大分市・保育と地域コミュニティの場づくりー制度のはざまにいる子どものケアとご近所さんの顔がみえる、 地区の家「えんえん」がオープン!
社会福祉法人 大分県福祉会

社会福祉法人大分県福祉会は5月1日、大分市に「えんえん」を開設しました。日本財団による「みらいの福祉施設建築プロジェクト」の採択事業として、保育事業だけではなく地域に開かれた場所を目指しています。
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Photo:Yoshiro Masuda
「えんえん」は、実質的に受け入れに難しさがある(※)0歳児の一時預かり保育、病後児保育、医療的ケア児を受け入れる保育拠点です。同時に、地域に開かれた場所として、家族や高齢者、子どもたちが気軽に立ち寄れる「地区の家」を目指しています。
※詳しくは「■「えんえん」のはじまり」をご覧ください。
隣接する羽田東公園との境界には、地域の方や子どもたちと植栽した“野原のような庭”が広がり、ゆるやかに建物とつながっています。アクセスしやすく、地域に開かれた場所であることを意識して、まちとの間に壁をつくらない設計を心がけました。また、建物内部には、訪れた人たちが自由に過ごせる土間空間もあり、さまざまな人が自然にまじわり心地よく過ごせる場となっています。
保育事業と地域事業があわさることで、地域の潜在的な課題を見つけ出し、みんなが困っていたことに気づきあいながら、解決につなげてゆける場所にしたいと考えています。2021年から検討を重ねついに完成しました。
5/18に内覧会、5/24に竣工式・落成式を開催予定です。多くの方のご来場を心よりお待ちしております。
(1)保育事業 一時預かり保育(対象:0歳児~未就学児、 病後児 、 医療的ケア児 ) 親子で参加する子育て広場(対象:0歳児~未就学児とその保護者) 子育て相談支援 等
(2)地域事業 地域食堂/駄菓子文具の販売/ミニ図書館や一人でも過ごしやすいニッチ空間/多目的スペース/コミュ ニティキッチン/小棚貸し出し/マルシェやワークショップイベント/えんえん野原等
・0歳児の一時預かり保育、病後児保育、医療的ケア児の受け入れなど、既存の保育制度ではカバーできていない支援の一助となること。
・法人内事業である子ども家庭支援センター、相談支援事業所と連携し、障がい福祉に関するさまざまな相談に応じること。
・孤独な高齢者の方、子育てに悩む家庭、養育や療育を必要とする方々、下校後に居場所のない子どもたちなど、どのような人にとても安心して過ごせる「居場所」となること。
・地域のつながりを育み、地域課題の顕在化、支援の検討・創出につなげていくこと。
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羽田東公園側から見たえんえんの入り口 Photo:Yoshiro Masuda
えんえんの敷地は羽田東公園と滝尾保育園の間に位置しています。公園と保育園を結ぶ通り道のような場所(ビッグ土間)をつくり、道の両脇に保育と地域交流の場を設けました。「ビッグ土間」が保育と地域の相補的な関係を築く柔軟な活動空間となる構成です。公園側・保育園側両方には大きな軒下広場、建築の周囲には野原のようなランドスケープを計画し、内外に多義的な重なりが生まれることを目指しました。 地域に開かれた場所であることを意識して、街との間に壁をつくらない設計を心がけました。 多目的室やシェアキッチンなど、地域の方が訪れやすい工夫もしています。
所在地:大分県大分市大字羽田432
開 設:2025年5月1日
敷地面積:988.66平方メートル
建築面積:454.17平方メートル 建蔽率45.94%(60.00%)
延べ床面積:454.17平方メートル 容積率 45.94%(168.80%)
最高の高さ:6.0325m
規模:平屋建
構造:鉄骨+CLT 造
用途地域:第 1 種中高層住居専用地域
耐火:その他建築物
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必要な人にちゃんと届く子育て支援
滝尾保育園では、地域の方々との対話や子育て相談を日常的に行っています。その中で見えてきたのは、育児の疲れや不安を抱える家庭、仕事探しのために一時的に子どもを預けたい家庭の多くが、0歳児家庭であるということです。また、病後児(病気やけがなどの回復途中にあるが、集団保育が難しい状態の子ども)や、医療的ケアが必要な子どもたちの保育サービスは十分とは言えません。
このプロジェクトが始まった2021年当時、大分市では一時預かり保育の補助対象は1歳以上に限られていました。通常保育で受け入れようとすると、空間の使い方や保育士の子どもへの接し方も異なるため、結果的に一人ひとりに寄り添った保育ができません。
2025年現在、大分市では0歳児の受け入れ自体は可能となりましたが、0歳児の配置基準に合った運営をするための補助金はなく、実際の運営は依然として難しい状態です。滝尾保育園では昨年度から、独自に0歳児の受け入れを始めました。2024年7月~2025年3月の間、延べ141名の0歳児保育を行いました。新たにスタートした「えんえん」でも、自己負担で施設整備や人員配置を行いつつ、0歳児の一時預かりに対する補助について行政と交渉を続けています。実現すれば、既存の仕組みでは行き届かなかったニーズのある保育領域が、たくさんの保育園に広がり、より多くの子どもたちと家庭に適切な保育を提供できるようになると考えています。
保育の専門家として地域の子どもたちも見守る「えんえん」は、より広い子育て支援へと繋げていくハブのような存在として、“潜在的な地域の課題をすくい上げるセンサー”となることも目指しています。
ここの運営を担うのは滝尾保育園の保育士たち。子どもたちの小さな変化を敏感に感じとることができる専門家です。「えんえん」を通して、さまざまな人たちとの交流が生まれることで、子育てに悩む家庭や経済的困難を抱える世帯との接点が生まれたり、発達に課題を抱える子どもへの支援の入り口となったりできると考えています。
また、昨今の子どもが犠牲となる痛ましい事件の予兆を早期に察知したいという思いもあります。
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Photo:Yoshiro Masuda
社会的孤立を減らしたい
「えんえん」のある地域は近年、住宅地の開発が進んで子育て世帯が増加する一方で、長年住み続けている方々の高齢化が進んでいます。「貧困や虐待が疑われる家庭があるらしい」「高齢者の孤独死がまたあったよ」「人と会って話す機会や居場所がない」。こうした状況が同じ地域の中にあることが、保育士たちにも漏れ聞こえてきます。
「対症療法的な対応だけでは、本質的な解決に至らない。このままでいいのだろうか……」という思いがありました。そこで、まずはご近所さん同士が顔を合わせられる関係をつくること、地域の方が安心して過ごせる「地区の家」のような場所になれないかと考えました。私たちが得意とする保育を軸に、外部の方の力も借りながら、地域に開かれた場所をつくることを目指して地区の家「えんえん」プロジェクトが始まりました。
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Photo:Yoshiro Masuda
年齢や障がいの有無、家庭環境に関係なく、子どもたちが笑顔でいられる社会の実現を目指して、「ひとり の困りごとにも まなざしを向ける」というミッションのもと活動しています。さまざまな専門領域を活かし ながら、新たな取り組みにも挑戦しています。2022年に創立70周年を迎えました。
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大分県福祉会
理事長:有松 一郎
所在地:大分県大分市顕徳町1丁目13-17
運営施設:母子生活支援施設 別府厚生館・障害者支援施設 うえの園・障害児入所施設 清明あけぼの学園・児童養護施設 森の木・保育所 滝尾保育園・保育所 明野しいのみ保育園
運営事業:児童家庭支援センター(大分県内2ヵ所)・相談支援事業・放課後児童育成クラブ・一時預かり保育事業/地域小規模児童養護施設・一時保護所/里親支援事業 等
Webサイト:
http://oitakenfukushikai.com
子どもたちの「第二の家庭」として、自ら遊びを選択し、自分で考えながら時間を過ごす環境で、生きる力を伸ばす保育を行っています。園内のすべてのものごとが子どもを育む土壌です。落ち着いた雰囲気や穏やかな接し方、たくさんの言葉にふれる絵本体験、三大アレルゲンである、「乳、小麦、卵」を除いた一汁二菜の食事にも力を入れています。Webサイト:
https://oita-fu.com/hoikuen/takio
職員によるプロジェクトチームを結成し、建築家、法人のブランディングに関わるデザイナーや編集者など外部の専門家と協働しながら、実現に向けて取り組んでまいりました。想いを共有しながら、建築のあり方、資金の確保、地域との関わり方や伝え方など、さまざまな視点で議論をしています。
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堤郁夫、釘宮和代、安部渚、波多野加奈子ほか(滝尾保育園)
竹尾真由美(編集者)
原田祐馬、岸木麻理子※(UMA/design farm)
矢橋徹、上野拓美(矢橋徹建築設計事務所)
※2024.10まで在籍
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設計監理: 矢橋徹、上野拓美(矢橋徹建築設計事務所)
構造設計 : 白橋祐二(建築食堂)
設備設計:株式会社桑野設計
環境解析:henrik-innovation
照明デザイン:種子島ゆり(Yu light)
ランドスケープ:金子結花(野びる舎)、デザインネットワーク
VI+サインデザイン:原田祐馬、高橋めぐみ(UMA/design farm)
コーディネーター:竹尾真由美
施工 : 平倉建設株式会社
家具(ワークショップ):吉永圭史
「えんえん」は、第2回「日本財団みらいの福祉施設建築プロジェクト」の公募において、全国計292事業の中から選ばれて助成が決定した3事業で、九州で最初に実現したプロジェクトです。
※採択時のプランシートPDFは、
こちらからご覧いただけます。現在のプランとは変更になっている箇所もあります。
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(1)内覧会 2025年5月18日(日)10:00~18:00
時間内はどなたでも自由にご覧いただけます。
また、設計者による解説を下記の時間で予定しています。 第1部 10:00~/第2部 14:00~
お申し込み:Googleフォームより事前申し込みをお願いします。
参加メンバー:滝尾保育園の職員(園長 堤郁夫、副園長兼「えんえん」えん長 釘宮和代、保育士 安部渚・波多野加奈子ほか)、設計者・矢橋徹、上野拓美(矢橋徹建築設計事務所)、野原を手がけた野原デザイナー・金子結花(野びる舎)、大分県福祉会のブランディングおよび「えんえん」のプロジェクト立ち上げから関わってきたデザイナー・原田祐馬(UMA/desing farm)や編集者・竹尾真由美らが参加します。
※内覧会の案内状(PDF)はこちらからダウンロードをお願いします。
d162055-1-da9b5d5a132c40456fe4e3eea9a4b99f.pdf
(2)竣工式・落成式 2025年5月24日(土)
11:00- 落成式
12:30- オープニングセレモニー(一般開放)
13:00- えんえん空色マルシェ(一般開放)
※落成式はご招待の方のみとさせていただきます。
※12:30~のセレモニーおよび13:00~のマルシェは、どなたでもご自由にご参加いただけます。
【えんえん全体や事業内容について】
社会福祉法人大分県福祉会 滝尾保育園(担当:釘宮・安部・波多野)
TEL:097-569-3384 Fax:097-567-3811
E-mail:takio@oitakenfukushikai.com
【建築について】
矢橋徹建築設計事務所
TEL:096-277-1891 Fax:096-277-1892
E-mail:info@yabashi-aa.com
プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes