CO2排出ゼロの原料と燃料によるソーダ石灰ガラス溶融に成功
日本山村硝子株式会社

~非炭酸塩原料とアンモニア燃料によるCO2フリーを実証~
日本山村硝子株式会社(本社:兵庫県尼崎市、代表取締役 社長執行役員:山村 昇)は、大阪大学大学院工学研究科 赤松史光教授の研究グループ、東京ガス株式会社、関西電力株式会社との共同研究により、ガラスびんなどに用いられるソーダ石灰ガラスを、非炭酸塩系のナトリウム・カルシウムシリケートを原料に用い、CO2を排出しないアンモニア燃焼で溶融することに成功し、ガラス溶融工程におけるCO2フリーが可能であることを実証しました。
本成果は、世界有数の学術出版社であるElsevier社が刊行する、持続可能性分野に特化した国際学術誌「Materials Today Sustainability」にて、2025年5月28日付でオンライン公開されました(
DOI: 10.1016/j.mtsust.2025.101143)。本論文は同誌の2025年9月号(Vol. 31)に収録予定です。
なお、本論文は
2023年1月31日付および
2024年3月13日付のニュースリリースにて発表したCO2排出削減技術の開発に関連するものです。
[画像1:
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図1:CO2排出ゼロのガラス溶融のイメージ
■論文の概要
ソーダ石灰ガラス製品の製造では、ガラス溶融工程においてCO2が発生する炭酸カルシウムや炭酸ナトリウムなどの炭酸塩原料と、都市ガスなどの化石燃料が使用されており、CO2の排出は不可避でした。燃料の脱炭素化に関しては、水素やアンモニアを燃料とした研究が進められていますが、原料由来のCO2排出削減も大きな課題となっていました。
本研究では、炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムを使用せず、CO2を含まないナトリウム・カルシウムシリケートを用いることで、原料由来CO2排出を根本的に回避しました。さらに、燃料にはCO2を排出しないアンモニアを使用することで、ガラス溶融工程における原燃料由来CO2排出ゼロを実現する技術を構築しました。
この研究開発は
中期経営計画における経営方針「循環型社会の実現に向けた開発」に位置づけられるものであり、グループ経営ビジョン「100年先も必要とされる会社」の実現に向けて、さらなる研究開発を推進してまいります。
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図2:ガラス溶解炉の燃焼場と排ガス場を再現した実験炉(論文Fig. 2より)
[画像3:
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図3:溶融したガラスの分析用サンプル(論文Fig. 7より)
※図2および図3の出典:Materials Today Sustainability, DOI: 10.1016/j.mtsust.2025.101143
論文タイトル:Impact of NH3 Combustion on the Properties of Carbonate-Free Na/Ca Silicate-Based Soda-Lime Silicate Glass
著者:山本柱1、中塚記章2、堀詩織1、菊池賢太3、松浪智広3、鈴木晃治4、友田俊之5、赤松史光2
1.日本山村硝子株式会社 環境室
2.大阪大学大学院 工学研究科 機械工学専攻 燃焼工学領域
3.東京ガス株式会社 カスタマー&ビジネスソリューションカンパニー
4.関西電力株式会社 ソリューション本部
5.関西電力株式会社 イノベーション推進本部
■研究責任者のコメント
今回の研究は、ガラスびん製造における原料と燃料の両面からの脱炭素化を同時に達成した、世界でも類を見ない成果です。今後は工業スケールへの応用に向けて、原燃料の最適化およびガラス物性の安定化に関する研究開発を進め、持続可能なガラス製造技術の実現に貢献してまいります。
■ご参考
国立大学法人大阪大学 :
https://www.osaka-u.ac.jp/ja
東京ガス株式会社 :
https://www.tokyo-gas.co.jp/
関西電力株式会社 :
https://www.kepco.co.jp/
■本件に関するお問い合わせ先
日本山村硝子株式会社 環境室
TEL : 06-4300-6060 E-mail : kankyo@yamamura.co.jp
またはWebサイト内お問い合わせフォーム(
https://www.yamamura.co.jp/inquiry/)
プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes