ベネッセ、トヨタの「Udemy Business」の利用に関する調査結果を発表
株式会社ベネッセコーポレーション

~調査を通じ、デジタルバッジ制度拡大など学習者層に合わせた人材育成戦略を支援~
株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山県岡山市、代表取締役会長兼社長:岩瀬大輔、以下:ベネッセ)は、トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:佐藤恒治、以下:トヨタ)と共同で実施した、法人向けオンライン動画学習プラットフォーム「Udemy Business(ユーデミービジネス)」の利用に関する定点調査の結果を発表しました。本調査を基にベネッセはトヨタのデジタル人材育成を支援し、トヨタグループ全体へのノウハウ展開で一貫したコーポレート支援を提供します。
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■調査結果のポイント:
本調査は、Udemy Businessを活用するトヨタ従業員の学習成果や意識変化を可視化し、データに基づいた人材育成戦略を支援する目的で2023年より半期に一度、定期的に実施しています。第1~3回の調査から、以下のことが分かりました。
1.チームや課など、組織単位での利用の方が「学びの業務活用実感」は高まる
当初トヨタでは学びたい人が自ら申し込む「個人手挙げ」と、チームや課など、複数人数で学習チームを編成して学びあう「組織単位での利用」を併用していました。それらを比較したところ、組織単位での利用をした従業員の方が、新しい業務対応や改善ができたという「学びの業務活用実感」が高まることが分かりました(第1回調査)。この結果を受け、Udemy Businessの利用を組織単位での利用に移行したところ組織による従業員への学習サポートや、学びの業務活用実感などが大きく改善しました(第2回調査)。
2.組織単位の利用拡大で学習層に変化。外発的動機を内発的動機*1へ促す学習支援施策が重要
組織単位での利用拡大後の調査では、従業員の学びの業務活用実感やトヨタが推奨する学習カリキュラムの登録率が低下しました(第3回調査)。これは、組織利用拡大に伴いUdemy Businessの利用者が増加し、学習動機が多様化したことが要因の一つであると考えられます(図1)。そのため、組織の育成方針と従業員の学習テーマを適切に連動して設定するなど、外発的動機を内発的動機へ促す学習支援施策が重要であることが示唆されました。
以上から、組織単位での学習利用の拡大ならび利用状況に合わせた学習支援施策は、従業員の業務活用実感を高め、外発的動機から内発的動機へ学びの自律性を高めることが示唆されました。本取り組みは、労働人口が減少し続ける日本において、企業が求められる「自律的な学習者の育成」に関する有効な実践例の一つであり、人的資本経営の高度化と持続可能な組織づくりに寄与する取り組みと位置づけられます。
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図1 動機づけ理論*2にもとづく段階と学習支援施策の例図はベネッセにて作成
*1 外発的動機とは、「外部から与えられる報酬や成果・評価のために行動すること」を指し、内発的動機とは「外部の報酬を目的にしない、活動そのものの満足(楽しさ、達成感など)のために行動すること」を指す。定義は、Ryan & Deci (2000)から引用。
*2 自己決定理論のうち、有機的統合理論(Chen & Jang, 2010; Ryan & Deci, 2000)を基にベネッセにて作成。
■調査結果を活用した新たな施策:
調査結果より、利用者の増加にともなう学習動機の多様化に対して、現時点では外発的動機を内発的動機へ促す学習支援施策が重要であることが示唆されました。そこで、ベネッセはトヨタのデジタル人材育成企画に合わせて、トヨタと共に、より多様な学習層に対応した人材育成施策を推進します。またこのノウハウや知見をトヨタと共に一部グループ会社へ展開することで、トヨタグループ全体の人材育成を支援いたします。
1.デジタル人材育成の社内認知啓発・体系化
トヨタ:社内における「デジタル人材ロール」の認知拡大を図り、学習内容を体系化。
ベネッセ:ワークショップや実践型研修の実施などを通し、トヨタ社内の認知活動を支援。
2.学びとデジタルバッジの連動でスキルを可視化。一部グループ会社にも展開
トヨタ:Udemy Business学習者に対し、自社で作成したデジタルバッジ(社内におけるスキル認定制度)の取得を促進することでスキルを可視化。一部グループ会社にも展開。
ベネッセ:デジタルバッジ取得に向けたUdemy Businessの学習カリキュラムの提供。グループ会社展開のご支援。
3.データに基づいた人材育成戦略の推進
トヨタ・ベネッセ:共同で引き続き定点調査を実施し、データに基づいた人材育成戦略を推進。
■本調査結果を受けてのコメント:
佐川 洋介氏
トヨタ自動車株式会社 デジタル変革推進部 DX人財育成室 グループマネージャー
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当社は2021年に「デジタル変革推進室」を立ち上げ、「変革なきデジタルにならないように」というモットーのもと、企業変革を見据えたデジタル人材の育成に取り組んできました。当初は試行錯誤の連続でしたが、ベネッセと共に従業員の学習行動を継続的に調査・分析し、施策の振り返りと柔軟な戦略変更を行ってきました。データを基にした施策対応を継続した結果、現在は従業員一人ひとりが日々の業務の中で学び、実践を積み重ね、職場風景や組織文化に着実な変化が現れています。本調査を通じて得られた知見は、業種や規模に関わらず、日本の多くの組織における人材育成に活かせるものだと考えています。当社はこれからも、自社やグループ企業だけでなく、日本全体のデジタル人材育成の推進に貢献していきます。
飯田 智紀
株式会社ベネッセコーポレーション 執行役員 社会人教育事業領域担当(Udemy日本事業責任者)
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トヨタ自動車様とは、2019年のUdemy Business日本展開初年度より、人材育成におけるパートナーとして継続的に取り組んでまいりました。半年ごとの定点観測である本調査を通じて、同社の人材育成戦略の策定に貢献し、学びの成果が事業価値の創出につながる数多くの事例が生まれていることを、大変嬉しく思っております。今後も、トヨタ自動車様およびグループ各社における人材育成のさらなる推進に向けて、自発的な学びを促す仕組みづくりや認知の拡大が一層重要になると考えております。ベネッセは引き続き、学びのきっかけ創出から行動変容、そして成果の最大化までを一貫して支援し、企業と個人の持続的な成長に貢献してまいります。
※調査詳細については、別添資料をご覧ください。
【別添資料】 調査詳細
■定点調査の目的と概要:
ベネッセは2019年よりUdemy Businessを中心に、トヨタのデジタル人材育成を支援してきました。2023年からは、Udemy Businessを活用する従業員の学習成果や意識変化を可視化し、データに基づいた人材育成戦略の支援を目的として、ベネッセはトヨタと共同で半期に一度、定期的に学習状況と学習意識を調査しています(表1)。
本調査では、検証観点の一つとして、学びたい人が自ら申し込む「個人手挙げ」と、複数人数で学習チームを編成して管理者のもとで共に学びあう「組織利用」の違いを分析しました。なお、調査期間中、トヨタの人材育成事務局からは推奨する学習カリキュラムの設定がされていますが、強制ではなく、従業員や組織が自由に学習を進めました。
表1 定点調査の概要
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https://prtimes.jp/data/corp/120/table/1371_1_4e3290a7b41f74689f808a5963a013f0.jpg?v=202507010217 ]
1. 第1回調査:「個人手挙げ・組織利用」併用期
1.主なポイント:
- 個人手挙げよりも組織利用の方が、学びにより新しい業務対応や改善ができたという「学びの業務活用実感」を持つ割合が多い(図2)。- 個人手挙げと比べ組織利用の従業員は、「上司などの定期的な声かけ」「学習者どうしの交流・成果共有」「学習ツールや教材の紹介・推薦」など、職場でのサポートや関わり合いが学びを促進したと感じる割合が多い(図3)。
※以下グラフにおける「組織利用」のデータは、Udemy Businessを組織の戦略として活用することを意図して導入した「特定の部署」の利用者を指しており、「個人手挙げ」の利用者と比較した。
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グラフは調査を基にベネッセにて作成。
2.調査を受けて:
- 個人手挙げよりも組織利用の方が職場での関わりが生まれることで、学習が業務へ活用されやすいことが分かった。- 調査結果を踏まえて手挙げを廃止し、組織利用を本格導入。チームの編成方法や学習テーマは各チームに一任した結果、2023年後期に対してUdemy Business利用者が3倍に増え、350グループが組織利用として学習することになった。
2. 第2回調査:「組織利用」本格導入期
1.主なポイント:
- 組織利用に切り替えた結果、第1回調査よりも、「学びによる業務活用実感」を持つ従業員が増加した(図4a)。- 第1回調査と比べ第2回調査では、学びに関する「組織からサポートや働きかけがあった」(図4b)、学びを「担当業務や実務で活用できている」(図5c)、と回答した割合がそれぞれ増加した。
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図4 第1回調査と第2回調査の比較図はベネッセにて作成
2.調査を受けて:
- 第2回調査結果を受け組織利用をさらに拡大。- 2024年前期に対して約1.5倍のUdemy Business利用者、522グループが組織で学習を行った。
3. 第3回調査:「組織利用」拡大期
1.主なポイント:
- 従業員の「学びの業務活用実感」が第2回調査時よりも低下した(図5a)。- 組織利用をきっかけに設定したトヨタの人材育成事務局が推薦する「育成計画に基づくカリキュラム」に含まれる講座の登録率は、第2回時点より低下した(図5b)。
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図5 第2回調査と第3回調査の比較図はベネッセにて作成
■調査を受けた「考察」:
従業員の業務活用実感の低下は、学習者の拡大に伴い、学習の動機づけが多様化したことが要因の一つであると考えられた(図1参照)。そこで、要因分析をするため、まず、利用開始期間に沿って3つの学習者層に分類したうえで、「学びの業務活用実感」ならびに「学び始めるきっかけ」について調べた。結果、利用期間が長いほど「学びによる業務活用実感」を持つ割合が高く(図6a)、「会社からの発信」「上司などの定期的な声かけ」「同僚からの勧め・声かけ」といった、職場での発信や声かけは利用期間が短いほど影響していることが分かった(図6b)。
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図6 3つの利用開始期間における学習者層の比較図はベネッセにて作成
次に、3つの学習者層の特徴を動機づけ理論に基づき構成員の割合を確認した結果(図7)、構成員の約半数を占める「利用期間が短い(半年未満)従業員」の主な動機づけ要因は「外発的動機(他律的)」であると考えられた。
例えば、学習支援施策として「報酬設計」や「ToDo管理」などに当たる組織の育成方針と従業員の学習テーマを適切に連動して設定するといった”行動指示が明確な施策”が効果的であると推察できる。
なお、第2回調査時点から利用を開始した学習者群を第3回調査と経年で比較すると、「会社からの発信」「上司などの定期的な声かけ」「同僚からの勧め・声かけ」など外発的動機に対応する学習の促進要因は下がる傾向にあった。すなわち、組織利用において学習支援施策を行うことが、自律性を高め、内発的動機へ促す可能性があると考えられる。よって、「組織利用」拡大期においては、外発的動機を内発的動機へ促す学習支援施策が重要であることが示唆された。
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図7 動機づけ理論*2にもとづく段階と学習支援施策の例(図1に学習期間の構成員の割合を追記)図はベネッセにて作成
この分析結果をもって、2025年は、組織の育成方針と従業員の学習テーマを適切に連動して設定するなど、外発的動機を内発的動機へ促す学習支援施策を行うことになった。
※参考資料1 「学びの業務活用」の具体例(一部):
ベネッセは、調査結果を通して分かった「業務活用実感」の具体的な事例を調査し、総合的に評価することで、トヨタの学習成果の可視化を支援しています。以下は「個人手挙げ」と「組織利用」における学習成果の一例です*4。
2023年度:
個人手挙げの学習者の事例
- 現場発ツールの全体波及:Pythonの環境構築を簡素化するサービスなど、業務課題を起点に学びを実践する従業員が増加し、現場発のツールが組織や事業部門へ広がった。
組織利用の学習者の事例
- 工場からの提案活性化:工場勤務者から、デジタルアプリの開発や業務改善ツールに関する提案が寄せられ、現場における自発的なデジタル活用の動きが広がった。- AI学習の事業活用:AIを学んだ従業員が開発した「路上を走る車種を自動認識するツール」が実務に導入され、エリア別の生産車種に基づくマーケティング戦略立案に活用された。
2024年度:
- 業務活用例の増大:工場のペーパーレス化、工数削減(約300件)、品質向上(約200件)など、年間1,200件以上の業務活用例が創出された。
その他、成果の詳細事例については下記をご参照ください。
https://ufb.benesse.co.jp/case/toyota.html
※参考資料2 トヨタの人材育成戦略におけるUdemy Businessの位置づけ*5:
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*3 Udemy Business利用者のうち分析対象者を基に算出。
*4 事例はトヨタで実施されている事例収集の仕組みを参照しており、2024年度から事例収集の仕組みが本格化したため、2023年度は個別事例のみ。
*5 図表は、トヨタ資料より引用。トヨタ社内では人材の表記を人財と定義・統一しているため、図表内では「人財」と表記。
プレスリリース提供:PR TIMES





記事提供:PRTimes