家計厳しく「子どもが食べることを遠慮」 給食のない長期休み、1日2食以下の子どもが増加――物価上昇、米の価格高騰が追い打ちに 【フードバンクを利用するひとり親家庭への調査】
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパン

親は自分の食事を削って子に 長期休みに迫る困窮
認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパン(本部:東京都大田区、代表理事:小泉 智)は2017年より日本国内の子どもの貧困対策事業として、低所得のひとり親家庭への食品支援事業「
グッドごはん」を運営し、ひとり親家庭への食品配付を行っています。
今回、当団体が実施したグッドごはん利用者への調査の結果、子どもの学校の長期休み期間中、保護者が食事をとることを諦める、子どもの食事回数が1日2食以下に減少するなど、非常に切迫した実態が浮き彫りとなりました。
さらに、今般の物価上昇の影響を感じる前と比べて、長期休み中に子どもへ十分な食事を用意することが難しくなったと感じる回答者が9割に及ぶなど、米をはじめとする食品価格の高騰がもたらす深刻な影響が明らかとなりました。
アンケート概要
「子どもの学校の長期休み期間中におけるひとり親家庭の暮らしの状況に関するアンケート」
・実施日程:2025年6月3日~6月11日
・対象者:グッドネーバーズ・ジャパンのフードバンク事業「グッドごはん」の利用者のうち、学校給食を普段から食べている子どもがいる保護者 ※利用者は、原則としてひとり親家庭等医療費受給者証保有者に限る(ひとり親家庭等医療費受給者証とは、18歳未満の子どもを養育し、所得が限度額未満かつ生活保護を受けていないひとり親家庭等に交付される医療費助成制度の医療証)
・回答方法:アンケート回答フォームへの入力(オンライン)
・有効回答者数:2,105名
・回答者属性:
- 性別:女性 2,023名 (96.1%)|男性 54名 (2.6%) (性別無回答:28名)
- 年代:|20代 45名 (2.1%)|30代 587名 (27.9%)|40代 1,127名 (53.5%)|50代 330名 (15.7%)|60代以上 10名 (0.5%) (年代無回答:6名)
- 居住地域:首都圏(主に東京・神奈川・埼玉・千葉) 917名|近畿(主に大阪・京都・兵庫・奈良)735名|九州(主に佐賀・福岡)453名
家計負担が増える子どもの長期休み さらなる困窮に直面
子どもの学校の長期休み期間中は給食がなくなる分、家庭での食費が増加するほか、家で過ごす時間が増えることで水道光熱費等の出費がかさむ傾向があります。
本調査で、学校のある期間と比較した長期休み中の家計状況について質問したところ、約6割が「かなり苦しくなる」、4割近くが「やや苦しくなる」と回答しており、長期休み期間中、多くの家庭が厳しい家計状況に直面する実態が明らかとなりました。
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子どもの学校の長期休み期間中における家計の状況 ー学校がある期間との比較ー
回答者の多くは日頃から経済的に困難な生活を送っており、長期休み期間中における家計負担の増加は、暮らしに一層深刻な影響を及ぼします。本調査結果においてとりわけ目立ったのは、子どもに食べさせるため、保護者自身が食事を削る実態です。学校の長期休み期間中における家計が「かなり苦しくなる」「やや苦しくなる」と答えた回答者に対し、同期間中に家計が苦しくなる影響でよくとっている行動について質問したところ、「自分(子どもの保護者)の食事の量を減らす」が最も多い割合を占めました(複数回答)。
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子どもの学校の長期休み期間中に家計が苦しくなる影響でよくとっている行動(複数回答)
長期休み期間中における食事や暮らしに対する困りごとに関する自由記述回答では、回答者から下記のような声があげられ、中には事情を察した子どもが自ら食事を遠慮する場合もあるなど、切実な状況が浮かび上がりました。
・「物価が高いうえに長期の休みとなると食費が苦しい。家で過ごす時間も長くて電気代も増えるし苦しみしかない。」
・「子供の分だけ食事を用意して残れば母が食べている状況。できればもっとたくさん作りたい。中学生の長男は食べることを遠慮していて申し訳なく思う」
・「長期休み中、子供は学童に通いお弁当持参だが、1ヶ月超のお弁当代がバカにならない。また、勤め先が約1週間お盆休みの間、収入が減るのと食費・電気代(エアコン)が増えるので、毎年経済的に大変だ。しかも、今年は物価高騰・米価格高騰もあり、本当に「火の車」状態。」
・「子どもにはなんとか食べさせますが、とにかく自分は二の次、三の次。ただ、前回の冬休みでご飯を食べなさ過ぎて、胃が痛くなり家でうずくまったまま立てなくなったことがあり、せめて一日一食は食べようと思いました。」
・「給食がないので食費に余裕がなくなり生活が逼迫します。そのため、食事の回数や量を減らさざるをえません。体力をつけなければならない夏に痩せるのは辛いです。」
学校の長期休み期間中、1日2食以下の子どもが約2.5倍に増加
保護者が自身の食事を減らしてもなお家計が厳しく、子どもに十分な食事を用意できないケースもみられます。子どもの1日の食事回数について回答を得た結果、学校のある期間と比べ、1日2食以下の割合が長期休み期間中には約2.5倍に増加することがわかりました。
加えて、長期休み中における子どもの1日の食事回数が学校のある期間よりも減るという回答者に対し、その理由を質問したところ、「経済的に余裕がなく、家庭で十分な食事を用意することが難しいため」が最も多い割合を占めたほか、3割近くが「時間に余裕がなく、家庭で十分な食事を用意することが難しいため」と答えました。
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子どもの1日の標準的な食事回数
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学校の長期休み期間中に子どもの1日の食事回数が減る理由
また、学校がある期間と比較し、長期休み中における子どもの食事の栄養バランスがどのように変化するかについて回答を得た結果、「かなり悪くなる」「やや悪くなる」を合わせた割合が9割近くに及びました。加えて、「かなり悪くなる」「やや悪くなる」と回答した人にその理由を質問したところ、「経済的に余裕がなく、家庭で十分な食事を用意することが難しいため」および「時間に余裕がなく、家庭で十分な食事を用意することが難しいため」が比較的多い割合を占めました。
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学校の長期休み期間中における子どもの食事の栄養バランス ―学校がある期間との比較―
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学校の長期休み期間中に 子どもの食事の栄養バランスが悪くなる理由
フードバンク「グッドごはん」を利用するひとり親家庭を対象に、グッドネーバーズ・ジャパンが2025年2月に実施した
収入・暮らしの状況に関するアンケート調査では、年間の世帯収入200万円未満(手取り/各種社会手当・養育費・同居家族の収入含む)、また、非正規雇用で就労している回答者がそれぞれ5割に及びました。困窮した生活において食費を捻出することが難しいほか、非正規雇用のもと時給制で賃金を得ているケースでは、就労に時間を費やさざるを得ない場合も少なくありません。そうした中、暮らしが一層切迫する長期休み中において、家庭で十分な食事を用意することがより困難となる状況が推察されます。
長期休み期間中における子どもの食事状況に関して、今回の調査において以下のような回答が寄せられました。
・「給食に比べると品数も無いし、栄養も偏ってしまう。分かっていながら、ちゃんとした食事を揃えるのは難しい。時間的にも金銭的にも。中学高校生は食べ盛りなので、1日5合のご飯を炊いても無くなってしまう。食べるなとは言えない。でも子供たちは遠慮している。」
・「金銭面で栄養バランスよりもかさましをして、見た目だけでもと思って昨年の夏なんとかやり過ごしたが、秋に子供の体重が減っている事に気づき、成長期の今しか体を作れない期間にとんでもない事をしてしまったと、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだが、物価高に追いつかず、食費を工面するのにとても苦労している。」
・「食べ盛りのこどもに栄養のあるものを食べさせたいが、食材が高いためどうしても安価な食材になったりして栄養が偏るので困っている。物価高で米も高いので、絶望感しかない。」
・「学校で食べられる魚、野菜などが減ってしまいます。長期休みは生活リズムの乱れもありますが、子供も気を使って食べる量を減らしているように思います。」
歯止めのきかぬ物価上昇 長期休みの食生活に打撃
上述のとおり、多くの回答者が長期休み中の家庭での食事に困難を抱えている中、今般の食品価格の上昇が深刻な追い打ちとなっています。
本調査で「物価上昇の影響を感じる前と比べて、学校の長期休み期間中に子どもへ十分な食事を用意することが難しくなったと感じるか」を質問した結果、「非常に感じる」「やや感じる」の合計が9割に達しました。
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物価上昇の影響を感じる前と比べて、 学校の長期休み期間中に子どもへ十分な食事を 用意することが難しくなったと感じるか
また、市場価格が高止まりとなっている米について、十分な量を購入することが経済的に厳しい状況にある回答者は少なくありません。「米の価格高騰を受けて、この夏休みの家庭での食事にどのような影響が出ると思うか」を質問したところ、「米以外の主食で代用する」「自分(子どもの保護者)が食べる米の量が減る」が比較的高い割合で選択されました(複数回答)。
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米の価格高騰を受けて、この夏休みの家庭での食事に どのような影響が出ると思うか(複数回答)
米をはじめとする物価の上昇が長期休み期間中の食事に与える影響について、回答者からは下記のような声が寄せられました。
・「物価が上がり食事を満足に食べさせてあげられない。栄養や体調が心配でたまらない。」
・「一番栄養を必要とする時期に、価格高騰の影響でバランスの良い食事の用意が難しくなる可能性が高い。安いコメや特売品は仕事を休めないので、並んで買えないこと、夏の野菜高騰が想定されるなど様々な不安を感じている。」
・「唯でさえ水道光熱費がかさむ様になり始めた数年をギリギリで乗り越えて来たのに、今度は米の高騰で更に厳しい家計状況になります。」
・「成長期の息子2人いるので、自分はあまり米を食べないようにしていますが、休みになると米の消費が倍になるので、経済的に米が確保できるかかなり心配です。」
・「給食がないため毎日弁当を作って学童に通っています。お米が高かろうと弁当が必要です。備蓄米が安くても手に入らないです。働いているので、備蓄米人気に買いにもいけず売り切れしか見てないです。結局、高いお米しか売ってないです。夏休み、心配です。」
本調査を通じて、子どもの長期休み期間中に家計が一層逼迫し、十分な食事すら確保できない状況に直面するひとり親家庭の実態が示されました。
食が不足することにより、子どもが成長に必要な栄養をとれず、保護者も健康を害しかねない状況は、見過ごすことのできない重大な社会課題だと言えます。子どもがどのような環境にあっても健やかに育つ権利を守るため、長期休み期間中においても困窮子育て家庭の食事が直接的かつ迅速に支援される仕組みの構築が急務であると考えます。
グッドネーバーズ・ジャパンでは、フードバンク「グッドごはん」を通じて低所得のひとり親家庭における食の困難を軽減できるよう、長期休み期間中における支援を強化してまいります。来る夏休みに向けては、食品配付内容の拡充等の対策を講じる予定です(詳細は後日、プレスリリースにて公開予定)。
すべての子どもが貧困に苦しむことのない社会の実現に向けて、グッドネーバーズ・ジャパンは引き続き支援活動に尽力してまいります。
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■団体について
特定非営利活動法人グッドネーバーズ・ジャパンは、国際組織グッドネーバーズ・インターナショナルの一員として、2004年に開設されました。「子どもの笑顔にあふれ、誰もが人間らしく生きられる社会」を目指し、国内外の子ども支援を行っています。公益性の高い団体である「認定NPO法人」として東京都から認可を受けています。
https://www.gnjp.org/
■ひとり親家庭のフードバンク「グッドごはん」とは
「グッドごはん」とは、ひとり親家庭等医療費受給者証をもつ、所得が限度額未満のひとり親家庭を対象に、食品を毎月無料で配付する事業です。2017年9月の事業開始以降、延べ13万を超える世帯に食品をお渡ししてきました*。
首都圏、近畿および九州における約40か所*の配付拠点にて、企業や個人の寄付によって集まったお米や調味料、レトルト食品、お菓子など、約10,000円相当のカゴいっぱいの食品をひとり親家庭に配付しています。
*2025年5月時点(配付拠点数は月により変動)
https://www.gnjp.org/work/domestic/gohan/
※通常、配付拠点に直接取りに来られる方を対象に食品を配付しています
※生活保護受給中の方は対象外です
プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes