAC)、バイオガス精製、石油増進回収(EOR)用ガスの調整などのニッチ用途が含まれます。
最終用途産業別:
より広範なCCS市場構造に基づく主要な最終用途には、火力発電所(石炭・バイオマス)、鉄鋼業、化学産業、石油精製、セメント産業などがあります。日本の鉄鋼産業だけでも2024年には843億ドルの市場規模に達しており、大量のCO?排出源として回収技術の需要が高まっています。
成長の主な推進要因
日本のネットゼロ排出目標
最も強力な成長要因は、2050年までのカーボンニュートラル達成という法的拘束力のある目標です。この政策枠組みにより、脱炭素技術への大規模な政府投資が進み、グリーンイノベーション(GI)基金ではCO?分離・回収技術の開発に資金が割り当てられています。JERA、千代田化工建設、東邦ガスなどの企業が、この取り組みのもとで天然ガス火力発電向けの回収技術を開発しています。
エネルギーミックスにおける化石燃料依存の継続
再生可能エネルギーの拡大が進み、2024年初頭には日本の発電に占めるクリーンエネルギーの割合が31.6%(2023年同期の28%から増加)となったものの、日本は依然として液化天然ガス(LNG)や石炭などの輸入化石燃料に大きく依存しています。炭素回収は既存のエネルギーインフラを活用しつつ排出削減を実現する手段であり、既存発電設備における回収装置の需要を継続的に生み出しています。
日本の水素社会戦略
クリーンエネルギーキャリアとしての水素に注力する日本の戦略は、CO?回収需要を新たに創出しています。天然ガス由来の水素製造(蒸気メタン改質)では副産物として大量のCO?が発生します。バイオマス炭素除去・貯留(BiCRS)などの技術と組み合わせることで、「ブルー水素」生産とCO?回収の統合が可能となり、設備メーカーにとって重要な成長機会となっています。
強固な産業活動基盤
鉄鋼、化学、セメントなどの分野で世界的な製造拠点である日本では、産業由来のCO?排出量が非常に多くなっています。特に鉄鋼業では、生産能力を維持しつつ環境規制に対応するため、炭素回収システムの導入が進んでいます。産業活動の拡大に伴い、排出削減の必要性が高まり、CO?回収は選択的投資ではなく戦略的必須投資となっています。
強力な特許基盤と技術的優位性
日経が委託した分析によると、2013年から2022年に出願された18,000件以上の特許に基づき、日本はCO?分離・回収技術の競争力で世界第2位(米国に次ぐ)に位置しています。この知的財産の優位性により、日本企業は国内外市場でのシェア拡大が期待されています。三菱重工業はこの分野で世界トップ企業とされ、2023年末時点で世界中に15のCO?回収設備を納入しています。
市場が直面する課題
CO?貯留における地理的制約
最も重要な課題の一つは、大規模なCO?貯留に適した地質構造が日本には十分に存在しないことです。北米や欧州のように深部帯水層や枯渇した油・ガス田が豊富な地域とは異なり、日本は地理的制約により、DACCS(直接空気回収・貯留)など貯留依存型技術の導入が困難です。この制約により、高コストで技術的にも難易度の高い海洋貯留インフラの開発、または恒久的な地中貯留ではなくCO?の有効利用に注力する必要があります。
高い導入コスト
CO?回収装置の導入には多額の初期投資が必要であり、大きな障壁となっています。特に運用寿命が終わりに近い既存の化石燃料発電所への導入は、巨額の資本支出を伴い、事業者が投資に慎重になる要因となっています。さらに、日本は輸入エネルギーへの依存度が高く、エネルギー企業の財務的余力が限られているため、高額な炭素回収設備への投資が難しい状況です。その結果、多くの事業者は装置導入ではなく、炭素クレジットの購入といった低コストの代替手段を選択する可能性があります。
エネルギーペナルティと運用コスト
CO?回収プロセス、特に化学吸収は溶媒再生やCO?圧縮に多くのエネルギーを必要とします。この「エネルギーペナルティ」によりプラント全体の効率が低下し、運用コストが増加します。また、回収したCO?が恒久的に貯留されず再利用される場合、再放出の可能性があり、正味のCO?削減効果に対する懸念も生じます。
国際競争の激化
日本は技術面で高い競争力を維持しているものの、中国などの新興プレーヤーが特許出願数を急速に拡大しています。2013年から2022年のCO?分離・回収関連特許の49%を中国が占め、2022年には61%に達しました。現時点では競争力指標で日本が優位にあるものの、この圧倒的な件数は将来的に日本メーカーの市場地位に圧力を与える可能性があります。
新たなトレンドと機会
直接空気回収(DAC)の開発
DACは、排出源ではなく大気中から直接CO?を回収する技術であり、大きな成長可能性を持つ分野です。設置場所の自由度が高く、貯留や利用に適した場所に配置できる利点があります。しかしコストは依然として高く、日本の科学技術機関は1トンあたり約35,400円と試算しています。スイスのClimeworksやカナダのCarbon Engineeringなどの企業が商用化を進めており、日本企業にとっては競争と同時に提携機会も生まれています。
CCU(回収・利用)の統合
日本企業は地中貯留だけでなく、CO?の有効利用(CCU)にも注力しています。回収したCO?は合成燃料、化学品、建材、農業用途などの原料として活用可能です。この「カーボン循環」アプローチは、日本の貯留制約を補いながら経済的価値を創出します。
小型・モジュール型回収システム
中小規模の工業施設、バイオガスプラント、商業用途など分散型排出源向けに、コンパクトでモジュール化されたCO?回収装置の需要が高まっています。日本メーカーは精密製造の強みを活かし、設置コストや導入期間を削減できる標準化・拡張可能なシステムを開発しています。
技術標準化と国際連携
日本の経済産業省は、競争力強化のためCO?分離・回収技術の国際標準化を推進しています。三菱重工業とエクソンモービルの2022年の技術提携のように、国際的なエネルギー企業との協力により、日本企業は海外市場へのアクセス拡大と開発コストの分担を進めています。
調査レポートはこちらからご覧ください@
https://www.kdmarketinsights.jp/report-analysis/japan-carbon-dioxide-gas-recovery-equipment-market/893主要企業と競争環境
日本のCO?回収装置市場は、国内のエンジニアリング企業および産業ガス大手が支配する集中型の競争環境となっています。QYリサーチによると、2025年には上位5社で市場の約91.61%を占めています。
主要企業:
三菱重工業株式会社(MHI):世界および日本市場でのリーダー企業であり、CO?分離・回収技術の特許数で世界トップです。世界で15件の商用設備を導入し、2022年にはエクソンモービルと提携。関西電力と共同開発したKM CDR ProcessTMは代表的な化学吸収技術です。
住友精化株式会社:ガス分離・精製技術に強みを持ち、CO?回収向けの先進的な吸着材を提供。
エア・ウォーター株式会社:産業ガスおよび化学分野で多角的に事業展開し、CO?回収装置やガス処理ソリューションを提供。
大陽日酸株式会社:ガス分離・液化技術を活用したCO?回収分野での主要プレーヤー。
JFEエンジニアリング株式会社:環境・エネルギー施設の設計・調達・建設を手掛け、産業向けCO?回収システムに注力。
日本CCS株式会社(JCCL):日本におけるCCSの実証・商用化を推進する専門企業。
競争環境の特徴:
国内企業による高い市場集中度と技術優位性により、海外企業の参入は限定的です。一方で、米国企業などはDACなど特定分野で競争力を持っています。日本政府は実証プロジェクトの資金支援や国際連携を推進しており、初期段階では企業間の競争よりも協調が重視されるエコシステムが形成されています。
将来展望
日本のCO?回収装置市場は、2035年以降も持続的かつ変革的な成長が見込まれています。法的拘束力のあるネットゼロ目標、化石燃料依存の継続、水素生産との統合、グリーンイノベーション基金による政府支援が成長を後押しします。
高コストや貯留制約といった課題は存在するものの、それらは開発停滞ではなく技術革新を促進しています。日本企業は低コスト技術、モジュール化設計、CO?利用技術の開発を進めており、炭素価格制度や排出量取引市場の拡大も設備投資の経済性を高める要因となるでしょう。
配信元企業:KDマーケットインサイツ株式会社
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記事提供:DreamNews