博報堂DYホールディングス、量子アルゴリズムを応用した量子センシング技術を提案、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)実現へソフト面から貢献
博報堂DYホールディングス

-東京科学大学荒井准教授/blueqat社との共同研究成果-
株式会社博報堂DYホールディングス(東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)の研究開発部門であるマーケティング・テクノロジー・センター(以下、MTC)は、2023年より本格化した量子ゲート型コンピュータの活用に向け長期的取り組みとして、2023年7月の第1弾、2024年5月の第2弾に続く、第3弾として、脳磁場データから脳内の電気的活動を高精度に推定可能な新しい量子インスパイアドアルゴリズムを開発し、その有効性を実証しました。
本取り組みは、第1弾、第2弾の実証に引き続き、blueqat株式会社(東京都、代表取締役社長:湊雄一郎 以下、blueqat社)と協力すると共に、量子センシング分野で豊富な実績を有する東京科学大学荒井慧悟准教授と連携する形で進められました。
本取り組みでは、特に脳内電流に起因して発生する微弱な磁場(脳磁場)を検知し、その元となる脳内電流の動き(電流双極子)を推定する手法の開発に焦点を当て、画像分野で実績のあるU-Netと呼ばれるニューラルネットワークをベースとする脳磁場データから脳内の電流双極子(神経活動に伴う脳内電流)を推定する新しいモデルを開発しました。本モデルは、量子インスパイアド技術であるテンソルネットワーク技術を活用したものとなっており、将来的に大規模な量子ゲート型コンピュータが実用化された際には、本技術を直接応用することが可能です。
開発したモデルは、以下の特長を有しています:
- モデルの軽量化を実現し、古典コンピュータ上でも効率的な処理が可能- 脳内の電気的活動の位置・方向・大きさを高精度に推定可能- 将来的な量子コンピュータでの実行を見据えた設計
本技術は、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)の実現に向けて重要な一歩となります。BMIとは、脳と外部機器(コンピュータやロボット等)との間で直接的に情報をやり取りする技術のことで、脳の活動を読み取り、その信号を解釈して機器を操作することを可能にします。BMIは、ロボットの操作をより直感的に行うことができるため、特に身体障がい者の支援技術として注目されています。しかし、脳の複雑な活動を非侵襲的に計測し、その信号を高精度で解析することは依然として大きな課題です。本研究成果は、ソフトウェアによる高精度解析の提供を通じて、この課題を解決し、BMIの実現に寄与するものです。
今回の実証では、2Dモデルに対する開発モデルの有効性を確認しており、今後は、より複雑な3Dモデルへの展開とその検証を目指します。
今後も博報堂DYホールディングスは、長期的な観点に立ち、広告・マーケティング領域における量子コンピュータの活用可能性を探求し続けます。この取り組みを通じ、将来的な量子ソリューション開発に必要なノウハウを蓄積していきます。
博報堂DYホールディングスとblueqat社/東京科学大荒井先生の共同成果はこちら
https://blueqat.com/blueqat_official_news_ja/16ef4650-9de9-45b3-99e1-14268e75c390
<MTCの量子コンピュータに関するこれまでの取り組み>
MTCでは、将来的な量子コンピュータ時代の到来を見据え、広告・マーケティング領域における量子コンピュータの活用可能性を模索しています。2023年より量子ゲート型コンピュータの活用に向けた長期的な探索活動に着手しています。
1.2023年7月 第1弾実証:
blueqat社と協力し、マーケティングでも活用が進むデータフュージョンを実現する上で重要な最適輸送問題に適用できる量子ゲート型アルゴリズムの開発、および量子ゲート型コンピュータ実機での動作を確認いたしました。
※参考リリース:
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2023/07/4330.html
2.2024年5月 第2弾実証:
テンソルネットワークを活用することで、広く使用されている3D表現モデルであるNeural Radiance Field(NeRF)モデルの圧縮を実証し、3D再構成技術における画像生成の効率化を可能にしました。
※参考リリース:
https://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/corporate/2024/05/4809.htmlプレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes