豊田自動織機、ユニバーサルロボットの協働ロボットをエンジン工場に導入
Universal Robots AS

バランサーとの組み合わせで高可搬・高安全性の自動搬送を実現
ユニバーサルロボット(本社:デンマーク、日本支社:東京都港区、代表:山根 剛、以下「UR」)は本日、株式会社豊田自動織機の東知多工場(愛知県半田市)が、URの協働ロボット「UR10e」を導入したことを発表しました。
同工場では、「UR10e」と既存技術であるバランサー(重量物の移動を補助する装置)を組み合わせることで、従来は人手で行っていた重量物の搬送作業を自動化。安全性と効率性を両立し、作業負担の軽減と省人化を実現しました。
[画像:
https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/45878/86/45878-86-120753fd84d7f44b68987dd5d3a9b1f4-950x534.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【東知多工場と導入の背景】
豊田自動織機は、自動車、エンジン、コンプレッサー、ロジスティクス&フォークリフト、エレクトロニクス、繊維機械、物流等、幅広い分野で事業を展開しています。東知多工場では「ランドクルーザー」や「ハイラックス」に搭載されるGD型ディーゼルエンジンなどを生産している重要拠点です。
同工場では、若手人材の確保や熟練作業者の後継問題への対応が課題となっており、生産現場のスマート化・自動化推進が急務でした。中でも、26kgの粗材をホイスト(電動吊り上げ装置)やワイヤー・チェーン・ベルトといった吊具を用いて手作業で投入する工程は、落下リスクや作業負荷が高く、安全性と省力化の観点から改善が求められていました。
【解決すべき条件】
こうした背景の中で、同工程の自動化を検討するにあたり、次の2点がクリアすべき重要な要件として挙げられました:
安全柵が不要で、既存ラインへ導入可能なコンパクトな自動化装置であること
小型協働ロボットによる、重量物(26kg)の安定した搬送動作が可能であること
従来の産業用ロボットでは、安全柵など大型の周辺設備が必要となるケースが多く、工場の限られたスペースや既存ラインとの共存には適しませんでした。
【UR10e × バランサーのハイブリッドソリューション】
上記の課題に対応するため、豊田自動織機では、小型協働ロボット「UR10e」と、既存設備であるバランサーを組み合わせたハイブリッドなソリューションを開発しました。具体的には、バランサーが粗材にかかる重力をサポートすることで協働ロボットの可搬重量不足をカバー。UR10eが水平・上下方向の移動と姿勢制御および内蔵力覚センサを活用した力制御を行うことでスムーズな動作を実現。これにより、高可搬・高安定性を両立しながら、工場現場に求められる柔軟性・安全性・省スペース性を兼ね備えた、実用的かつ拡張性の高いソリューションが完成しました。
【今後の展開】
このソリューションを導入したことで、当該作業の工数削減だけでなく、オペレータが隣接ラインの作業やサポートにも対応できるようになりました。
豊田自動織機では、今回の事例を他工場への横展開や、エンジンの上げ下ろし、コンベア中心になっている工程など、さらなる自動化のモデルケースとして活用していく方針です。
【豊田自動織機のコメント】
豊田自動織機 エンジン事業部 製造第二部 加工課課長 山田英貴氏は次のように述べています。「自動機を導入する際は、安全柵など設備が大きくなる傾向がありますが、UR10eによる自動化ソリューションは、コンパクトに設置でき、かつ安全性が担保されている点で、他の作業工程への応用、あるいは他工場への横展開なども可能と考えています」
また、豊田自動織機 エンジン事業部 生産技術部 開発室開発第1G グループ長 清水達也氏は次のように語っています。「自動化が中々進まない要因として、先に解決のための答えを決めてしまい、その答えを探すのに時間がかかってしまうことです(結果自動化が先延ばしとなってしまう)。まず協働ロボットを導入し、使いながら検証し、導入範囲を徐々に拡大していく。まさしく今回東知多工場がチャレンジしたことを積み重ねていくことが、自動化推進の近道ではないかと思います」
【URのコメント】
ユニバーサルロボット 日本支社代表 山根剛は次のように述べています。「豊田自動織機エンジン事業部門の中核拠点である東知多工場は、産業ロボットをはじめとするさまざまな製造装置・生産設備が稼働しています。そうした設備のひとつに協働ロボットが加わり、新しいソリューション開発のパートナーとして選ばれたことは、当社にとっても重要な一歩です。URロボットが採用された理由は、ロボット自体の操作性や動作性能に加えて、他の製品やシステムとのインテグレーションやカスタマイズに柔軟に対応できるオープンなプラットフォームを備えている点です。今後もお客様の自動化課題を解決するために、新たなソリューション開発をサポートしてまいります」
本事例に関する詳細および動画は下記事例ページをご覧ください。
https://www.universal-robots.com/ja/case-stories/toyota-industries-corporation/
【参考情報】
■豊田自動織機 東知多工場
所在地:〒475-0033 愛知県半田市日東町4番15号
操業開始:平成12年(2000年)
敷地面積:331,000平方メートル /建物面積:141,000平方メートル
従業員数:1,292人
主な生産品目:鋳造品、自動車用エンジン、ターボチャージャー
■UR10eについて
UR10eは、12.5kgの可搬重量と1,300mmのロングリーチを兼ね備えた、汎用性の高い協働ロボットです マシンテンディング、パレタイジング、パッケージングなどのアプリケーションにおいて、これまで可搬重量が足りなかった場合でも自動化できる可能性が大きくなります。
注記:
2025年5月、UR10eはUR12eへと製品変更になりました。UR12eの仕様はUR10eと同一で、可搬重量やリーチなど、基本的な機能は変わっていません。最新の製品情報や詳細については、当社の公式ホームページをご覧ください。
■URロボットの特長
URロボットは、優れた操作性、高い拡張性、そして高い動作性能が特長の協働ロボットで、以下の2つのシリーズがあります:
UR Series(フラッグシップモデル)
可搬重量:17.5kg、25kg、35kg である、UR15、UR20、UR30の3機種
e-Series(標準モデル)
可搬重量:3kg、7.5kg、12.5kg、16kg である、UR3e、UR7e、UR12e、UR16eの4機種
全ての機種において6つのジョイントすべてが720度の動作範囲を実現しているため、マニピュレーションに優れています。この特長により、狭いスペースでも柔軟な動作ができ、従来の産業ロボットには難しい作業も効率的にこなします。
さらに、標準で力覚センサを内蔵しており、触れる、押し込む、嵌め合わせるなど、力制御を行うことができます。これにより、精密な作業や人間の手の感覚を必要とする工程もロボットによって自動化可能となり、さらなる生産性向上を実現します。
【ユニバーサルロボットについて】
ユニバーサルロボット(UR)は、協働ロボットのパイオニアであり、リーディングカンパニーです。
2008年に世界初の商用協働ロボット(アーム型ロボット)を発表して以来、直感的な操作性を備えた独自ソフトウェアPolyScopeの進化や、製品ポートフォリオの拡充を通じて、協働ロボットの可能性を広げてきました。
また、周辺機器を取りそろえたUR+エコシステムをはじめ、販売代理店、認定システムインテグレータ、OEMパートナーなどとのグローバルネットワークを構築。これにより、ユーザーが自動化導入時に直面する複雑さやコストといった課題の解消を支援し、誰もが簡単に自動化を実現できる環境を提供しています。
ユニバーサルロボットは現在、米Teradyne Inc.傘下の企業として、デンマーク・オーデンセに本社を構え、日本を含む世界20カ国に拠点を展開。これまでに世界50カ国以上で累計10万台を超える協働ロボットを販売しています。
www.universal-robots.com/ja/
プレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes