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高齢心不全患者における横隔膜厚の予後への影響

学校法人 順天堂

高齢心不全患者における横隔膜厚の予後への影響

― SONIC-HF多施設共同研究による検討 ―


順天堂大学大学院医学研究科循環器内科学の鍵山暢之 特任准教授、末永祐哉 准教授らの研究グループは、国内6施設と高齢心不全患者における横隔膜(*1)の予後への影響について共同研究を行いました。この研究は横隔膜の厚さを超音波で測定し、その予後との関連を検討したものです。横隔膜が薄い患者は死亡リスクが高く、横隔膜の厚さが独立した予後指標となる可能性が示唆されました。本成果は、将来、心不全診療のあらたな治療法の可能性を示すものです。本論文はJACC Cardiovascular Imaging誌のオンライン版に2024年12月18日付で公開されました。
本研究成果のポイント
- 高齢心不全患者における横隔膜の厚さを超音波で測定- 横隔膜の厚さが独立した予後指標となる可能性を初めて示唆- 横隔膜の萎縮を防ぎ、改善することが心不全のあらたな治療法となる可能性がある
背景
 心不全は高齢者に多く、運動能力や呼吸機能の低下と関連する疾患です。近年、横隔膜が単なる呼吸筋ではなく、循環器系にも影響を与えることが注目されています。横隔膜が薄くなると、静脈還流の低下や自律神経の調整不全が生じ、心不全の進行に関与する可能性があります。しかし、横隔膜の厚さが心不全患者の予後にどのような影響を与えるかについては明確なデータがありませんでした。また、従来の心不全評価では、筋肉量や体力低下が考慮されてきましたが、横隔膜の状態は十分に評価されていません。本研究では、高齢心不全患者において超音波を用いた横隔膜厚の測定が可能かを検討し、その厚さが死亡リスクなどの予後と関連するかを調査しました。
内容
 本研究では、高齢心不全患者における横隔膜の厚さと予後の関連を調べるため、超音波を用いた測定を行いました。対象は日本国内6施設で実行され、そのうちの4施設で登録されたSONIC-HF(*2)多施設研究の患者599名(平均年齢80歳)で、全員が心不全の悪化により入院し、歩行可能な高齢者でした。研究手法としては超音波を用いて、自然呼吸時と深呼吸時の横隔膜厚を測定し、年齢、体格、心不全の重症度、筋力(握力)、呼吸機能、心臓の状態などを評価しました。平均2年間の追跡で死亡率を調べ、横隔膜の厚さとの関連を統計解析しました。
 その結果、呼吸時の横隔膜厚の中央値は2.9mmで、それ以下の患者(薄い横隔膜の群)は、高齢、低体重、心不全症状が重い傾向がありました。また、横隔膜が薄い患者は死亡率が高く、統計解析の結果、この関連は年齢や心不全の重症度を考慮しても独立した予後因子であることが示されました(横隔膜が1mm厚いごとに死亡リスク22%低下)。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21495/733/21495-733-922c4b188254b6bb91d93b0be14af80c-667x532.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1:横隔膜の測定方法

以上の結果から、従来の心不全評価では全身の筋肉量や握力などの指標が用いられていましたが、本研究により横隔膜の評価が新たな予後指標として有用である可能性が初めて示されました。今後、横隔膜のトレーニングやリハビリが心不全治療の一環として検討されるべきかもしれません。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/21495/733/21495-733-5489bf178e1fc09e81ebe4d8d460963a-712x520.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2:横隔膜の厚さと死亡率

今後の展開
 本研究により、横隔膜の厚さが高齢心不全患者の予後に影響を与えることが示されました。これにより、今後の研究や臨床応用に向けて以下のような展開が期待されます。
1. 横隔膜厚を活用した心不全のリスク評価
本研究の結果をもとに、横隔膜厚の測定を心不全患者のリスク評価に取り入れることが考えられます。例えば、心不全患者の定期検査で横隔膜の厚さを測定し、薄い場合は早期介入を検討することで、より適切な管理が可能になるかもしれません。
2. 横隔膜トレーニングの可能性
横隔膜はトレーニングにより機能を改善できることが知られており、呼吸リハビリや筋力トレーニングが心不全患者の予後改善につながる可能性があります。今後、横隔膜トレーニングが心不全治療の一環として確立できるか検討が必要です。
3. 他の心不全患者群への適用
本研究の対象は日本の高齢者に限られていたため、今後は若年患者や異なる人種の患者でも同じ傾向が見られるかを検証する必要があります。特に、異なる病態(心不全の種類や重症度)での横隔膜厚の役割を明らかにすることが重要です。
4. 横隔膜厚の基準値の確立
現在、成人の横隔膜厚に関する明確な基準値がないため、今後の研究で「どの程度の厚さが危険なのか」を明確にすることが求められます。これにより、臨床現場での活用がより進むと考えられます。

本研究は、心不全患者における横隔膜の重要性を示した初めての大規模研究であり、新たな予後指標としての可能性を示しました。今後、横隔膜の評価を心不全診療に組み込むことで、より精密なリスク管理や新たな治療法の開発につながることが期待されます。
用語解説
*1 横隔膜: 胸腔と腹腔を隔て、呼吸運動の主要な役割を果たす筋肉。 
*2 SONIC-HF(高齢心不全患者に対する骨格筋評価指標の比較~多施設前向きコホート研究~):高齢心不全患者の臨床像と予後を検証する日本国内多施設共同研究の名称。
研究者のコメント
● 高齢心不全患者の横隔膜厚を超音波で測定し、薄いと死亡リスクが高まることを初めて示しました。
● 今後、心不全評価に“呼吸筋の視点”を取り入れるための画期的な発見と考えています。
● 今後は横隔膜トレーニングなどのリハビリへの応用を進め、患者さんのQOL向上に貢献できるよう研究を深めていきたいと思います。

原著論文
本研究はJACC Cardiovascular Imaging誌のオンライン版で(2024年12月18日付)公開されました。
タイトル: Prognostic Impact of Diaphragm Thickness in Geriatric Patients With Heart Failure
-The SONIC-HF Multicenter Registry-
タイトル(日本語訳): 高齢心不全患者における横隔膜厚の予後への影響 -SONIC-HF多施設共同研究による検討-
著者: *Nobuyuki Kagiyama, MD, PhD Kentaro Kamiya, PT, PhD Misako Toki, BSc Hiroshi Saito, PT, PhD Kentaro Iwata, PT, PhD Yuya Matsue, MD, PhD Kenji Yoshioka, MD Kazuya Saito, PT Takeshi Kitai, MD, PhD Emi Maekawa, MD, PhD
著者(日本語表記):鍵山暢之1)、神谷健太郎2)、土岐美沙子3)、齋藤洋4)、岩田健太郎5)、末永祐哉1)、吉岡健司4)、齋藤和也3)、北井豪6)、前川恵美2)
著者所属:1)順天堂大学、2)北里大学、3)心臓病センター榊原病院、4)亀田総合病院、5)神戸大学、6) 国立循環器病研究センター
DOI: 10.1016/j.jcmg.2024.09.012

本研究は、ノバルティスファーマ研究助成金とJSPS科研費番号19K11424によって支援され、多施設との共同研究の基に実施されました。なお、本研究にご協力いただいた皆様には深謝いたします。

プレスリリース提供:PR TIMES

高齢心不全患者における横隔膜厚の予後への影響

記事提供:PRTimes

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