「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」を発表 1on1実施率55.7%、しかし3人に1人は効果を実感できず
株式会社パーソル総合研究所
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「成長を促す要因」と「抑制要因」が明らかに
株式会社パーソル総合研究所(本社:東京都江東区、代表取締役社長:萱野博行)は、「部下の成長支援を目的とした1on1ミーティングに関する定量調査」の結果を発表いたします。
上司と部下の1on1ミーティングは、部下の成長支援や信頼関係構築の手法として、2010年代後半から急速に普及し、本調査でも直近半年の実施率は55.7%に達しています。一方で、普及の過程で課題も多く指摘されるようになり、部下の3人に1人が「効果が感じられない」と回答するなど、1on1について学ぶ環境が整っていないことや上司の多忙といった課題などが浮き彫りになっています。
本調査では、1on1における「部下の成長」に焦点を当て、部下の成長を促す要因を明らかにすることを目的に実施いたしました。
1on1に関する課題は、上司・部下ともに「面談の効果が感じられない」「面談について学ぶ仕組みがない」が上位に
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■主なトピックス ※トピックスの詳細については「主なトピックス(詳細)」をご確認ください
<1on1の実態と課題>
1. 1on1を直近半年で経験した部下の割合は55.7%。一度も1on1を経験したことのない部下は17.5%。実施頻度の平均は、ひと月あたり0.8回。
2. 1on1時に、上司は自分より部下が多く話していると感じている人が多い一方、部下は自分より上司が多く話していると感じている人の方が多い。
3. 1on1に満足している割合は部下のおよそ半数、「不満・どちらともいえない」が47.5%。
4. 上司と部下の3人に1人が1on1の「面談効果が感じられない」「面談を学ぶ仕組みがない」と回答。
5. 上司と部下の半数以上が1on1を改善するには「『人材育成』を重視する組織風土」が必要と回答。
<部下の成長につながる1on1>
6. 人材育成を重視する組織風土は、1on1を通じた部下の成長にプラスの影響を与えていた。「誰でも活躍しやすいように配慮」、「仕事・ポジションの明示」、 「現場での教育・訓練が手厚い」といった組織風土を持つ企業では、部下の成長度が高いことが確認された。
7. 1on1に関する部下の研修受講率は上司より30pt以上低い。一方で上司・部下の6割以上が研修は「役に立つ」と認識。また、研修受講経験のある部下の成長度は高かった。
8. 1on1に関する自己研鑽を行っている部下は、行っていない部下よりも成長度が高かった。
9. 1on1時に「上司が本音を話してくれている」と部下が感じることが、部下の成長に最もプラスの影響を与えていた。
10. 1on1時に上司より部下の話す割合が高く、部下がその日に話すテーマを決めているほど、部下の成長度も高かった。
11. 1on1の実施頻度は、月2~3回以上、1回あたり30分以上1時間未満が最も部下の成長度が高かった。
■主なトピックス(詳細)
<1on1ミーティングの実態と課題>
1. 1on1を直近半年で経験した部下の割合は55.7%だった。次いで、以前は1on1を実施していたが直近半年では経験していない部下が26.9%、一度も1on1を経験したことのない部下は17.5%と続く。
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また、1on1の実施方針と実施頻度の関係を見ると、部下や上司が自発的に1on1を行う場合は回数が多い(部下が上司に提案して実施した場合はひと月2.8回、上司が部下に提案して実施した場合は1.8回)。他方、会社の方針・義務で実施した場合は0.5回と最も少ない。会社の方針・義務で“仕方なく”やっている場合、回数が少なくなるということだろう。
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2. 上司と部下それぞれに、1on1時に自分や相手がどれだけ話をしているかを尋ねた。
上司は自分より部下が多く話していると感じているが(「部下の話す割合が高い」42.5%、「私(上司)の話す割合が高い」36.2%)、部下は自分より上司が多く話していると感じていた(「上司の話す割合が高い」36.6%、「私(部下)の話す割合が高い」31.4%)。
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3. 部下に1on1の満足度について尋ねた。
「満足」(52.7%)と「不満・どちらともいえない」(47.3%)がそれぞれ半々となっている。
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4. 上司と部下に1on1に関して困っていることを尋ねた。
上司の第1位、部下の第2位に「面談について学ぶ仕組みがない」が入った。上司の第2位、部下の第3位には「上司が多忙で、面談のスケジュール設定が難しい」が入り、上司の第3位、部下の第1位に「面談の効果が感じられない」が入った。上司、部下ともに1on1について手探りのまま行われている実態が明らかになった。
[画像8:
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5. 上司と部下に1on1を良くするために必要な改善点を尋ねた。
上司、部下ともに第1位から第3位まで全て同じ項目であった。上司、部下ともに第1位は「『人材育成』を重視する組織風土をつくる」で、第2位が「上司の主な役割として『部下の育成』を位置づける」であった。それ以外の第3位から第5位には、上司、部下ともに1on1に関連する研修が入った。
[画像9:
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<部下の成長につながる1on1>
6. 人材育成を重視する組織風土のもとでは、部下の成長度が高い。
「誰でも活躍しやすい環境」「仕事・ポジションの明示」「教育・訓練の手厚さ」に『あてはまる』と回答した部下は、成長度(10点満点)が7.2~7.4点と高く、『あてはまらない』場合(6.3点)と比べおよそ1.0ptの差があった。
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上述した「誰でも活躍しやすい環境」「仕事・ポジションの明示」「教育・訓練の手厚さ」の要素が1on1を通じた部下の成長にもプラスの影響を与えていることが確認された。部下が目標設定しやすく、学びの機会も豊富にあり、どのような従業員であれ活躍できるような人材育成を重視する組織風土のもとでは、1on1の効果も高まることを示唆している。
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7. 部下は「面談について学ぶ仕組みがない」ことに困っており、1on1を良くするには「人材育成」を重視する組織風土が必要と考えていた。そこで、1on1に関する研修として、「傾聴スキル」「コーチングスキル」の研修受講経験を見ると、部下の受講率は、上司よりも低く30pt以上の差があった。上司・部下それぞれに研修が役立つかを尋ねると、上司・部下ともに約6~7割が役立つと回答した(「傾聴スキル」は上司、部下ともに約7割、「コーチングスキル」については上司が約7割、部下が6割)。
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部下の1on1に関する研修経験の有無と成長の関係を見た。
傾聴スキル研修やコーチングスキル研修を受講した部下は、研修を受講していない部下よりも成長度が高かった(傾聴スキル「研修経験あり」7.1点、「研修経験・自己研鑽なし」6.5点。コーチングスキル「研修経験あり」7.1点、「研修経験・自己研鑽なし」6.5点)。
[画像13:
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8. 1on1に関する自己研鑽の有無と部下の成長の関係を見た。
「面談に関するマニュアルを読む」「面談に関する本を買って読む」「面談に関する勉強会に参加する」といった自己研鑽を行った部下は、それらの自己研鑽を行っていない部下よりも成長度が高かった(面談に関するマニュアルを「読んだ」7.2点、「研修経験・自己研鑽なし」6.5点等)。
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9. 1on1時に「上司が本音を話してくれている」と部下が感じることが、部下の成長に最もプラスの影響を与えていた。次いで、日頃から上司が自分(部下)に対して配慮してくれている(自分のアイデアを尊重してくれる、自分の業務進捗をマメに確認してくれる、励ましてくれる)、加えて「上司が新たな視点を提供してくれる」と部下が感じることが、部下の成長にプラスの影響を与えていた。
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10. 1on1時に上司より部下の話す割合が高い方が部下の成長度も高くなっていた(「部下の話す割合が高い」6.8点、「上司の話す割合が高い」6.3点)。また、1on1時に上司より部下がその日に話すテーマを決めているほど、部下の成長度も高くなっていた(「部下がテーマ設定」6.9点、「上司がテーマ設定」6.4点)。
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11. 1on1の実施頻度別に、1回あたりの実施時間と部下の成長度を見た。
最も成長度が高いのは、月2~3回以上という高頻度かつ1回あたりの時間が30分以上1時間未満の1on1であった(7.4点) 。逆に最も成長度が低いのは、月2~3回以上という高頻度かつ1回あたりの時間が1時間以上の1on1であった(6.0点) 。1回あたりの時間が長すぎるのも逆効果であることが示された。
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■調査結果からの提言
1. 上司も部下も手探りで1on1を進めている
本調査から、上司も部下も1on1について学ぶ仕組みのなさ、上司の多忙による1on1のスケジュール設定の難しさなどに困っており、また1on1の効果をなかなか実感できていないことが明らかになった。この背景には、組織が1on1導入にあたって従業員に何のために、どのように1on1を実施するのかについてきちんと説明せず、1on1について学ぶ機会も十分な形で提供していないことがあると思われる。上司と部下は手探りで1on1を進めている様子がうかがえる。
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2. 「育成」を重視する組織でこそ1on1は部下の成長を促す
上司も部下も1on1の改善には「人材育成」を重視する組織をつくることが必要と考えていた。本調査以前にも、1on1で部下の成長を促すためには上司のスキルが重要であることは繰り返し指摘されてきた。本調査でも、上司のマネジメント行動が部下の成長に対してプラスの影響があることを確認している。当然、上司は日頃から部下を配慮し、部下が自分ひとりではなかなか気づかない視点からの助言をすることも大切である。部下からすれば、日頃から自分をサポートしてくれる上司だからこそ、1on1時の上司の率直な発言を自分の糧にできるのではないだろうか。
しかし、上司の個人的な奮闘だけでは十分ではない。組織として「育成」に取り組むことが重要になる。組織は上司にも部下にも1on1に関する学びの機会を提供すること。上司だけではなく部下にも1on1に関する学びの機会を提供することは重要な意味を持っている。1on1に関する学びの機会を得た上司と部下が、従業員の成長を支える組織でコミュニケーションをする。その結果、部下の成長は促されると考えられる。
■部下の成長に影響する4つのポイント別に、部下の成長に繋がる1on1のあり方を整理した。
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●本調査を引用いただく際は、出所として「パーソル総合研究所」と記載してください。
●調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。
URL:
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/1on1.html
●構成比の数値は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、個々の集計値の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
■調査概要
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■【株式会社パーソル総合研究所】<
https://rc.persol-group.co.jp/>について
パーソル総合研究所は、パーソルグループのシンクタンク・コンサルティングファームとして、調査・研究、組織人事コンサルティング、人材開発・教育支援などを行っています。経営・人事の課題解決に資するよう、データに基づいた実証的な提言・ソリューションを提供し、人と組織の成長をサポートしています。
■【PERSOL(パーソル)】<
https://www.persol-group.co.jp/>について
パーソルグループは、「“はたらくWell-being”創造カンパニー」として、2030年には「人の可能性を広げることで、100万人のより良い“はたらく機会”を創出する」ことを目指しています。
人材派遣サービス「テンプスタッフ」、転職サービス「doda」、BPOや設計・開発など、人と組織にかかわる多様な事業を展開するほか、新領域における事業の探索・創造にも取り組み、アセスメントリクルーティングプラットフォーム「ミイダス」や、スキマバイトアプリ「シェアフル」などのサービスも提供しています。
はたらく人々の多様なニーズに応え、可能性を広げることで、世界中の誰もが「はたらいて、笑おう。」 を実感できる社会を創造します。
プレスリリース提供:PR TIMES
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記事提供:PRTimes