IBM、生成AI時代に向けてエンタープライズ・データ・スタックを簡素化
日本IBM

- 企業がAIエージェントや高度なAIアプリケーションを拡張する中、AIから重要な非構造化データへの接続に対するIBMのアプローチ- 「watsonx.data integration」と「watsonx.data intelligence」により、エンタープライズ向け生成AIのためのデータ・ファブリックを実現し、IBMのオープンでハイブリッドなデータ・レイクハウスである「watsonx.data」を補完- watsonx.dataを用いたIBM内部検証では、従来のRAGよりも40%高い回答精度を実現
筆者:IBM Data & AI 担当ゼネラル・マネージャー リティカ・ガンナー(Ritika Gunnar)
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IBMは今月、
エンタープライズ・データ・スタックを抜本的に簡素化し、AIエージェントやその他の高度なAIアプリケーションに必要な非構造化エンタープライズ・データを統合、管理、活用するソフトウェアを発表しました。
新製品には「IBM
watsonx.data integration」および「IBM
watsonx.data intelligence」の2つが含まれます。これらの製品に含まれる機能の一部はIBMのオープンでハイブリッドなデータ・レイクハウスである
watsonx.dataを通じても利用でき、AI向けデータのライフサイクル全体を一括で管理できるように設計されています。
これらの新たなソフトウェアはハイブリッドかつオープンで、サード・パーティーのデータ・スタックとも連携可能です。柔軟性と相互運用性を備え、エコシステム全体からイノベーションを推進します。IBM watsonx.dataを用いた内部検証では、従来のRAG(検索拡張生成)よりも40%精度の高いAIを実現できる可能性があることが示されました[1]。
IBMのお客様であるロッキード・マーティン社は、新たなwatsonx.dataを
活用し、7万人のエンジニア、科学者、技術者が数百万もの文書から自然言語で回答や情報を取得できるようになりました。同社でテクノロジーおよび戦略的イノベーション担当を務める上級バイス・プレジデントのジョン・クラーク(John Clark)氏は次のように述べています。「当社は研究室から現場へとソリューションを迅速に展開することで、イノベーションと効率性を加速させ、より安全で安心な世界の実現に貢献しています」
背景
企業は、イノベーションの推進や生産性の向上、競争力の維持を目的として、生成AIやエージェント型AIの導入を必要としています。また、AIを高精度で活用するには企業固有のデータが不可欠です。IBMによる最新の
CEO調査によると、経営者の72%が自社の独自データこそが生成AIの価値を引き出す鍵であると考えています。
しかし、こうした重要なデータの多くはメールやPDF、プレゼン資料、動画などに埋もれて非構造化されており、利活用が困難な状況にあります。従来のRAGでは、非構造化データの規模と複雑さに対応できず、構造化データと適切に統合することも容易ではありません。また、データ管理には多種多様なツールが乱立しており、データ・スタックの複雑化が課題となっています。
その結果、
IDCによると、企業のデータの最大90%を占めるといわれる非構造化データは、十分に活用されておらず、AIエージェントやその他の生成AIアプリケーションにも反映されていないのが現状です。
製品詳細
今回発表されたwatsonx.data integrationは、AI対応のデータ提供をスケーラブルに実現するために設計され、新たに一元化されたデータ統合コントロール・プレーンを導入しています。データ・エンジニアは、ローコード、コード・ファースト、エージェント型ツールを横断して活用でき、さまざまな開発スタイルでのデータ処理が可能になります。このソフトウェアは、多様な統合スタイルに対応したデータの移動をオーケストレーションし、一括およびバッチ処理によるETL/ELT、リアルタイム・ストリーミング、データ・レプリケーション、構造化/非構造化データの可観測性機能を備えています。柔軟性と適応性を核に据えたこの統合により、データ・チームはもはや断片的なツール群を使い分ける必要がなくなり、データ・ストレージにおける新たなパラダイム・シフトのたびに技術的負債を抱えることもありません。これにより、将来に備えた持続可能なデータ基盤が実現します。
watsonx.data integration はスタンド・アロン製品として6月11日より提供され、非構造化データの統合や可観測性機能はwatsonx.dataを通じても利用可能です。
watsonx.data intelligence は、企業がデータをキュレーション、管理、活用する方法を根本から変革するソフトウェアです。AIによってハイブリッド環境におけるデータ提供をより簡素化します。このソフトウェアは、データ・ガバナンス、品質、リネージュ、共有を統合し、企業が意味のあるデータを発見・活用するのを支援します。
watsonx.data intelligence もスタンドアロン製品として米国時間の6月11日より提供され、データレイクハウス内のデータに対して、watsonx.dataを通じても利用可能です。
その他のデータ関連イノベーション
DataStax社の買収に伴い、IBMは同社のツールおよびテクノロジーをwatsonx.dataへ統合していきます。これには、オープンソースのApache Cassandra(R)を基盤としたNoSQLおよびベクトル・データベース機能を提供するAstra DBおよびHyper-Converged Databaseが含まれ、これらは米国時間の6月11日より利用が可能です。
また、IBMは新たなAI分析エージェントである「
watsonx BI」の提供を本年6月から開始します。watsonx BIは、企業のデータとの関わり方を根本から変革し、卓越したビジネス・インテリジェンスを自然言語で提供します。マーケティング、営業、オペレーション、財務などさまざまな分野の質問に即座に回答し、その推論過程を段階的に説明する機能を備えています。watsonx BIはスタンドアロン製品として提供されるほか、watsonx.dataを通じても利用可能です。
さらにIBMは、watsonx.dataに「Gluten Accelerated Spark」を統合し、Spark SQLによる高負荷なデータ処理のパフォーマンスを向上させます。これにより、クエリ処理の高速化と大規模データ分析におけるリソースの効率性を高めることが可能となります。これは、企業のデータ量が急増する現代において極めて重要です。
加えて、IBMはMeta社のLlama Stack におけるAPIプロバイダーとしてwatsonxを追加しました。これにより、オープン性を保ちながらスケーラブルな生成AIの展開が可能になります。すでにwatsonx.dataの MilvusデータベースはLlama Stackフレームワークの一部となっており、今回の統合により、構造化・非構造化データのより高度な管理やエージェント型の情報取得が実現されます。
最後に、IBMは領域特化型の事前構築済みエージェント、watsonx Orchestrateの
エージェント・ビルダー、およびAIエージェントのガバナンス機能などの
エンタープライズ向けの新しいAIエージェントツール群を発表しました。現在の強力なデータ基盤と組み合わせることで、企業はAIエージェントを大規模に展開するためのデータとツールを手に入れることができます。
注釈
[1]同一のオープンソース推論・評価・埋め込みモデルおよびその他の変数を使用し、3つの一般的な文書でwatsonx.dataのリトリーバル・レイヤーとベクトルのみのRAGの出力精度を比較した社内検証に基づく。
当報道資料は、2025年6月4日(現地時間)にIBM Corporationが発表したブログの抄訳をもとにしています。原文は
こちらを参照ください。
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プレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes