日立、品質保証業務へのAIエージェント適用で、お客さまへの対応力・対応品質を強化
株式会社 日立製作所

大みか事業所において、熟練者の経験・知見に基づいた判断を生成AIで再現し、作業時間を8割以上短縮可能に
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インタビュー動画:
https://www.youtube.com/watch?v=uf9SKYxzxxc
株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、電力や鉄道、上下水道など社会インフラを支える情報制御システムを提供している大みか事業所において、品質保証業務にAIエージェントを適用し、熟練者の経験や知見などの暗黙知を形式知化し組み込むことで、機器故障などトラブルへのお客さま問い合わせ対応を高度化・効率化できることを確認しました。
機器故障やトラブルの発生により問い合わせがあった場合、品質保証部門では、発生事象と過去の類似事例やマニュアルなど複数の情報を紐づけ、総合的な判断から対策を導き出しています。膨大な情報の中から参考とすべき適切な情報を抽出し、対策に必要な情報と紐づけるには、熟練者の経験や記憶にもとづく勘が必要であり、若手担当者が迅速に対応することは難しいという課題がありました。そこで、膨大な過去事例などが蓄積されたデータベースから情報を検索可能な品質保証業務支援ツールにAIエージェントを適用し、熟練者がどのようなキーワードや順番で情報を探索しているのかというパターンや業務プロセスなどの暗黙知の形式知化を推進し、2024年10月から2025年3月まで実証実験を行いながら、現場で活用できるレベルへと精度をあげてきました。
その結果、担当者の経験値に関わらず、誰でも適切な類似事例を抽出することができ、さまざまな問い合わせに対して、精度の高い回答を短時間で作成することが可能になりました。鉄道システムの品質保証業務における実証においては、問い合わせへの回答に必要な情報を検索する時間を約9割削減でき、お客さまへの対応力強化として高い成果を得ています。また、検索だけでなく、分析業務やレポート作成業務の効率化を実現することで、対応品質の向上にも貢献します。
今後、本実証での成果を受け、2026年度を目標に、鉄道システム分野だけでなく、電力や上下水道など大みか事業所全体の品質保証業務へと適用を拡大していく予定です。
これらにより、日立は、社会インフラを支えるOT*1領域の知見・経験と、生成AI、AIエージェントをはじめとした最先端のITの知見を掛け合わせたLumadaで、技能伝承や生産性向上などの社会課題に取り組んでいきます。
*1 OT:制御・運用技術
■背景
製造業の品質管理の現場では、熟練者の経験や勘に依存する部分が多く、品質の安定化や技術の継承が大きな課題となっています。特に、エネルギーやモビリティ、産業などのOT領域では、お客さまの事業にあわせ複雑で多岐にわたるシステムが構築され、多くの場合10年以上と長期間稼動することから、お客さまからの質問やトラブルに関する膨大な保守運用の情報をデータベースに蓄積しています。品質保証業務の一つである、トラブルや問い合わせ対応では、過去からの保守運用の知見・情報が非常に重要であるため熟練者に依存していました。そこで、トラブルや問い合わせの概要を文章で入力すると、過去に発生した膨大な類似事象をデータベースから抽出できる品質保証業務支援ツールを活用することでトラブルを未然に防いできました。
しかし、お客さまシステムのトラブル対応時には、膨大な関連資料や過去の事例に基づいた熟練者の判断が必要となり、経験の少ない若手担当者では、お客さまからの第一報や品質保証業務支援ツール内の検索データだけでは、状況を正しく迅速に把握することは難しいという実態がありました。
■本実証実験の内容と成果
本実証実験では、日立の生成AIやAIエージェントのスペシャリストを集結したGenerative AIセンターのデータサイエンティストを中心としたGenAIプロフェッショナルが、ヒアリングを通して熟練者の暗黙知を生成AIのプロンプトに落とし込み、改善・評価、チューニングを行うことで、従来の品質保証業務支援ツールに生成AIを組み込みました。そして、鉄道システム分野の品質保証業務を対象とした実証実験において以下3つの効果を確認しました(図1)。また、ヒアリングだけでなく、熟練者と日立のGenAIプロフェッショナルが一体となって連携し、実際の業務を想定した質問と模範解答のペアを100件以上作成しました。これにより品質保証業務を網羅した共通の評価基準が作成され、熟練者の視点からのフィードバックを繰り返し得ることができるようになったことで、暗黙知を獲得し、より効果的な成果の早期獲得につながりました。
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図1 品質保証業務のAS-ISとTO-BE
(1)トラブル事例検索の精度向上(検索時間を約9割削減)
お客さまから不具合に関する問い合わせや質問を受けた際、生成AIが解釈し、類似度が高い順にドキュメントを表示するほか、具体的な質問文の候補を出すことにより、担当者の成熟度に関わらず、過去のナレッジを効果的に活用できることが明らかになりました。
(2)特徴量抽出・分析による品質レベルの向上(分析時間を8割以上削減)
発生件数などの特徴量抽出・分析に生成AIを活用したことで、熟練者の過去のトラブル対応記録へのアクセスが容易になり、ナレッジの共有が進むことが確認されました。また、トラブルを記録したレポートの分析を通じて、時系列的な不具合情報や製品ごとの不具合を効率的に把握できるようになり、迅速な対応力の強化が実証されました。
(3)初報レポートのドラフト生成によるトラブル対応の高度化(レポート作成時間を8割以上削減)
熟練者やキーパーソンが不在の場合でも、トラブル対応の初動が可能であることが確認されました。将来的には、お客さま自身がトラブル情報にアクセスできるようにすることで、24時間体制での初動対応が実現できる見込です。 また、経験の浅い担当者でもドラフト版の初報レポートを作成できるようになり、お客さまに迅速に初報レポートを提供することで、顧客満足度の向上を実現します。
■今後の予定
今後、日立は、大みか事業所における生成AI、AIエージェントの活用を順次拡大していきます。品質保証業務支援ツールの精度向上を図りながら品質保証部門全体への取り組みを進めるとともに、システム開発のあらゆる工程への適用も進めていきます。また、人財不足や業務の属人化など同様の課題を持つ製造業などのお客さま向けにソリューション開発・提供も検討し、社会課題解決に貢献していきます。
関連リンク
・日立の生成AIについて
https://www.hitachi.co.jp/products/it/lumada/spcon/generative_ai/?nr=250610
日立製作所について
日立は、IT、OT(制御・運用技術)、プロダクトを活用した社会イノベーション事業(SIB)を通じて、環境・幸福・経済成長が調和するハーモナイズドソサエティの実現に貢献します。デジタルシステム&サービス、エナジー、モビリティ、コネクティブインダストリーズの4セクターに加え、新たな成長事業を創出する戦略SIBビジネスユニットの事業体制でグローバルに事業を展開し、Lumadaをコアとしてデータから価値を創出することで、お客さまと社会の課題を解決します。2024年度(2025年3月期)売上収益は9兆7,833億円、2025年3月末時点で連結子会社は618社、全世界で約28万人の従業員を擁しています。詳しくは、
www.hitachi.co.jpをご覧ください。
お問い合わせ先
株式会社日立製作所 AI CoE Generative AI センター事務局
お問い合わせフォームプレスリリース提供:PR TIMES

記事提供:PRTimes