世界初 液化CO2・メタノール兼用輸送船の基本設計承認(AiP)を取得
株式会社商船三井

株式会社商船三井(社長:橋本 剛、本社:東京都港区、以下「商船三井」)と三菱重工グループの三菱造船株式会社(社長:上田 伸、本社:東京都港区、以下「三菱造船」)は、共同で開発している液化CO2・メタノール兼用輸送船(以下「本船」)についてコンセプトスタディを実施し、このほど一般財団法人日本海事協会(会長:菅 勇人、本部:東京都千代田区、以下「NK」)から基本設計承認(Approval in Principle : AiP)(註1)を取得しました。同船でのAiP取得は※世界初(註2)となります。
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液化CO2・メタノール兼用輸送船 運航イメージ
CO2を燃料や化学製品に転換する技術は、CO2を分離、回収、利用、貯留するCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)におけるCO2の利用法として注目されています。その一つに、回収したCO2を原料として合成メタノール(註3)を製造するサプライチェーンの実現に向けた検討が進められており、合成メタノールは海運業界の脱炭素化に貢献する船舶燃料の一つとしても期待されています。
今回、AiPを取得した本船は、低圧仕様の液化CO2(LCO2)輸送船をベースにしており、往路で原料のCO2、復路で合成メタノールの輸送を目指すものです。それぞれに専用船を用いた場合、片航路は空荷での運航になりますが、兼用化が実現すれば空荷での運航がなくなり、全体の輸送効率が高まることが期待されます。商船三井と三菱造船は、今回のコンセプトスタディで得られた知見や技術課題を踏まえて開発を進め、サプライチェーンの関連企業との協働などを経て、本船の製品化を目指します。
商船三井グループは、2024年9月に北米・南米・豪州で合成燃料/合成メタノールの開発・生産・輸送プロジェクトを開発するHIF Global LLC(CEO:Cesar Norton、本社: 米国)(註4)に出資参画するなど、合成燃料/合成メタノールおよびCO2のサプライチェーン構築を推進しています。今回の取り組みは、そのようなサプライチェーン全体の経済性を高め、その実現に大きく寄与するものです。「
商船三井グループ 環境ビジョン2.2」で掲げる「2050年までにグループ全体でネットゼロ・エミッション達成」に向け、原料となるCO2の輸送ならびに合成メタノールの開発・供給への取り組みを更に加速させ、低・脱炭素社会の実現に貢献していきます。
三菱重工グループは、エナジートランジションの事業強化に戦略的に取り組んでいます。その一翼を担う三菱造船は、従来からのものづくりを主体とした造船に加え、造船を基盤とした海事エンジニアリング技術で国内外の海事産業の発展に貢献することを目指しており、今回の取り組みもその一環です。また、今回の協業は、三菱重工グループが推進するパートナリングの一例でもあります。三菱造船は今後もグローバルにパートナー作りを展開し、パートナリングを通じて社外の知見を取り入れるとともに、CCUSバリューチェーンの構築を積極的に推進するなど、保有する技術や製品・サービスをより多くのお客様にお届けしていきます。
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AiP証書
(註1) 基本設計承認(Approval in Principle : AiP)とは、認証機関が基本設計を審査し、技術要件や安全性の基準を満足すると承認されたことを示すものです。今回は液化ガスおよび化学品をばら積みで輸送する船舶に適用されるIGCコード、IBCコードおよびNK船級規則に基づき、審査が実施されました。
IGCコード(正式名称:International Code for the Construction and Equipment of Ships Carrying Liquefied Gases in Bulk)とは、LCO2やLNGなどの液化ガスをばら積み貨物として輸送する船舶の安全要件が規定された国際規則のことです。
IBCコード(正式名称:International Code for the Construction and Equipment of Ships Carrying Dangerous Chemicals in Bulk)とは、メタノールなどの化学品をばら積み貨物として輸送する船舶の安全要件が規定された国際規則のことです。
(註2) ※商船三井・三菱造船調べ。
(註3) 合成メタノール(e-methanol)とは、CO2と再生可能エネルギーで生成した水素との合成燃料のことです。
(註4)
合成燃料(e-fuel)および合成メタノール(e-methanol)の生産を推進する米HIF Global社へ出資 ~エネルギー・輸送業界の脱炭素化へ向けて~ | 商船三井プレスリリース提供:PR TIMES

記事提供:PRTimes