LGBTQ+当事者が住まい探しで直面する困難についてアンケート調査結果を発表
NPO法人カラフルチェンジラボ

NPO法人カラフルチェンジラボ(代表理事 三浦暢久)と株式会社ペンシル(代表取締役社長 倉橋美佳)は平森大規氏(法政大学 助教)監修の元、LGBTQ+当事者の「住まい」に関する調査を実施しました。
近年、LGBTQ+に関する社会的関心の高まりとともに、報道や情報発信の機会も増加し、社会全体としての理解は着実に進展しつつあります。しかしながら、LGBTQ+当事者が日常生活のさまざまな場面で直面する課題は依然として多く、社会の理解と実際の現状との間にはギャップがあります。特に生活の基盤である「住まい」に関する領域でも、差別的な対応や不利益な取り扱いが、いまだに存在しています。
弊法人としては2回目となる「LGBTQ+の住まい」に関する実態調査を、ダイバーシティ経営を実践し「ダイバーシティコンサルティング」の提供で企業サポートなども行なっている株式会社ペンシルと協働にて実施しました。
本調査では、LGBTQ+当事者が住居選びの際に直面した困難や、当事者にとって安心につながる企業側の対応事例など、多面的な情報を収集しています。本レポートの公開により、LGBTQ+当事者を取り巻く現状への理解を深め、多様な人々が共生・共創する社会の実現に寄与することを目的としています。
※今回の調査では主に「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」の4つを扱いますが、「ゲイ」「レズビアン」「バイセクシュアル」は性的指向に関する概念であるのに対し、「トランスジェンダー」は性自認に関する概念であるため、4者を包括して呼称する際は「SOGI」という単語を使用します。
※SOGIとは、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字を組み合わせた言葉で、すべての人が持つ特性を表します。
※法人説明
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NPO法人カラフルチェンジラボ LGBTQをはじめとする性的少数者が生きやすい社会になるために活動している団体です。九州レインボープライドなどの啓発イベントの開催や企業向けの研修セミナー、LGBTQの取り組み導入支援なども承っています。
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今回の回答者のSOGIの分類では、「ゲイ」が最も多く、その次に「トランスジェンダー」「バイセクシュアル」と続き、「レズビアン」が最も少ない分布でした。パートナーの有無の観点で見た場合、「レズビアン」は他のSOGIよりも「パートナーあり」の回答比率が高く、一部の設問の回答傾向に影響を与えている可能性があります。
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- 共通して多かったのは下記の3つでした。 1.「保証人の確保で困難を感じたことがある。」 2.「性のあり方を理由に物件の選択肢が減ることを感じたことがある」 3.「不動産業者の対応に不快感を感じたことがある」- 2.「性のあり方を理由に物件の選択肢が減ることを感じたことがある」に関しては、レズビアンで特に高く、3.「不動産事業者の対応に不快感を感じたことがある。」についてはトランスジェンダーで高い傾向を示しています。
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「将来の住まい」「不動産契約に関する手続き」「不動産業者に行く」の3つで不安を感じる人が多いことがわかりました。こちらに関しても、レズビアンとトランスジェンダーにおいて特に高い比率を示しています。
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「関係性やセクシュアリティについては必要以上に深ぼらず、LGBTQ+以外の顧客と同じプロセスで進めてほしい」はパートナーの有無によらず高い傾向ですが、「関係性やセクシュアリティについて十分にコミュニケーションを行った上で、それに合わせた提案を店側から積極的に行って欲しい」では「パートナーあり」の方が「パートナーなし」に比べ求められる傾向が見られました。
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全てのセクシュアリティから支持されているという観点では下記の3つが高い傾向でした
1.「LGBTQ+への差別禁止が明文化されている」
2.「LGBTQ+研修を定期的にやっているのがわかる」
3.「企業内にLGBTQ+当事者へのサポート体制がある」
住宅探しにおけるネガティブな経験の中心は「性のあり方を理由にした物件の減少」「保証人の確保の困難」「企業の差別的対応」の3つ。
「性のあり方を理由に物件の選択肢が減ることを感じたことがある」に関しては、特にレズビアンが高くなっていますが、今回レズビアンにおけるパートナーがいる人の比率が高かったことを考えると、「同性パートナーと住む」場合に選択肢がより減ることが推測されます。
トランスジェンダーについては「不動産事業者の対応に不快感を感じたことがある。」が特に高くなっており、出生性と自認性のギャップの部分に対する、不動産業者の理解や対応がまだ適切でないことが懸念されます。
手続き上必要であっても、セクシュアリティの開示の不安は大きい
こちらに関しても、レズビアンにおいて数値が高くなっており、「同性パートナーと住む」
場合は自身のセクシュアリティを開示する必要が出てくるため、より不安が増すことが考えられます。
また、トランスジェンダーもレズビアンに次いで数値が高く、こちらに関しては出生性と自認性 のギャップという部分で、ゲイやレズビアンよりもセクシュアリティを隠しづらいため不安を感じやすいと考えられます。
LGBTQ+当事者の方への対応を形式化することは難しい
接客姿勢に関しては、「関係性やセクシュアリティに関しては必要以上に深ぼらないでほしい」という意見が多く、少なくとも関係性が深まっていない段階では、企業側から踏み込み過ぎたアプローチは控えたほうが良さそうです。しかし、他の接客姿勢に関する選択肢に関しては回答にバラつきが見られ、全てのLGBTQ+当事者にとって最適な1つのやり方があるわけではないようです。内覧などを通じて信頼関係を築き、LGBTQ+当事者が開示しやすい雰囲気・環境をつくることの大切さが見えてきました。
求められているのは「形だけではなく中身も伴った取り組み」
レインボーフラッグの掲示や、LGBTQ+パレードへの参加などの発信活動も重要ですが、LGBTQ+研修やLGBTQ+社員に配慮した社内制度の改善など、LGBTQ+の問題を自社の問題として本気で向き合っていこうとする姿勢が重要です。
今回の調査から見えてきた「今できる一歩」を積み重ねていくことは、LGBTQ+当事者にとってだけでなく、私たちすべてにとって、より良い社会を築くための礎となるはずです。
本調査のフリーダウンロード版をダウンロードはこちらから
https://www.pencil.co.jp/release/20250612_02/プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes