食物アレルギーに挑む:母乳成分の役割と濃度変化を紐解く最新の知見《第24回新生児栄養フォーラム》で発表
雪印ビーンスターク

雪印ビーンスターク株式会社(本社:東京都新宿区 代表取締役社長:渡辺 滋)は、雪印メグミルク株式会社と共同で2015年より第3回全国母乳調査を実施しています。
今回、母乳成分と食物アレルギーに関するこれまでの母乳研究の成果を、2025年6月21日から開催された、第24回新生児栄養フォーラムで学術発表いたしました。
今後も、収集した母乳の成分と母親の生活習慣や児の成長・発達との関係を調べてまいります。
◆研究発表の概要
近年、食物アレルギー罹患者は増加傾向にあります。食物アレルギーを発症するタイミングは、3歳までの患者の半数以上が生後12か月以内に診断されることが報告されており、授乳期における唯一の栄養源である母乳と児の食物アレルギー発症との関連が注目されています。しかしながら、多くの研究が報告されているものの、母乳栄養が果たす役割について明確な結論は出ていません。一方、母乳中の成分に焦点を当てた研究も数多くなされており、食物アレルギーに対して抑制的に作用することが示唆される成分も報告されています。
本発表では、雪印ビーンスタークが70年以上にわたり取り組んできた母乳研究の知見を踏まえ、食物アレルギー発症抑制との関連が示唆されている母乳成分の研究成果を取りまとめて発表しました。
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[画像2:
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・ビタミンDの経年変化
胎児期や乳児期のビタミンD充足度が、食物アレルギーの発症と関連することが報告されています。ビタミンDは日光を浴びると体内で合成されますが、日焼けを忌避する現代では母乳中のビタミンD濃度が低下している可能性があります。30年前の母乳と現代の母乳を比較したところ、現代では母乳中のビタミンD濃度が低下していることが判明しました。特に季節や日照時間が母乳中のビタミンD濃度に強く影響することがわかりました。
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・DHAとサプリメントの摂取
DHAは免疫バランスを整えて、食物アレルギーを抑えると考えられています。DHAは魚に豊富に含まれますが、日本人の魚介類摂取量は年々減少しており、特に若年層ほど顕著です。30年前と比較すると、現代の母乳ではDHA濃度が低値であると考えられました。一方、DHAサプリメントを日常的に摂取している授乳婦では母乳中DHA濃度が増加することがわかりました。
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・3種類の乳酸菌(プロバイオティクス)の摂取とTGF-β
TGF-βは免疫成分の一つで、過剰な免疫反応を抑えることで、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎等のアレルギーを抑えると考えられています。母乳中のTGF-β濃度は、乳酸菌などのプロバイオティクスの摂取で変動することが報告されています。そこで、授乳婦を対象に、3種類の乳酸菌(プロバイオティクス)を摂取する試験をしたところ、2か月間の摂取で母乳中のTGF-β濃度が増加することがわかりました。
■今後の取り組み
当社は、母乳栄養を中心とした乳幼児の栄養学において、食物アレルギーの予防や発症リスク低減をめざす研究をさらに推進します。全国の医療機関や研究機関と連携し、母乳中の各種免疫成分や栄養素、さらには母子の生活環境まで含めた包括的な調査を継続中です。それらの成果を、粉ミルクやママ向けサプリメントなどの製品開発に活かし、赤ちゃんとママが安心して過ごせる未来を支えてまいります。
◆発表概要
演題名 母乳成分と食物アレルギーとの関連
発表者 安枝武彦
雪印ビーンスターク(株)商品開発部
発表日 2025年6月21日(土)、22日(日)
会場 浅草橋ヒューリックホール(東京都台東区浅草橋)
【関連リリース】
・母乳中ポリアミンと児のアレルギーリスク低下の関連 第79回日本栄養・食糧学会で発表
(2025年5月27日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/7783/)
・ 母親の食事やDHAサプリメント摂取と母乳中の脂肪酸組成との関係についての研究結果が論文掲載されました
(2020年9月24日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/6169/)
・ 第3回全国母乳調査 1210組のお母さんと赤ちゃんにご協力いただいた研究概要が論文掲載されました
(2020年6月11日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/5893/)
・ 日本人の母乳中ビタミンD濃度の年代による変化を調査
(2019年10月15日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/5631/)
・ 第3回全国母乳調査 「オステオポンチン」の乳児栄養における役割について
(2019年6月24日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/5500/)
・ 第3回全国母乳調査 現代日本人母乳の主要栄養素濃度と母親の摂取栄養素量について
(2019年6月17日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/5497/)
・ 免疫に働きかける「母乳中オステオポンチン」国際共同研究で濃度変化解明
(2018年5月21日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/4888/)
・ 最近の日本人の母乳中ビタミンD濃度について調査
(2017年5月23日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/4429/)
・ 全国規模の母乳調査開始
(2015年7月24日:
https://www.beanstalksnow.co.jp/news/873/)
【雪印ビーンスターク 第3回全国母乳調査につきまして】
母親の生活習慣と母乳成分が乳児に与える影響に関する研究のために実施しております。
1. 目 的:母乳成分と母子の背景情報の相互関係を把握する
2. 対 象:母乳哺育している母親1,210 名
3. 方 法:母親から母乳を提供いただくとともに、食事や生活習慣のアンケート、乳児の発育や
疾病状況のアンケートを実施
4. 実施期間:2014年~2024年(追跡調査を行うため長期実施となります)
※第1回(1960年実施)と第2回(1989年実施)の母乳調査につきましては当社ホームページをご覧ください。
https://www.beanstalksnow.co.jp/labo/milk/
【母乳の情報を提供するwebサイト「母乳ラボ」につきまして】
雪印ビーンスタークが70年以上にわたり取り組んでいる、母乳研究についてわかりやすく紹介するとともに、母乳成分と赤ちゃんの発育・健康に関する情報や母乳にまつわる話題や豆知識をご提供しています。
URL :
https://bonyuukenkyuu.com/
【企業情報】
雪印メグミルクグループ 雪印ビーンスターク株式会社 (Bean Stalk Snow Co.,Ltd.)
設 立 :2002年8月7日
代表者 :代表取締役社長 渡辺 滋
URL :
https://www.beanstalksnow.co.jp
プレスリリース提供:PR TIMES



記事提供:PRTimes