『社会的事業を行う非営利・営利法人の実態調査レポート2025』を発表。企業と連携して活動したことがある団体は65%で過去最高に
ICHI COMMONS株式会社
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企業との協働による効果は「団体の信頼度の向上」「団体の認知度の向上」「社会的インパクトの増大」が上位に
企業のサステナビリティ経営を支援するICHI COMMONS株式会社(東京都千代田区、代表取締役:伏見崇宏)は、地域社会の現場で社会課題解決の中心的役割を担われている4237組織を対象(回答数:452団体)に、2024年8月20日~10月20日に『社会的事業を行う非営利・営利法人の実態調査』を実施し、調査結果を『社会的事業を行う非営利・営利法人の実態調査レポート2025』として発表いたします。
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URL:
https://press.ichicommons.com/others/report2025/
本調査の実施背景・目的
ICHI COMMONSの前身である一般社団法人C4では、2018年に『全国非営利組織実態調査』を実施しました。調査結果から、活動におけるコミュニケーションとパートナーシップの不足、活動の認知向上が大きな課題であることが明らかになり、セクターを超えたパートナーシップ機会の創出とエコシステムの実現をめざして、ICHI COMMONSを創業しました。
その後、初回調査を引き継ぐ形で『社会的事業を行う非営利・営利法人の実態調査レポート2023』を発行し、社会課題解決の中心的役割を担われている組織の現状と課題を分析しました。
この度の『社会的事業を行う非営利・営利法人の実態調査レポート2025』では、「社会課題解決を阻害しうるさまざまな課題を可視化し、セクター間の連携を促すアクションに繋げ、社会的インパクトの増大を図ること」を目的に、クロス集計や課題/効果の5段階評価などを取り入れたより深い分析を行っています。
本調査結果が、内閣府をはじめとした公的機関、民間企業、業界団体、中間支援機関などのステークホルダーに広く共有され、社会課題解決をめざすセクター間の共助共創が促進されることを期待しております。
調査の方法
- 調査対象:地域社会の現場で社会課題解決の中心的役割を担っている非営利・営利組織- 調査期間:2024年8月20日~10月20日 - 調査方法:インターネット上でのアンケート調査- 調査地域:全国- 調査内容- - 組織情報- - 組織・人材について- - 広報・年次報告書について- - 特定非営利活動法人の認定制度について- - 資金・財政・会員制度について- - 企業との連携について- - 今後の展望について
調査結果概要
1)企業と連携して活動したことがある団体は65%で過去最高
2)企業との協働による効果は「団体の信頼度の向上」「団体の認知度の向上」「社会的インパクトの増大」が上位に
3)企業との協働における課題感は「継続的・持続的な連携を保つこと」が1位
4)取り組んでいるSDGsは「SDGs 3:すべての人に健康と福祉を」が約3割で最多
5)業務の主な担当者は「代表」が1位、「時間・お金・人材」の不足が浮き彫りに
6)スタッフ・ボランティア・連携先企業の募集は「直接的な繋がりを活用」が最多
7)NPO法人の認定取得による最も大きな効果は「団体の信頼度が高まった」が43%で最多
1)企業と連携して活動したことがある団体は65%で過去最高
「企業と連携して活動したことがある」と回答した団体は、295団体で65%となり、初回(2018年)調査結果の約4割、前回(2023年)調査結果の約6割から増加し、過去最高となりました。
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さらに、連携実績がない157団体においても、およそ半数が「連携に向け具体的に調整中」「連携先企業を募集中」「前向きに検討中」のいずれかを回答しており、社会課題の解決に向けたソーシャルセクターと企業間の協働は着実に進展していると考えられます。
企業との連携経験を有する割合は、団体の年間事業規模が大きいほど高くなる傾向が見られ、年間事業規模が100万円以下の団体で49%、1億円以上の団体では平均して84%となりました。連携企業数としては「1~5社」が62%で最多ですが、「31社以上」と答えた団体も11%に上りました。
また、企業との協働実績がない団体に連携を希望する理由を聞いた設問では、最多の68%が「法人寄付の増加につなげたい」と回答しており、「団体の認知度を高めたい」「団体の信頼度を高めたい」「社会的インパクトを増大させたい」も上位に挙げられました。
2)企業との協働による最も大きな効果は「団体の信頼度の向上」「団体の認知度の向上」「社会的インパクトの増大」が上位
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企業との連携経験を有する団体に最も大きな効果を聞いた設問では、「団体の信頼度が高まった」(26%)、「団体の認知度が高まった」(24%)、「社会的インパクトが増大した」(16%)の3つが上位を占めました。これらの項目は、5段階評価(5:そう思う~1:そう思わない)においていずれも中央値が4と高く、多くの団体が企業との協働による効果を実感し、評価していることがうかがえます。
特に社会課題の解決促進という点においては、“企業の社員有志が以前よりも積極的に社会課題に関わるようになる効果があった”、“キャリア教育を提供できた子ども達の人数を増大させることができた”といった声がありました。
さらに、最も大きな効果として「組織内人材の責任感や運営意識の醸成につながった」を選択した団体も7%に上りました。“組織内人材にノウハウが蓄積され、運営意識が向上した”、“普段の活動に対する責任感がより生まれるようになった”といった具体的な回答が見られ、人材育成や組織運営といった面も含めた、企業との協働による多層的な効果が明らかになりました。
また、協働企業へのインパクトとしては、“自社の取り組みが社会にどのように貢献しているかについて、若手社員の方が学ぶ機会を提供できた”、“社員の方にボランティア活動や社内交流の場としても活用してもらい、会社を誇りに思う気持ちが生まれたという感想をいただいた”など、ソーシャルセクターとの協働が組織活性化や人材育成、従業員エンゲージメントに繋がった例が挙げられ、企業にとっての有益性についても示唆を得られました。
3)企業との協働における課題感は「継続的・持続的な連携を保つこと」が1位
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企業と連携している団体のうち、協働する上での課題感として当てはまるものをすべて選択する設問では、「継続的・持続的な連携を保つのが難しい」を選んだ団体が最も多く46%に上りました。このほか、「団体内に企業との連携を担当できる専門的な人材がいない」「連携にかけられる時間が少ない」「連携にかけられる予算が少ない」が上位に挙げられましたが、「課題だと感じたことはあまりない」と答えた団体も2割ほどいました。
「企業との連携はあまり望んでいない」あるいは「よく分からない」とした69団体においては、その理由として、57%が「知識が十分ではなくどんな価値や効果が生まれるのかよく分からない」を挙げ、3割以上が「そもそも団体内で話し合ったことがない」と回答しました。セクター間の連携が着実に進んでいる一方で、協働プロセスや多層的な効果に関しては、まだ広く共有されていない現状が見受けられます。裏を返すと、協働経験のある企業・団体との交流会や勉強会など、事例や効果・ノウハウについて、整理したり学んだりできる機会が増えれば、さらに多くの社会的事業者/NPOが、企業との協働に関心を持つ可能性は十分あると換言できるでしょう。
4)取り組んでいるSDGsでは「SDGs 3:すべての人に健康と福祉を」が3割超で最多
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団体の活動の目的に最も合致するSDGsとしては、「3:すべての人に健康と福祉を」を選んだ団体が31%で最多となりました。これに「4:質の高い教育をみんなに」「11:住み続けられるまちづくりを」が続き、一部で順位の入れ替わりがあったものの、前回調査(2023年)結果と同じ3つのSDGsが上位に選ばれています。
団体として解決をめざす社会課題を最大3つ選ぶ設問では、回答数が多かった順に「多様な教育機会の拡充」「居場所/サードプレイス」「持続可能なまちづくり」となり、上位SDGsとの関連性が見られました。
一方、特に回答が少なかったSDGsは「2:飢餓をなくそう」「6:安全な水とトイレを」「7:エネルギーをみんなに」で、いずれも1%を下回りました。また、社会課題では「公共交通の維持」「社会インフラの老朽化」「エネルギー自給率」を選んだ団体が0または1団体に留まり、上位課題と下位課題の団体数差は最大で100と、大きなギャップが見受けられました。
5)業務の主な担当者は全設問で「代表」が1位、「時間・お金・人材」の不足が浮き彫りに
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広報、年次報告書の制作、寄付、助成金業務の4つに関して、業務を主に担当している人を聞いた設問で、すべて「代表」が1位となり、前回調査(2023年)結果と同様、組織の代表者が複数の業務を主として担っている現状が見受けられました。
また、回答団体の9割以上が取り組んでいる広報業務の課題として、「時間が少なくて困っている」「予算が少なくて困っている」「団体内に専門的な知識・技術を持っている人がおらず困っている」「年次報告書の制作にかけられる時間がなくて困っている」の4項目で、いずれも5段階評価の中央値が4と高く、課題感が見られました。広報に取り組むことができていない団体においても、その理由の上位に「時間的余裕がない」(76%)、「広報を担当できる人材がいない」(57%)、「金銭的余裕がない」(43%)が挙げられています。
ファンドレイジング業務では、寄付を集めることができていない要因として、「寄付集めにかけられる時間が少ない」「寄付集めにかけられる予算が少ない」「団体内に専門的な人材がいない」が上位の項目となり、同様の傾向が見られました。
業務に取り組む上での課題感としては、総じて「時間・お金・人材」の3つの不足が浮き彫りになる結果となりました。
6)スタッフ、ボランティア、連携先企業の募集は「直接的な繋がりを活用」が最多
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採用や連携先企業の募集においては、団体が持つ直接的な繋がりをベースとした“自力”での方法に偏っている傾向が見られました。
回答団体のうち、新規有償スタッフ、ボランティア、連携先企業の募集を行っている団体にその方法についてたずねた設問では、最も多かったのが「代表や理事、スタッフなどの直接的な繋がりを活用している」で、それぞれ約8割の団体が回答しています。このほか「自団体の広報媒体を通じての募集」や「他団体・中間組織などからの紹介」を活用している団体が比較的多く見られました。
一方で「採用関連サービス」の活用は、新規有償スタッフ募集で約4割、ボランティア募集で約2割、「企業とのマッチングを支援するサービス」に至ってはわずか2%程度の活用に留まっています。
繋がりやご縁を中心とした募集活動は、「共感」「信頼」「社会貢献」といったキーワードが大切にされているソーシャルセクターならではの特徴として捉えることもできますが、セクター外人材の流入を阻んでいる可能性があるとも言えそうです。
人材募集における課題感では、新規有償スタッフの採用において「応募数が少なくて困っている」と「採用予算が少なくて困っている」の2項目で、5段階評価が中央値4と最も高くなりました。
7)NPO法人の認定取得による最も大きな効果は「団体の信頼度が高まった」が43%で最多
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今回調査から新たに追加された「NPO法人の認定認証制度に関するセクション」では、認定の取得状況や認証による効果などについてお聞きしました。
認定または特例認定を認証された経験がある団体は合わせて141団体で、全体の約3割に上りました。このうちの43%が認定取得による最も大きな効果として「団体の信頼度が高まった」を、13%が「団体内人材の責任感や運営意識の醸成に繋がった」を選び、いずれも5段階評価においても中央値が4と最も高くなっています。
一方、「認定の取得をめざしていない」と回答した団体は116団体で、全体の25%を占め、「認定認証に向け準備を行っている」「前向きに検討している」を合わせた82団体を上回りました。取得をめざしていない理由としては「認定を取得することによるメリットや効果を感じない」(56%)が最多です。
認定基準要件の達成困難度に関する5段階評価では、「パブリック・サポート・テスト(PST)に適合すること」と「運営組織および経理が適切であること」の2項目で中央値3、そのほかの項目は中央値2または1で、目立った課題感は見られませんでした。
しかしながら、申請手続き上の課題に関しては、“リモートワークやペーパーレス化を実施しているため、紙での書類整理や管理状況の把握に苦労した”、“大量の書類を毎年紙ベースで出さないといけなかったことが大変だった”などの回答も、僅かながら見受けられました。
今後は、申請手続きのデジタル化やペーパーレス化の対応が進むことで、こうした負荷が軽減されれば、より多くのNPOに認定認証制度の活用が広がる可能性があると言えます。
総括
はじめに、社会課題の解決のために奔走し、ご多用な日々をお過ごしの中で、貴重なお時間を割いて本調査にご協力いただきました皆さまに、心より御礼申し上げます。
おかげさまで3回目を迎えた今回の調査では、企業と協働した経験のある団体が過去最高の65%を記録しました。協働によって生まれるインパクトの多層性も少しずつ明らかになり、社会課題の解決をめざした共助共創が着実に前進していると感じます。
しかしながら、実際に企業と協働するNPO/社会的事業者の半数近くがその継続性・持続性を課題として感じており、また、「連携の価値や効果がよく分からない」「団体内で議論したことがない」といった理由から、連携に対して消極的な考えをお持ちの団体も見られました。
また、2018年の調査開始から、依然としてNPO/社会的事業者が抱える課題に「時間・人材・お金」の不足があります。特に、前回(2023年)調査結果と同様、「代表」が複数の業務において主担当を務めている現状が見受けられました。慢性的な業務負荷の偏りは、図らずも業務の属人性を高め、後進の成長機会を阻んでしまうなどの新たな課題を生み出し、悪循環に陥ってしまうリスクが考えられます。
こうした状況を打開するためにも、社会に多様な共助共創の場が生まれ、具体的な協働プロセスや成果・失敗などについて学び合う機会が創られていくこと、協働実践の蓄積によってその価値を多角的に検証・研究することの重要性が益々高まっています。
人口減少や少子高齢化の進行に伴う深刻な人材不足が想定される未来においては、NPO/社会的事業者と企業の協働に留まらず、大学等の研究機関、地域市民を支える自治体や官公庁など、多様な主体が共助共創する社会の実現が必要不可欠です。
ICHI COMMONSは創業時から、共助共創を支えるプラットフォーム「サステナNet」をはじめ各種サービスの開発・提供を通じて、その基盤かつ最重要である信頼関係の構築や相互理解の促進、社会課題の認知向上、取り組みやインパクトの可視化に取り組んでまいりました。
今後も持続可能な社会の実現に向け、定期的な実態調査を実施することで、さまざまなニーズを丁寧に掬いあげながら、共助共創の“現在地”を明らかにしていくとともに、わたしたち自身が多様なステークホルダーとの共助共創を体現すべく、邁進する所存です。
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「社会課題の解決に取り組むすべての人や組織の共助共創を支える」をミッションに、社会課題解決に向けた共助共創プラットフォーム「サステナNet」を企業・自治体・社会課題解決を担う非営利/営利法人に提供。また、各企業のサステナビリティに向けた取り組みやインパクトを可視化する「サステナサマリー」事業などを展開。各セクターをつなぎ、日本の社会課題解決のインフラとなるビジネス実現を目指しています。
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会社概要
- 社名:ICHI COMMONS株式会社- 本社:東京都千代田区紀尾井町4番1号 ニューオータニガーデンコート12階- 代表取締役:伏見 崇宏- 設立:2020年1月31日- 資本金:約1億1,200万円- 事業内容:共助共創プラットフォーム「サステナNet」の運営等
https://susnet.jp/プレスリリース提供:PR TIMES
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記事提供:PRTimes