【矢野経済研究所プレスリリース】トラック分野における物流テック市場に関する調査を実施(2026年) 2025年度のバース予約/受付システムの導入拠点数ベースの市場規模は前年度比152%の6,300拠点
株式会社矢野経済研究所
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、トラック分野における物流テック市場を調査し、分野別の市場動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。ここではバース予約/受付システムについて分析結果を公表する。
1.調査結果概要
社会インフラを支える物流業界では、慢性的なドライバー不足に加え、2024年4月に適用されたトラックドライバーへの時間外労働の上限規制への対応が急務となっている。輸送能力の低下が現実のものとなる中、より少ない人員・時間で輸配送業務を遂行するべく、IT技術を活用した物流テックの導入に注目が集まっている。物流テックの導入には、配車計画の最適化や動態管理による業務効率の向上・省人化に寄与するといったメリットだけでなく、これまで紙などで管理していた業務データをデジタル化することで、輸配送全体を可視化し、分析することで改善につなげることができるといった利点がある。一方で、開発・導入コストの高さやIT人材不足から、物流テックを導入する事業者はこれまで大手事業者に限られていた。近年は、標準的なソフトウェアパッケージを手頃な価格で導入できるクラウド型システムの普及により、中堅事業者にも導入が進みつつある。
加えて、2025年4月に施行された改正物流効率化法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律)は荷主企業・物流事業者に対し荷待ち時間・荷役時間の計測・記録・報告に努力義務が課され、2026年4月の特定事業者(年間取扱貨物重量9万トン以上の荷主等)への本格的な義務化となった。同法は物流テック各分野に関連するシステム導入を促すことになることから、市場拡大をさらに加速させる要因となっている。
本調査におけるトラック分野関連の物流テックのうち、ここではトラックの入出庫を管理するバース予約/受付システム市場について分析結果を公表する。
2025年度のバース予約/受付システムの市場規模は、導入拠点数ベースで6,300拠点となり、前年度比152%と高い成長率を維持した。今後も増加傾向で推移し、2028年度には11,500拠点に達すると予測する。
この背景にはドライバーの負荷軽減・荷待ち時間の解消を目的とした新規導入の増加に加え、既にシステムを導入している大手事業者が自社内の他拠点へ展開するケースの増加がある。さらに、改正物流効率化法を見据えた荷待ち時間・荷役時間の把握を目的とした荷主企業の新規導入も好調に推移し、導入拠点数の拡大につながっている。
これまでは主に着荷主側で導入が先行してきたが、今後は発荷主側への展開が本格化する見通しである。全国に複数拠点を持つ大手荷主を中心に自社内の他拠点への導入が加速するほか、義務化対象外ではあるものの、中堅・中小規模の荷主においても、取引先からの要請や業界標準化の流れを受けて導入が広がることが見込まれる。
2.注目トピック~改正物流効率化法と物流テック市場
改正物流効率化法は、トラックドライバーに対する時間外労働規制の適用を背景とする輸送能力不足への対応として整備された法制度である。2025年4月に全ての荷主及び物流事業者に対する努力義務が課され、2026年4月からは一定規模以上の対象事業者について、中長期計画や定期報告等を求める枠組みが本格化している。特に、特定荷主・特定連鎖化事業者(年間取扱貨物重量9万トン以上の荷主等)では、物流統括管理者(CLO)の選任が求められ、経営課題として物流を捉える必要が高まっている。
法制度の特徴は、物流停滞の要因を物流事業者側だけに求めるのではなく、荷主の発注・納品慣行、受渡し条件、拠点運営、荷役、情報連携といったサプライチェーン全体を対象とした輸配送全体の改善にある。その中でも、積載効率の向上等、荷待ち時間の短縮、荷役等時間の短縮は、各事業者間において運行情報をデジタル化し、事前共有することが不可欠であることから、物流テックと密接に関連する領域である。重要なのは、輸配送全体の改善が各現場におけるシステム導入といった単体システムの導入有無だけでなく、運行実績をどこまで把握し、改善につなげられるか、また輸配送の工程ごとの複数のシステムや異なる物流事業者間データをどこまで連携できるかが、各物流事業者が継続的な経営課題として取り組むべき重要な指標になることにある。
今後はこうした輸配送の工程ごとの運行実績データの事前共有や事業者間のデータ連携を進展させることで、サプライチェーン全体の改善をどのように促すのかが問われる段階へと移行する。この変化は、物流テック市場を底上げする要因になるのみならず、物流業界全体の質的改善(輸配送の効率化にとどまらず、荷待ち時間や荷役等時間の短縮、出荷情報の事前共有などによるムダ・ミスの削減により、円滑で安定的な物流の実現)につながるものと期待される。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/4129調査要綱
1.調査期間: 2026年2月~3月
2.調査対象: 国内物流に係わる事業者(運送事業者、メーカー・卸などの荷主企業、物流テック事業者等)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、及び文献調査併用
4.発刊日:2026年4月27日
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記事提供:DreamNews