2026年マスク基板市場レポート:市場規模・見通し・次期産業戦略- 年平均成長率(CAGR)6.7%で成長
LP Information Co.,Ltd
LP Informationの分析「世界マスク基板市場の成長予測2026~2032」(
https://www.lpinformation.jp/reports/586248/mask-blanks)によれば、グローバルマスク基板市場は2025年に32.22億米ドル規模に達している。
同市場は2026年から2032年にかけて年平均6.7%で拡大し、2032年には51.69億米ドルに達する見通しである。
需要は半導体とディスプレイ向けの双方に支えられ、中国市場の存在感も着実に高まっている。
競争面では上位5社で約94.0%を占め、少数大手が市場を主導する極めて集中度の高い構造がみられる。
マスク基板は、マスク原板、ブランクマスクなどとも称され、マスク版(フォトマスク版、リソグラフィマスク版などともいう)を作製するためのコーティング未施工の基板材料であり、主に基板と遮光膜の二部分から構成される。その下地は主にガラス基板であり、主流製品は石英基板とソーダ基板である。石英ガラスは、光学透過率が高く、熱膨張率が低く、平坦度および耐摩耗性が高く、使用寿命が長いという長所を有し、通常高精度マスク版に用いられる。ソーダガラスは光学性能が石英ガラスに若干及ばず、主に中低精度マスク版に用いられる。
市場規模と今後5年予測:半導体とFPD需要が下支え
この市場は、半導体とディスプレイの二つの需要軸に支えられながら、中期的な拡大基調を維持する分野と位置づけられる。LP Informationの最新レポートによると、2025年の世界市場規模は32.229億米ドル、2032年には51.6869億米ドルに達し、CAGRは6.73%となる見通しである。急拡大型というより、基幹部材として着実に需要が積み上がる安定成長市場とみるのが妥当である。
この成長を支える主因は、半導体微細化と高世代ディスプレイ対応の継続である。マスク基板はフォトマスクの性能を左右する基礎材料であり、透過率、熱膨張、平坦性、耐久性といった物性が露光精度や歩留まりに直結する。とりわけ高精度用途では石英基板の重要性が高く、先端プロセスに近い領域ほど材料品質への要求は厳しくなる。
地域面では、中国市場の存在感が増していることも重要である。2025年の中国市場規模は4.8483億米ドルで、世界全体の15.04%を占め、2032年には8.6085億米ドル、構成比16.66%へ上昇する見通しだ。政策支援や地域投資、供給網再編の動きが市場拡大を後押しする一方、技術障壁と調達安定性が依然として競争条件を左右している。
図. マスク基板世界総市場規模
図. 世界のマスク基板市場におけるトップ12企業のランキングと市場シェア(2025年の調査データに基づく;最新のデータは、当社の最新調査データに基づいている)
主要企業ランキングと市場シェア:少数大手が供給を実質支配
競争構造は、少数大手による強い集中が際立つ。主要メーカーにはShin-Etsu MicroSi, Inc.、HOYA、AGC、S&S Tech、ULCOAT、CST Co., Ltd.、Hunan Puzhao、Telic、Shaoguang Core Materials、SKCなどが含まれるが、2025年時点で上位5社の売上シェアは約94.0%に達している。さらにご提示情報では上位3社でも86%超を占めており、市場は緩やかな集中ではなく、実質的に上位企業群が供給を支配する構図に近い。
この上位集中は、とくに高精度半導体用および高世代パネル用の基材で顕著である。国内市場では長く輸入依存が続き、日本および韓国メーカーが高性能領域を主導してきた一方、中国企業は中小サイズや中低位用途での供給比率が相対的に高い。したがって市場全体では、量的な拡大と技術的な主導権が必ずしも一致しない、二層的な競争構造が存在する。
今後は競争が一段と激しくなる可能性が高いが、少なくとも短期的には高精度領域の参入障壁は高い。品質安定性、加工精度、顧客認定、量産供給の実績が重視されるため、上位企業の優位は依然として強い。市場は拡大しているものの、シェアの移動は限定的で、用途別・地域別に徐々に競争の輪郭が変わる展開が想定される。
主要企業の動向
足元では、主要企業の動きにも、先端露光向け供給能力の強化が色濃く表れている。AGCは2023年4月、EUVLマスクブランクの生産能力を2025年までに従来比約30%拡大すると発表し、2024年1月から順次生産を開始するとした。先端半導体向けで欠陥管理が厳しい領域では、能力増強と品質安定性の確保が競争力の維持に直結しやすい。
HOYAは2025年6月、EUVフォトマスクブランクスに関する紹介動画を公開し、先端半導体の微細化を支える高精度マスク基板分野での取り組みを改めて示した。あわせて2024年度の説明資料では、EUV blanksの高需要や1nm世代向けqualification活動の進展に触れ、先端ノードでの供給ポジション維持と、技術ロードマップに沿った投資方針を示している。
供給網の地域分散という面では、韓国勢の動きも注目される。業界報道によれば、2025年7月時点でSamsung ElectronicsとS&S TechはEUV blank maskの国産化に向けた評価を進めており、2026年1月にもSamsungが韓国製mask blanksをEUV工程に採用する方向で最終評価を進めていると報じられた。正式採用の有無にはなお確認が必要であるものの、先端マスク基板市場では、技術性能だけでなく、供給網の地域分散と調達先多元化も競争テーマとして重要性を増している。
今後の展望
今後の成長方向としては、先端半導体と高世代ディスプレイの双方が引き続き重要だが、競争上の焦点はより高性能な石英基板と先端露光対応品へ移っていく可能性が高い。地域面では、中国市場の拡大が続く一方、高精度用途では日本・韓国系企業の存在感がなお強く、供給網再編が進んでも性能主導の構図はすぐには崩れにくい。
競争は短期的に分散するより、むしろ高精度領域で上位集中が維持されやすい。ただし、中低位用途や中国市場では新規供給の増加によって競争が相対的に細分化する余地がある。将来の勝負どころは、基板性能そのものに加え、供給安定性、顧客認定の早さ、地域生産との連動をどこまで確保できるかにある。
日本企業への示唆
日本企業にとって、この市場は単なる材料市場ではなく、半導体・FPDの基幹供給網をどう押さえるかという観点で捉える意義が大きい。新規参入や周辺事業評価では、高精度領域が依然として少数企業主導である点を踏まえ、どの用途帯に参入余地があるかを冷静に見極める必要がある。また、提携先や調達先の選定では、上位企業の供給力と品質安定性に加え、中国市場向けの地域対応力も比較材料となる。さらに、競争構造と中国市場の伸びを継続的に把握することは、投資評価、代替調達の検討、社内稟議向けの市場整理においても経営判断に資する。
【 マスク基板 報告書の章の要約:全14章】
第1章では、マスク基板レポートの範囲を紹介するために、製品の定義、統計年、調査目的と方法、調査プロセスとデータソース、経済指標、政策要因の影響を含まれています
第2章では、マスク基板の世界市場規模を詳細に調査し、製品の分類と用途の規模、販売量、収益、価格、市場シェア、その他の主要指標を含まれています
第3章では、マスク基板の世界市場における主要な競争動向に焦点を当て、主要企業の売上高、収益、市場シェア、価格戦略、製品タイプと地域分布、産業の集中度、新規参入、M&A、生産能力拡大などを紹介します
第4章では、マスク基板の世界市場規模を、主要地域における数量、収益、成長率の観点から分析します
第5章では、アメリカ地域におけるマスク基板業界規模と各用途分野について、販売量と収益に関する詳細情報を探します
第6章では、アジア太平洋地域におけるマスク基板市場規模と各種用途を、販売量と収益を中心に分析します
第7章では、ヨーロッパ地域におけるマスク基板の産業規模と特定の用途について、販売量と収益について詳しく分析します
第8章では、中東・アフリカ地域におけるマスク基板産業の規模と様々な用途、販売量と収益について詳しく考察します
第9章では、マスク基板の業界動向、ドライバー、課題、リスクを分析します
第10章では、マスク基板に使用される原材料、サプライヤー、生産コスト、製造プロセス、関連サプライチェーンを調査します
第11章では、マスク基板産業の販売チャネル、流通業者、川下顧客を研究します
第12章では、マスク基板の世界市場規模を地域と製品タイプ別の売上高、収益、その他の関連指標で予測します
第13章では、マスク基板市場の主要メーカーについて、基本情報、製品仕様と用途、販売量、収益、価格設定、粗利益率、主力事業、最近の動向などの詳細情報を紹介します
第14章では、調査結果と結論
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