硬性チューイングキャンディの継続的喫食により小児の舌圧を向上させる可能性を示唆 ~鶴見大学歯学部と共同研究、第63回日本小児歯科学会大会で発表~
森永製菓株式会社

森永製菓株式会社(東京都港区芝浦、代表取締役社長 COO・森 信也)は、硬性チューイングキャンディが小児の口腔機能に与える影響に関する研究を行い、硬性チューイングキャンディの継続的喫食は小児の「舌圧」を向上させる可能性が示唆されました。本研究は、学校法人総持学園 鶴見大学歯学部(学長:高田 信敬)との共同研究で、2025年5月29~30日に開催された第63回日本小児歯科学会大会で発表しました。
<研究背景と目的>
生涯にわたるQOL(生活の質)向上を図るためには、小児期からの健全な口腔機能の発達および維持が必要不可欠です。小児の発達支援は可能な限り日常生活の中で楽しく持続的に支援しうる手法が望ましいと考え、小児に馴染み深い風味と食感で楽しく取り組めることを想定した、硬性チューイングキャンディを用いた咀嚼行動が小児の口腔機能に及ぼす影響について検討しました。
<研究手法>
健康な児童男女29名を対象に、約3gの硬性チューイングキャンディを被験食品として、食事後(朝・昼・夕食後のいずれか)に1日1回1粒を4週間喫食する試験を行いました。喫食期間の開始前と終了後に、口腔機能検査および保護者へのアンケートを実施しました。本研究では、口腔機能検査項目として、「口唇閉鎖力」「舌圧」「咬合力」を測定しました。
<研究結果・考察>
対象の児童において、喫食試験前後での口腔内診査結果に明らかな違いはありませんでした。試験後に「舌圧」が有意に高くなることが確認されました。一方、「口唇閉鎖力」「咬合力」は、試験前後で有意差は認められませんでした(図1)[1]。
また、『口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方』[2]を参考に、対象の児童の試験前の「口唇閉鎖力」を、『口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方』に示された平均値に対して、平均値以上あるいは平均値未満で2群に分けると、【口唇閉鎖力が平均値未満だった群】では、試験後に「口唇閉鎖力」と「舌圧」が有意に高くなることが確認されました。一方、「咬合力」に関しては試験前後で有意差が認められませんでした(図2)[1]。
喫食試験期間前後に実施した保護者アンケートから、子ども自身が期間中楽しく取り組むことができたという回答を約9割いただきました。また、子ども自身・保護者ともに約8割が期間後も継続して取り組みたいと回答いただきました(図3)[1]。
本研究より、硬性チューイングキャンディの継続的喫食が小児の口腔機能、特に「舌圧」を向上させる可能性が示唆されました。また、『口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方』に示された口唇閉鎖力の平均値に対して、平均値未満だった群では、「口唇閉鎖力」と「舌圧」を向上させる可能性が示唆されました。今後は対象の拡大、喫食回数および期間の調整等を検討しながら、小児の健全な口腔機能発達および維持に貢献していきたいと考えています。
[画像1:
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図1 喫食試験前後の口腔機能検査(n=29)
[画像2:
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図2 口唇閉鎖力が平均値未満の群における喫食試験前後の口腔機能検査(n=23)
[画像3:
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図3 保護者アンケートの結果(n=29)
[1]仲村英美, 小林冴子, 菱沼伽名, 大川由加, 陸田愛実, 川崎朋子, 青山到, 樵田侑奈, 朝田芳信:ソフトキャンディの咀嚼運動が小児の口腔機能に与える影響について, 第63回日本小児歯科学会大会, 2025年5月29・30日
[2]日本歯科医学会:口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方, 令和6年3月
<鶴見大学歯学部 朝田 芳信 教授コメント>
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最近、子どもの口腔機能の育成について関心が高まっています。その背景には、保護者による子どもの食に対する心配事が増加していることや2018年に口腔機能発達不全症という新たな病名が誕生し、歯科からの支援の在り方がより明確になったことが挙げられます。噛むことの大切さや小児期からの発達支援の大事さが注目される中、今回の研究では可能な限り日常生活の中で楽しく持続的に支援できる食品としてソフトキャンディに注目しました。ソフトキャンディ基材に注目した理由は、咀嚼機能だけではなく嚥下機能の発達に対する効果が期待できるという点です。適度な付着性や凝集性を兼ね備えたソフトキャンディのメリットを最大限に生かした製品開発になっていると思います。
プレスリリース提供:PR TIMES



記事提供:PRTimes